来週の株式相場に向けて=再び日米欧「中銀会合」にフォーカス当たる
29日の東京市場で日経平均株価は前日比141円安の3万8208円と反落した。為替の円高が進行するなか、一時3万7900円台に下落。「3万8000円割れの水準では値頃感からの買いが入ってくる」(市場関係者)ものの、市場の関心は3万8000円ラインを巡る攻防に集まっている。
来週からいよいよ24年相場の締めくくりとなる12月相場が始まる。今秋の日本と米国での選挙を経て、年内のビッグイベントはほぼ一巡か、ともみられていたが、今年も残すところわずかとなるところで「日米欧の中央銀行の金融政策決定会合が、再び大きな焦点となりそうだ」(アナリスト)とみられている。
具体的には12月12日に欧州中央銀行(ECB)理事会、17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、18~19日に日銀金融政策決定会合が予定されている。ECB理事会では0.25%の利下げが予想されているが、ドイツを中心に欧州景気に先行き不安が台頭するなかECBの判断が注目されている。12月のFOMCでは、一時は政策金利据え置き観測も台頭したが足もとでは再び0.25%利下げの見方が強まっている。日銀決定会合では追加利上げの有無が焦点となりつつある。
特に、米国ではトランプ次期政権下での財政拡張によるインフレ懸念を背景にドル高が進行したが、財政規律重視派と言われるスコット・ベッセント氏が新政権の財務長官に就任することとなり、「相場の流れが変わった」(市場関係者)。米国で再び利下げ機運が強まり、日本では追加利上げとなれば、1ドル=150円を割り込んだ為替相場は一段の円高もあり得る。
そんななか来週の米国では重要経済指標が目白押しだ。6日の米11月雇用統計が最大の焦点となるが、2日に米11月ISM製造業景況指数、3日に米10月JOLTS求人件数、4日に米11月ADP雇用統計、米11月ISM非製造業景況指数が予定されている。4日にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長に発言機会がある。
足もとでの円高が警戒されるなか、東京株式市場では円高メリット関連のニトリホールディングス<9843>やサイゼリヤ<7581>、吉野家ホールディングス<9861>などを中心に内需関連株が注目されそうだ。
上記以外のイベントでは、海外では4日に米ベージュブック(米地区連銀経済報告)、5日に米10月貿易収支、6日に米12月ミシガン大学消費者マインド指数が発表される。3日にセールスフォース・ドット・コム<CRM>、4日にダラーツリー<DLTR>、シノプシス<SNPS>が決算発表を行う。
国内では2日に7~9月期法人企業統計、6日に10月家計調査、10月毎月勤労統計調査が発表される。2日に伊藤園<2593>、ピープル<7865>、3日に内田洋行<8057>、5日に積水ハウス<1928>、6日にロック・フィールド<2910>が決算発表を行う。4日にはTMH<280A>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7700~3万8800円前後。(岡里英幸)