【年末最高値】日経平均は2年連続で上昇し19%高、金融セクター脚光の1年に

材料
2024年12月30日 16時54分

大納会の東京株式市場で、日経平均株価の終値は3万9894円54銭となった。年間では2年連続の上昇で、年末の水準としてバブル経済期の1989年の大納会終値を上回り、過去最高となった。業種別では保険や銀行業といった金融セクターが高いパフォーマンスを示したほか、AIの普及に伴うデータセンター(DC)向けの需要拡大の思惑から電線株が物色され、非鉄金属が大幅高となった。

●4万円台での取引終了には至らず

今年の大納会は上昇スタートとなり、4万円を上回って推移する場面があった。だが国内休場中の海外市場の変動に備えようと、換金目的の売りが次第に優勢となり、終値は前営業日比386円62銭安。大納会初の4万円台乗せは実現しなかった。

24年1年間の日経平均の上昇幅は6430円37銭、上昇率は19.2%で、23年実績(上昇幅7369円67銭、上昇率28.2%)を下回った。13年以降の過去12年では10勝2敗。昨年に続き、2年連続で終値が始値を上回る陽線を形成した。TOPIX(東証株価指数)も2年連続の上昇となったが、89年末終値(2881.37)を上回るまでには至らなかった。大型株優位の展開となるなかで、東証グロース市場250指数は年間では8.8%安と落ち込んだ。東証プライム市場の売買代金は約1098兆円と、市場再編後で最高となった。

今年は年初から米国市場において半導体大手エヌビディア<NVDA>への投資マネーの流入が顕著となった。米ハイテク株の上昇に加えて、円キャリー取引の活発化を背景としてドル円相場が一時1ドル=161円90銭台まで円安が進行。これらを追い風に、日経平均は7月11日に、終値ベースで過去最高の4万2224円02銭をつけた。その後、同月30~31日の金融政策決定会合で日銀は追加利上げを決定した。円キャリー取引の巻き戻しによる急速な円高も相まって日本株は急落を余儀なくされ、8月5日の日経平均は4451円28銭安と過去最大の下げ幅を記録。翌6日は一転、3217円04銭高と上げ幅は過去最大となり、歴史的な乱高下をみせた。

●電線株のフジクラは6倍に

東証の業種別指数のうち、保険業は前年末比で60%高、銀行業は47%高となった。SOMPOホールディングス<8630>など損保大手が政策保有株式をゼロにする方針を示し、資本効率の向上と株主還元強化を期待した資金が保険株に流入した。また、日銀が3月にマイナス金利政策を解除し、7月に追加利上げに動いたことで、国内金利に上昇圧力が掛かった。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>、みずほフィナンシャルグループ<8411>といったメガバンクのみならず、地銀株に対しても事業環境の好転を見込んだ買いが集まった。非鉄は50%高。このうちDC向けの光通信用部品・部材の需要拡大の思惑が広がった電線株では、フジクラ<5803>の株価は前年末比で6倍、古河電気工業<5801>は3倍となった。

これに対し、陸運業や空運業、鉄鋼などが年初来で下落した。陸運業ではトラック運転手の労働規制を背景としたコスト高懸念を背景に、NIPPON EXPRESS ホールディングス<9147>やヤマトホールディングス<9064>、SGホールディングス<9143>などの株価に下押し圧力が高まった。日本航空<9201>やANAホールディングス<9202>の空運2社は燃料費負担の影響などが業績面で重荷となったほか、中国景気の減速懸念を背景にした鉄鋼市況の低迷は、日本製鉄<5401>をはじめとする鉄鋼株の上値を圧迫した。

来年は早速、1月に米国でトランプ新政権が発足する。関税強化策に伴う世界景気への悪影響が警戒されるなか、日米の金融政策の方向性の違いから円高が進行し、輸出関連株の重荷となるシナリオも横たわる。その際は出遅れ感の強まった円高メリット株の見直し機運が高まることも想定される。市場では「トラック輸送業界では運賃の値上げも進んでおり、来期以降の業績回復基調が期待される」(国内証券ストラテジスト)との声もある。パルプ・紙やゴム製品を含め、今年1年間に辛酸をなめたセクターのパフォーマンスが好転に向かうか、注目点の一つとなりそうだ。

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.