前日の株安は行き過ぎ ただ、新年の歓喜はまだ望めそうにない
前日のFOMCを受けて米株式市場は警戒感を強め、ダウ平均は1100ドル超急落し、1974年以来の10日続落となってしまった。ナスダックも3.5%超急落している。
パウエルFRB議長は投資家のサンタクロース・ラリーへの期待を打ち砕いてしまった格好となったが、結局のところ、FRBはインフレが目標の2%まで低下するとの見通しを見失ってしまったようだとの声も聞かれる。
FRBは来年のインフレ見通しを2.5%に上方修正し、2026年にようやく2.1%に達すると予測している。その結果、2025年には計0.50%分の利下げしか見込んでおらず、9月時点の1.00%から大幅に修正している。
ただ、前日の株安の反応は行き過ぎで、市場にとっては、それほど大きな驚きではなかったはずだという。結局のところ、11月の消費者物価指数(CPI)は2.7%上昇し、先月は22万7000人の非農業部門雇用者数(NFP)が増加していた。米地区連銀のモデルからは、第4四半期の米経済は3.2%成長が見込まれている。
決して、積極的な利下げ路線と結びつくような経済状況ではないはずだが、それをパウエル議長の口から発せられなければ、市場は最終的に納得することができなかったのかもしれないという。前日の過剰な反応は、これまでの株式市場の過熱ぶりの結果だという。
株価指数はFRBの決定前に過去最高値に迫る水準にあった。半面、S&P500の採用銘柄は上昇よりも下落する銘柄の方が多く、それはすでに13日間続いていた。
一方、株式市場と金利見通しの両方がリセットされることは良いことだとも指摘。来年には多くの未知の要素が待ち構えている。パウエル議長は、関税がインフレとFRBの政策に及ぼす潜在的な影響について会見で質問され、「わからない」というフレーズを4回使用していた。
来年はFRBの金融政策の方向性について比較的平穏な期間を経たあと、米株式市場にボラティリティと不確実性が再び戻ってくる可能性が高いという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース