2024年の原油市場はレンジ相場を継続、米国とOPECプラスの価格戦争は続くのか? <コモディティ特集>

特集
2024年12月18日 13時30分

今年、 ブレント原油ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は昨年からのレンジを維持した。年内はまだ取引が残されているものの、市場参加者の少ないクリスマス前後で動意が高まるとは思えず、おそらく年末までレンジ相場が続くだろう。

●23年から24年にかけてトレンドはほぼ横ばい

バイデン米大統領の任期の前半は、コロナショック後の世界経済の立ち直りや、ロシアがウクライナ侵攻を開始したこともあって原油相場は賑やかだったが、後半の2年間は何があったのかWTIやブレント原油のチャートからは思い出しづらい。石油輸出国機構(OPEC)プラスの協調減産や、一部の産油国の自主減産が相場を下支えしたことは確かだが、原油価格が十分に浮上したとは言えず、主要産油国カルテルの影響力縮小を確認した2年間だったといえるかもしれない。

WTIやブレント原油など、世界の取引の指標となる原油価格は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の商業在庫の推移と連動する傾向にある。中国やインドなど重要な消費国が含まれていないことは欠点だが、OECD商業在庫は世界で最も包括的な石油在庫の統計であり、この推移を予測することは原油価格を見通すことと等しい。レンジ相場が続いた2023年から24年にかけてのOECD商業在庫は28億バレル前後で推移しており、上下動はあったがトレンドとしてはほぼ横ばいだった。OPECプラスが減産を続ける一方、米国やカナダなどOPECプラス以外の産油国が増産し、在庫変動が限られた。この均衡は来年も続くのだろうか。

●カギは最大の産油国である米国の増産幅

世界最大の産油国である米国の増産が続くかどうか見通すことが、25年のカギとなるかもしれない。バイデン政権のもとでの米国の増産幅は日量250万バレル規模とかなり大きく、トランプ次期政権でも掘りまくり、増産を成し遂げられるのだろうか。ただ、米原油生産の中心であるシェールオイル生産量は日量880万バレル付近で推移しており、年初から頭打ちとなっていることからすれば、米国の生産量が増え続けるとは想像しづらい。米エネルギー情報局(EIA)は今年の米原油生産量について日量1324万バレル、来年については同1352万バレルまでさらに増加すると予想しているが、想定どおりの推移となるのか不確実だと思われる。

来年の石油市場について、より大雑把な見方をすれば、減産を続けるOPECプラスに対して、非OPECプラスの中核である米国が増産を続けることができるのかどうかが焦点である。価格を理想的な水準で推移させたいOPECプラスと、値段をできる限り抑制したい米国の戦いの場が原油相場であり、レンジ相場が続いたことは、双方の攻防が繰り返され、拮抗した結果である。来年、この価格戦争がどちらに微笑むのか見届けよう。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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