前週末20日に「売られた株!」総ザライ ―本日への影響は?―
■カドカワ <9468> 3,689円 (-700円、-16.0%) ストップ安
東証プライムの下落率トップ。KADOKAWA <9468> [東証P]がストップ安。ソニーグループ <6758> [東証P]が19日の取引終了後、カドカワとの資本・業務提携の契約を締結したと発表した。カドカワの第三者割当増資をソニーGが引き受ける。ソニーGは取得済みの株式とあわせてカドカワの株式の10%を保有する筆頭株主となる見通し。もっとも11月に一部でソニーGがカドカワの買収に向けて協議をしていると報じられたことを機に、株式市場ではカドカワの株価にプレミアムを上乗せしてソニーGがTOB(株式公開買い付け)を実施するとの期待が広がっていた。今回の発表を受けてTOBの期待がはく落したうえ、新株発行に伴う希薄化の懸念が広がる格好となり、売り注文が殺到した。カドカワは新たに1205万4100株(9月30日時点の発行済み株式総数の8.50%に相当)を1株4146円で発行し、ソニーGに割り当てる。ソニーGの株式取得日は2025年1月7日で、取得総額は約500億円。両社が持つIP(知的財産)の価値を最大化させるために資本・業務提携に乗り出すこととした。
■TOPPAN <7911> 3,855円 (-303円、-7.3%)
東証プライムの下落率4位。TOPPANホールディングス <7911> [東証P]が続急落。19日午前に米ソノコ・プロダクツ <SON> の軟包装・熱成形容器事業を買収すると発表した。取得価額は18億ドル(約2713億円、1ドル=150円74銭換算)で、現金で決済する予定。買収資金は自己資金や外部借り入れなどで充当する。取得価額はTOPPANの前期末の純資産額に対し15%を超える規模で、同社にとって過去最大規模の買収案件となる。前日の株価の反応は比較的軽微なものとなったが、日銀の金融政策決定会合後に外国為替市場ではドル高・円安が進行しているとあって、巨額買収に伴う財務負担増が意識されているもよう。日証金ベースで貸株残高が増加していることもあって、目先筋の売りに押される形で下押しを余儀なくされた。
■コーセル <6905> 1,091円 (-44円、-3.9%)
コーセル <6905> [東証P]が続落。同社は20日午前11時30分、25年5月期第2四半期累計(5月21日-11月20日)の連結決算発表にあわせ、通期の業績予想を下方修正し、嫌気されたようだ。今期の売上高予想は88億2600万円減額して291億7400万円(前期比29.6%減)、最終利益予想は29億4100万円減額して7億5100万円(同85.5%減)に見直した。半導体製造装置関連は徐々に回復に向かっているとしながらも、中国景気の低迷長期化を背景に、FA関連機器や医療機器などの需要回復が遅れると想定。一部半導体関連を除き全体的な需要が低迷するとみて、影響を業績予想に織り込んだ。第2四半期累計の売上高は前年同期比31.2%減の148億5500万円、最終利益は同92.1%減の2億7800万円となり、ともに計画に対し下振れして着地した。
■ヤマトHD <9064> 1,723.5円 (-67.5円、-3.8%)
ヤマトホールディングス <9064> [東証P]が大幅反落。日本経済新聞電子版が20日午後3時ごろ、「日本郵便がヤマト運輸に対し、損害賠償を求めて提訴する方針だ」と報じた。小型薄型荷物の配達委託を巡り、両社は水面下で交渉を進めてきたが事実上決裂したという。報道を受けて、ヤマトHD株は売り優勢の展開となった。
■三菱UFJ <8306> 1,773円 (-61.5円、-3.4%)
三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]が大幅反落。そのほか、第一生命ホールディングス <8750> [東証P]は軟調な値動きとなった。日本時間の前日早朝に公表されたFOMCの結果は、FRBが利下げを決めたものの来年の金融政策に対するタカ派的な見解が意識された。米長期金利は一段と上昇し4.6%近くまで水準を切り上げており、米国事業を展開する大手金融株にとっては運用利ザヤ拡大への期待につながる。しかし、FOMCから半日遅れて前日19日の昼ごろに開示された日銀金融政策決定会合の結果は利上げが見送られた。政策金利が据え置かれること自体はマーケットで事前に織り込みが進んでいたが、会合後の植田日銀総裁の記者会見がハト派スタンスを意識させるものだったことが、メガバンクや生保株に嫌気される材料となった。
■BEENOS <3328> 4,000円 (-70円、-1.7%)
BEENOS <3328> [東証P]が反落。19日の取引時間中に、LINEヤフー <4689> [東証P]がBEENOSに対し完全子会社化を目的としてTOB(株式公開買い付け)を実施すると一部で報じられ、同日のBEENOS株はストップ高で取引を終えた。同日の取引終了後にラインヤフーはBEENOSに対し1株4000円でTOBを実施し、完全子会社とすると発表した。TOB価格は前日終値の4070円を下回る水準で、BEENOSの株価はこれにサヤ寄せする形で下落した。買付予定数の下限は888万2500株(所有割合66.03%)で上限は設定しない。来年2月末をメドにTOBを開始することを目指す。TOB成立後、BEENOSは上場廃止となる見込み。ラインヤフーはEC事業の強化につなげる方針。東京証券取引所は19日、BEENOSを監理銘柄(確認中)に指定した。
※20日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋
株探ニュース