米国株式市場見通し:金利上昇などが意識されてNYダウは調整局面入りの可能性も
来週から翌週の米国株は、長期金利の動向を睨んだやや神経質な展開となりそうだ。トランプ次期大統領の経済政策などへの期待感は引き続き高いが、10年債利回りが5月以来の4.63%台まで上昇したことで、ハイテク株の値動きは弱い。投資家の心理状態を示すVIX指数は15.95ポイントと、警戒感が強まる20ポイント水準より下のため、さほど心配する状況ではないが、1月上旬には重要な経済指標発表が相次ぐことから注意は必要か。
とりわけ7日に11月JOLTS求人件数、8日に12月ADP雇用者数、10日に12月雇用統計と雇用関連の発表が予定されている。雇用関連はFRBが政策金利を決める上で重要視している経済指標であるため、市場予想よりも強い結果となり長期金利が一段高となれば、ハイテク株を中心に売り優勢となる可能性はある。ナスダックやS&P500は50日移動平均線(50MA)を上回っておりトレンドは強いままだが、NYダウは50日移動平均線に頭を押さえられ調整局面入りの見方もできる。今後、下値支持として意識されている100日移動平均線(100MA)を下回ると、下げが加速する可能性はあるため、NYダウの動向は警戒しておきたい。
経済指標は、12月30日に12月シカゴ購買部協会景気指数、11月中古住宅販売成約指数、31日に10月S&Pケースシラー住宅価格(20都市)、1月2日に週次新規失業保険申請件数、12月製造業PMI(確報値)、週次原油在庫、3日に12月ISM製造業景気指数、6日に12月サービス業PMI(確報値)、コンポジットPMI(確報値)、11月製造業新規受注、耐久財受注(確報値)、7日に11月貿易収支、JOLTS求人件数、12月ISM非製造業景気指数、8日に12月ADP雇用者数、週次原油在庫、12月FOMC議事録、9日に週次新規失業保険申請件数、10日に12月雇用統計、1月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
主要企業決算は、1月8日にジェフリーズ、9日にウォルグリーン、10日にデルタ航空、ユナイテッドヘルス、ブラックロックなどが予定されている。ユナイテッドヘルスは12月上旬に幹部が路上で射殺されて以降、株価が20%ほど急落しNYダウの重しとなっていたことから、決算発表後の株価動向は要注目となろう。
《FA》