来週の株式相場に向けて=年末を急襲した「牧野フ」同意なき買収、M&A新時代を象徴か
27日の東京市場は、日経平均株価が前日比713円高の4万281円と急伸し、7月19日以来、約5カ月ぶりに4万円台を回復した。この2日間で1100円強の上昇となり、「掉尾の一振」を実現した。今年もあとは30日の取引を残すのみだが、大幅な下落が無ければ年間終値ベースでは1989年の3万8915円を更新し、史上最高値での年越しとなる。
この日の株価急伸要因には一時1ドル=158円台をつけた円安進行や、実質新年相場入りで個人投資家が活発な買いを入れたことが挙げられる。特に、アルピコホールディングス<297A>やvisumo<303A>、フォルシア<304A>などの直近IPO銘柄が買われ、RIZAPグループ<2928>も大幅高となるなか、中小型株に物色機運が見え始めた。全体相場が物色難となるなか、この中小型株物色が続くかは、新年に向けて注目されそうだ。
更にこの日、市場関係者の関心を一身に集めたのが「ニデック<6594>が牧野フライス製作所<6135>への同意なきTOB(株式公開買い付け)を発表」したことだ。ニデックは23年にも東証スタンダード市場に上場していたTAKISAWAに対して同意なきTOBを実施し傘下に収めている。ただ、東証プライム市場上場で工作機械大手である牧野フに対して、事前の接触は無しでTOBを仕掛けたとみられることを市場は驚きを持って受け止めた。今後の動向が注視されるが、日本の大手企業同士のM&Aがこれから本格化する、その先駆けと捉えられるだけに「新年に向けた東京市場の株高要因となる」(市場関係者)ともみられている。機械株や再編機運が高まる自動車部品株など、東京市場には連結PBR1倍割れ銘柄は依然として数多く残っているだけに安閑とはしていられず、一段の株高策は急務となりそうだ。
来週は30日が大納会。東京市場は1月6日の大発会まで正月休みとなる。海外市場は30日が米11月中古住宅販売仮契約、31日が中国12月製造業PMI、1月1日はニューイヤーズ・デーで各国が休場。2日は中国財新12月製造業PMI、3日には米12月ISM製造業景況感指数が発表される。(岡里英幸)