エレマテック Research Memo(1):中期経営戦略を推進中。豊田通商が公開買付け(TOB)を発表

特集
2024年12月18日 15時01分

■要約

エレマテック<2715>は、2009年に高千穂電気株式会社と大西電気株式会社が合併して誕生した電子材料を得意とするエレクトロニクス商社だが、その後2012年に豊田通商<8015>グループ入りした。近年は単なる部品・部材の販売だけでなく、モジュール製品やODM(Original Design Manufacturing:企画段階から参画し、他社ブランド製品を設計から製造まで行う)製品の拡販に注力している。

なお同社は2025年3月期から会計基準としてIFRSを採用しており、2024年3月期についても遡及して修正を行っている。また同社の親会社である豊田通商は、2024年10月29日付けで同社株式の公開買付け(買付期間は、2024年10月30日から同12月11日まで)(以下、TOB)を発表し、同社は買付けに賛同し応募することを推奨する意見表明を行っている。また豊田通商が2024年12月12日にTOBの成立について発表したことを受け、同社の株式は所定の手続きを経て上場廃止になる予定となった。

1. 2025年3月期第2四半期は減収減益

2025年3月期第2四半期の業績は、売上収益98,360百万円(前年同期比3.7%減)、営業活動に係る利益4,996百万円(同0.8%減)、税引前中間利益4,433百万円(同4.3%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益3,068百万円(同7.2%減)となった。マーケット別では、Digital Electronicsでは電気・電子部品は回復が見られたが、ディスプレイ関連や黒物家電が低調となり同3.5%の減収となった。Automotiveは新規商材の採用等により同4.8%の増収となった。Broad Marketでは、医療機器向けは堅調であったがドライブレコーダーが低迷したアフターマーケットや産業機器・電動工具などが低調であったことから同8.3%の減収となった。地域別では、アフターマーケットを中心に日本が大きく減少した。日本以外は為替の影響もあり増収であった。売上総利益率は円安効果や製品構成の変化により同0.8ポイント改善したが、減収により売上総利益は同2.4%増に止まった。販管費が同4.5%増加したことから営業活動に係る利益は同0.8%減とほぼ前年同期並みとなった。

2. 2025年3月期は増収増益の見込みで回復予想

2025年3月期の業績は、売上収益216,500百万円(前期比11.4%増)、営業活動に係る利益9,350百万円(同3.3%増)、税引前利益8,650百万円(同6.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益6,000百万円(同4.7%増)と見込んでいる。商品によっては期初予想を下回っているものもあるが、一方で好調なものもあるため全体の業績は期初予想を変えていない。対米ドル平均レートは、145.00円(前期実績144.59円)を前提としている。

3. 中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」を推進中

同社は、2023年4月に中期経営戦略「エレマテック・プロプラス(elematec Pro+)」を発表した。この中期経営戦略では、前中期経営戦略の主要戦略である「高付加価値型ビジネスの強化」「国内外有力顧客の開拓」「自動車領域への注力」を継続しつつ、さらに進化させると同時に、これに加えて新たな重点施策として「ポテンシャルエリアの本格開拓」「開発部の機能強化」「M&A・アライアンスによる顧客基盤・事業領域の拡大」「サステナビリティと人的資本への取り組み」を掲げた。重点市場としては「オートモーティブ」「アフターマーケット」「医療機器」を挙げている。足元の業績は停滞しているが、これらの重点施策を粛々と進める方針に変わりはない。さらに今後は、「資本コストを意識した経営」を一段と進める。

また配当については、豊田通商からTOBがかかったことから2025年3月期中間期の配当は40円としたが、期末は無配とすることを発表した。

■Key Points

・電子材料、電子部品や設備など幅広い商品を扱う総合エレクトロニクス商社

・2025年3月期第2四半期の営業活動に係る利益は前年同期比0.8%減、通期では3.3%増予想

・中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」推進中。豊田通商によるTOBが発表

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

提供:フィスコ

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