サインド:理美容店舗向けクラウド型予約管理で高シェア、拡大余地も残し業績堅調
理美容店舗向けクラウド型予約管理システム「BeautyMerit」、予約一元管理システム「かんざし」の提供を行うサインド<4256>の業績が堅調だ。2025年3月期の第2四半期(中間期)決算は、累計売上高が前年同期比15.5%増の1,080百万円、EBITDAが同40.2%増の298百万円、営業利益が同2.6倍の136百万円と大幅増収増益を達成している。大型チェーンの契約など契約店舗数の増加(前年同期比16.1%増の19,096店舗)で売上高は順調に進捗、サブスクリプション売上高は前年同期比16.9%増、ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は同16.5%増で2,000百万円を上回ってきた。カスタマーチャーンレートも0.69%となり、引き続き1.0%以下を維持している。
2025年3月期の売上高は前期比15.0%増の2,244百万円、EBITDAは同12.5%増の540百万円と増収増益見通し。組織体制及びパートナーネットワークの強化等による効率的なリード獲得体制の整備によって、2025年3月期は契約店舗数20,000店舗を計画している。中間期は業績予想を上回った一方、第3四半期に予定している本社移転に伴う移転費用の計上等を踏まえ、現時点では業績予想を据え置くとしているが、保守的な数値にも見える。
なお、同社が提供する「BeautyMerit」は、集客・予約・施術・会計・アフターフォローに至るまで、最適な顧客体験(CX)の構築や働き方改革(DX)を支援するサービス。クラウドを通じてサービスを提供しているため、インターネット経由でどこからでもアクセスでき、ITリテラシーに関わらず利用可能なサービスを目指している。マルチデバイスにも対応しているほか、複数の集客サイトの予約管理を自動化する一元管理を「ヘアサロン」など多様な業種に対してサブスクリプション(月額課金)モデルでサービスを提供している。
同社は競合となっていた予約一元管理システム「かんざし」を提供するパシフィックポーター株式会社を2023年に子会社化した。両社のグループ化により、理美容業界最大の予約一元管理サービスとなり、競合はほとんど存在しない状態となっている。2024年9月期末時点で19,096店舗(前年同期比16.1%増)に導入され、BeautyMeritのARPU(1有料課金店舗当たりの平均月額単価)は15,439円、かんざしのARPUは4,201円、カスタマーチャーンレート(直近12カ月平均解約率)は0.69%となっている。
同社は中期目標として2025年3月期から2027年3月期の連結売上高で3,000百万円以上、CAGR15%以上、毎期のEBITDAマージン20%~30%と売上高と利益の両面で拡大を目指している。M&A及び新規事業は含まないオーガニックグロースの目標数値となっており、契約店舗数の拡大と契約店舗あたりの売上拡大で成長を図るようだ。理美容室業界は、業界全体の8割が小規模事業者となっており、集客サイト参画店舗における同社サービスの導入率は11.9%、理美容サービス市場における同社サービスの導入率は3.2%と、まだまだ店舗数拡大の余地は残っている。
《NH》