植木靖男が斬る!巳年「有望株!」 <新春お年玉企画>

特集
2025年1月1日 11時00分

「株価の自律拡大メカニズムが回り始める」

●日本への資金環流が株式市場を活性化させるか

2024年の日経平均株価は、年初の3万3000円処から上下動を繰り返しながらも3万9894円で1年を終え、年足は大陽線を描いた。その背景だが、やはり米国市場の強烈な上昇力に支えられたといってよい。

そして、いよいよ2025年相場を迎える。力強かった前年の流れを引き継ぐことができるのか。多くの投資家はそれを期待して新年相場に臨むことだろう。

新年は2024年とは質的に大きく異なる相場になると筆者はみている。2024年に日本株の上昇に大きく貢献した米国株はここ数年、未曾有の大相場を現出しており、すでに買われ過ぎの段階に入っているのではないか、との疑念が拭えない。

米国のトランプ新政権による大幅減税、規制緩和による経済活性化への期待から年初は米国株の上昇が続くにしても、買われ過ぎの段階にあるとすればせいぜい2月頃までだろう。むしろ年前半は調整色を強めるのではないか。

以上のようなシナリオを前提に、日本株の先行きを考えたい。

資本主義の原点はマネーである。残念ながら日本はこの10年間、日銀が国債を買い取って市中にマネーをばらまいたが、巨額の資金が海外に流出してしまった。国内に留まっていれば、日本経済は高成長を享受したはずである。米国に流出したマネーは米国経済を支え、米国株の活況を支えた。

しかし、仮に今後、買われ過ぎの米国株に異変が生じればリパトリエーション、つまり日本に資金が環流し、日本経済を活性化、企業収益にも好影響を及ぼし、かつ株価を上昇せしめるのではないか。

これは36年周期による日本株大相場のアノマリー(経験則)と合致する。この兆候はすでに顕在化し始めている。たとえば土地価格の上昇である。その詳細は省くが、たとえば株式市場をみてもなぜ、東京ガス <9531> [東証P]の株価が4000円を大きく超え、1990年来の水準にあるのか。36年前のQレシオ相場を絵に描いたような上昇ぶりである。また、人口が減少する中で、マンション価格が賃金の伸びを上回るペースで上昇し、実需筋にとって手を出し難い存在となっているのはなぜか?

まさに36年前の平成バブル時を彷彿とさせる兆候が出始めているのだ。

こうなると、株価上昇のメカニズムも変わってくる。すなわち株価が上がるから上昇するという自律拡大メカニズムが働きやすいのだ。

●2025年相場では大型株が中核に

では、2025年の物色銘柄はどうなるのか。明確に2024年のそれと大きく異なるとみたい。銘柄選択には少なくとも次の条件が必要であろう。

①誰もが知っている銘柄であること

②1日数百万株の売買が可能、流動性があること

③心配なく成り行きで売買が可能であること

要は大型株だ。平成バブルの時は新日鉄(現・日本製鉄 <5401> [東証P])や石川島播磨重工業(現・IHI <7013> [東証P])などが、羽が生えたように舞い上がったことを想起する。ただし、これまで大きな相場を出していないことが条件となろう。

以上を踏まえて銘柄を挙げると、含み資産の大きい東京ガス、イオン <8267> [東証P]、第一生命ホールディングス <8750> [東証P]、さらに来期業績の好転が期待される三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]、王子ホールディングス <3861> [東証P]、AGC <5201> [東証P]、東宝 <9602> [東証P]、電力需要急拡大の東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、そして建設の大成建設 <1801> [東証P]。

2025年相場で最も活躍が期待されるのは日本製鉄ではないか。すでにその兆候が見え始めている。

◆植木氏のお薦め「2025年ポートフォリオ10銘柄」

○東京ガス <9531> [東証P]

○イオン <8267> [東証P]

○第一生命ホールディングス <8750> [東証P]

○三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]

○王子ホールディングス <3861> [東証P]

○AGC <5201> [東証P]

○東宝 <9602> [東証P]

○東京電力ホールディングス <9501> [東証P]

○大成建設 <1801> [東証P]

○日本製鉄 <5401> [東証P]

2024年12月30日 記

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