人工知能に第3の波、新時代到来で沸き立つ「AIエージェント」関連 <株探トップ特集>

特集
2024年12月25日 19時30分

―社会に変革をもたらす新ツール、高度な自律性で業務効率が向上―

ビジネスや日常生活に浸透している人工知能(AI)は、米オープンAIが2022年11月に公開した対話型生成AI「ChatGPT」によって利活用される場面が更に増えた。 生成AIは文章だけではなく、画像、音声、動画など多種多様なコンテンツ生成が可能なことから応用範囲が広く、総務省の情報通信白書によると世界の生成AI市場は23年の670億ドルから32年には1兆3040億ドルに拡大すると予想されている。生成AIがAIブームの「第2波」とすれば、「第3波」になるといわれているのが「AIエージェント」だ。

●AI革命は次のステージへ

AIエージェントとは、環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標を達成するためのソフトウェアプログラム。目標は人間が設定するが、その目標を達成するために実行する必要がある最適な行動はAIエージェントが独自に選択する。

特徴としては「自律性:従来のチャットサービスはユーザーの指示に基づいて動作するのに対し、AIエージェントは与えられた目標に基づき自律して行動し、ユーザーの介入を最小限に抑える」「目標指向:通常のAIサービスがユーザーの質問に答えるのに対し、AIエージェントは特定の目標やタスクの達成に向けて計画を立て行動する」「高度な推論:AIエージェントは、複雑で連続した対話からタスクを処理する能力を持ち、必要に応じて複数のエージェントと協調して問題を解決することが可能」なこと。AIエージェントを活用することで、企業は業務効率を向上させるだけでなく、人間にしかできない創造性を高め、より高度なイノベーションと成長を促進することができるという。

●国内外テック企業の参入続々

直近では米アルファベット<GOOG>傘下のグーグルが、企業内の情報を検索できるAIエージェント「Google Agentspace(グーグルエージェントスペース)」を発表した。このほかにも米セールスフォース<CRM>や米マイクロソフト<MSFT>などテック大手が相次いでサービスを開始している。日本勢では富士通 <6702> [東証P]が難易度の高い業務をAIと人が協調して推進できるAIサービス「Fujitsu Kozuchi AI Agent」を展開し、NTTデータグループ <9613> [東証P]は営業領域を対象とした「LITRON Sales(リトロンセールス)」のサービスを開始。NEC <6701> [東証P]は25年1月から順次提供する予定だ。AIエージェントはオフィスの業務効率化やパーソナルな仕事の進め方を大きく変える可能性があり、関連銘柄から目が離せない。

●先端トレンドに乗る関連銘柄

サークレイス <5029> [東証G]は19日、セールスフォース・ジャパン(東京都千代田区)が自律型AIエージェント「Agentforce(エージェントフォース)」をリリースしたことを受け、認定パートナーとしていち早く導入・構築を全面サポートする新サービスの提供を開始したと発表。顧客のセールスフォース活用によるROI(投資利益率)の最大化を支援するとともに、人的資本経営の推進を強力にバックアップする構えだ。

ライトアップ <6580> [東証G]は18日、労働力不足が深刻化する地方中小企業向けに、AIエージェントを活用した業務効率化ソリューションを展開する考えを明らかにした。営業、人事、事務、経理、経営、マネジメントの6つの主要領域で、25年3月末までに30種類のパッケージ提供を目指し、「Dify(ディファイ)」(ノーコードで直感的に生成AIアプリやAIエージェントを開発できるツール)などの先進技術を用いた企画・開発を進めるという。

TDSE <7046> [東証G]は12日、「Dify」のPoC(Proof of Concept:新しいアイデアや技術が実現可能かどうかを、小規模な実験や試作を通して検証するプロセス)ライセンスの提供を始めたと発表した。同社は今年9月にDifyを開発する米LangGeniusと販売・開発パートナー契約を締結し、日本国内におけるDifyライセンスの販売、Difyを用いた生成AIアプリやAIエージェントの開発・活用の支援を担っている。

アイデミー <5577> [東証G]は3日、社内のデータを活用し、ESG(環境・社会・ガバナンス)業務の効率化をサポートするAIエージェントの構築支援を開始したことを明らかにした。AIエージェントの構築・運用を通じて、株主総会・ESG説明会のためのQ&A作成、ESG分野の国際機関・顧客からのアンケートへの回答、政府機関への提出資料作成、ESG関連データの第三者保証取得における問い合わせ回答などの業務をサポートすることを目指すという。

ヘッドウォータース <4011> [東証G]は2日、車載エッジAIエージェントを第1弾とした自動車業界向け生成AIサービスを強化すると発表。車載エッジAIエージェントは、自動車に搭載されたエッジデバイス上でAIを活用し、リアルタイムでデータ処理や意思決定を行い、人間の介入なしに特定のタスクを実行する自律型インテリジェントシステムで、これにより障害物検知や衝突回避などの自動運転技術をより強化することが可能になるとしている。

オルツ <260A> [東証G]とキャスター <9331> [東証G]の合弁会社であるLUVOは11月28日、あずさ監査法人(東京都新宿区)との協業を開始し、AIを活用した経理業務改革ソリューション開発、共同提案、ならびに業務改革支援サービスの提供に向けた取り組みを進めると発表。あずさ監査法人が持つ経理業務に係る専門知見・実績と、LUVOのAI開発技術及びアノテーション(データに対して追加の情報タグを付加する作業)技術を融合させ、経理部門の従業員の代理として動くAIアシスタントとAIエージェントを開発する。

これ以外では、自律型AIエージェントサービス第1弾として25年2月にアノテーションエージェントサービスを提供予定のブレインパッド <3655> [東証P]、グループ会社がIR TechサービスにAIエージェントによる投資家面談の議事録の自動分析機能を実装したエクサウィザーズ <4259> [東証G]、25年初頭をメドにAI-OCRサービス「DX Suite(ディエックス・スイート)」にAIエージェントを標準搭載する予定のAI inside <4488> [東証G]、グループ会社が自律型AIエージェント「JAPAN AI AGENT」を展開しているジーニー <6562> [東証G]、顧客の問い合わせをWEBで対応するAIエージェント「Tetory(テトリー)」を販売しているビーウィズ <9216> [東証P]などが注目される。

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