セールスフォース、決算受け上昇 エージェントフォースへの期待高める=米国株個別
(NY時間09:36)(日本時間23:36)
セールスフォース<CRM> 363.30(+31.87 +9.62%)
セールスフォース<CRM>が上昇。前日引け後に8-10月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益は予想を下回ったものの、売上高および重要な指標である進行中の残存履行義務は予想を上回った。フリーキャッシュフロー(FCF)も予想を上回っている。ガイダンスでは25年度通期の1株利益の見通しを下方修正。第4四半期については、進行中の残存履行義務は約9%増を見込んだ。
今回の決算は、同社が大々的に宣伝しているAI製品の戦略が業績を押し上げるという期待を高めた。同社は10月にエージェントフォースと名付けたサービスを開始し、当初の価格はエージェントあたり約2ドルとした。ベニオフCEOは声明で「エージェントフォースにより、われわれは未来を目撃しているだけでなく、それをリードし、あらゆるビジネスや業界におけるデジタル労働の新たな時代を切り開いている」と述べた。
同CEOは先月、エージェントフォースに自信を持っており、営業担当の従業員を1000人増員すると発表。これまではアクティビスト(物言う株主)からの圧力もあり、経費削減と収益性向上に取り組んできたが、大幅な増員計画は約2年間の経費削減策からの転換となる。
アナリストは「第3四半期の売上高が予想を上回ったが、これにより同社の売上高、利益、FCFの25年度の目標を控えめながらも達成できる。妥当な株価収益率(PER)を考慮すると、今後の売上と利益の見通しには上振れ余地がある」と述べた。
別のアナリストは「進行中の残存履行義務の見通しからは、AIの収益化は実現まで数四半期を要する可能性を示唆している。ただ、コスト管理戦略は売上高の伸び鈍化にもかかわらず引き続き好調で、この重点戦略は26年度まで継続する見通しだ」と指摘している。
(8-10月・第3四半期)
・1株利益(調整後):2.41ドル(予想:2.44ドル)
・売上高:94.4億ドル 8.3%増(予想:93.5億ドル)
サブスクおよびサポート:88.8億ドル(予想:88.2億ドル)
プロフェッショナルサービス・その他:5.65億ドル(予想:5.33億ドル)
・営業利益(調整後):31.2億ドル(予想:30.1億ドル)
・残存履行義務:531億ドル(予想:530.9億ドル)
進行中:264億ドル(予想:260.4億ドル)
非進行中:267億ドル(予想:271.9億ドル)
・FCF:17.8億ドル(予想:16.9億ドル)
(11-1月・第4四半期見通し)
・1株利益(調整後):2.57~2.62ドル(予想:2.65ドル)
・売上高:99~101億ドル(予想:100.5億ドル)
・進行中の残存履行義務:約9%増
(25年度通期見通し)
・1株利益(調整後):9.98~10.03ドル(従来:10.03~10.11ドル)(予想:10.10ドル)
・売上高:378~380億ドル(従来:377~380億ドル)(予想:378.6億ドル)
・営業利益率(調整後):32.9%(予想:32.8%)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース