日産東HD Research Memo(1):第2四半期は減益も想定内、中間純利益は過去最高を達成
■要約
1. 国内最大級の自動車ディーラーを擁し、新車や中古車の販売、自動車整備などを展開
日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車<7201>系の自動車販売会社などを傘下に持つ持株会社で、子会社の日産東京販売(株)は日産ブランドとルノーブランドの新車販売や中古車の買取・販売、自動車整備などを行っている。国内最大級の自動車ディーラーで、販売エリアは東京都の人口の約9割をカバーする。同社は総合モビリティ事業※のフロントランナーとして、カーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供している。また、グループ内では周辺事業として、個人リースなど日産ブランドに依存しないオリジナルの事業も展開している。なお、自動車関連事業への集中などグループ内の経営資源を最適化することを目的に、2023年10月に上場子会社の東京日産コンピュータシステム(株)(現在は非上場のTCS(株))の全株式を売却した。
※ モビリティ事業:販売や整備だけでなく、自動車による移動や運搬をスムーズに行うためのサービスも含む。
2. EV販売のパイオニア、35万件の顧客基盤、ベストプラクティス、店舗ネットワークに強み
先端技術の発展や環境問題などを背景に、自動車業界は100年に1度の大変革期にあると言われている。こうした環境のなかで同社は、EV販売のパイオニア、顧客基盤35万件のストックビジネス、ノウハウや情報を速やかに共有し水平展開していくベストプラクティス、東京をドミナントする新車販売店舗105店舗(ルノー店4店舗含む)などの店舗ネットワークといった強みを発揮し、総合モビリティ事業のフロントランナーとして優位なポジションを獲得した。また、こうした強みを背景に、中古車の買取・販売や整備・車検も高い評価を受けている。他社に先駆けて展開した個人リースも、ベストプラクティスにより成長を加速しており、早期買い替えや良質な中古車の確保といった面でシナジーを発揮している。
3. 減益とはいえほぼ想定どおり、親会社株主に帰属する中間純利益は過去最高となった
2025年3月期第2四半期の業績は、売上高が70,043百万円(前年同期比5.8%減)、営業利益が3,796百万円(同13.6%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が2,485百万円(同1.7%増)となった。子会社の売却と、補助金などの関係で納車が前年同期に集中した反動によるEV販売の減少という一時的要因によって減収となった。これに伴い収入手数料が減り、営業利益も減益となった。一方、ベストプラクティスを背景に付加価値を引き上げるための提案営業が同社グループ全体に広がったことにより売上総利益率が改善、生産性向上やコストコントロールなどにより販管費を実額で減らすなど、収益性を強化した。この結果、業績はほぼ想定内に着地、減益とはいえ営業利益と経常利益は過去2番目、親会社株主に帰属する中間純利益は過去最高となった。
4. 2025年3月期予想は十分達成可能、中期経営計画の営業利益目標を既に前倒しで達成
同社は2025年3月期の業績に関して、期初予想のまま、売上高150,000百万円(前期比0.7%増)、営業利益7,500百万円(同13.9%減)を見込んでいる。上期の減収で売上高達成のハードルは上がったが、減収要因が一巡することに加え、個人リースや中古車事業、整備事業などで下期に挽回を図る。利益面では、ベストプラクティスによる採算改善やコストコントロールなどにより、通期予想は十分に達成可能と思われる。中期経営計画では、電動化リーダー、安全・運転支援技術、モビリティ事業という3つ重点施策と店舗ネットワークの拡充によって、2027年3月期に売上高1,550億円、営業利益65億円などを目指している。営業利益は2024年3月期に3年前倒しで達成、減益予想の2025年3月期もクリアする見込みである。
■Key Points
・国内最大級の自動車ディーラーを擁し、ベストプラクティスや店舗ネットワークなどに強み
・2025年3月期第2四半期は減益とはいえ、ほぼ想定どおり。親会社株主に帰属する中間純利益は過去最高を達成
・2025年3月期営業利益は減益予想だが、引き続き中期経営計画の目標を上回る見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HN》