為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米追加利下げ観測後退の影響残る

通貨
2025年1月11日 13時23分

【今週の概況】

■米国金利の先安観後退でドル買い強まる

先週・今週の米ドル・円は強含み。米国のインフレは高止まりを続けていること、日本銀行による追加利上げは3月以降になる可能性が高いことから、年明けにかけてリスク選好的な米ドル買い・円売りが活発となった。米連邦準備制度理事会(FRB)による年内2回の利下げ見通しは3月に変更されるとの思惑が浮上したこともドル買い材料になったようだ。一方、日本銀行は早期利上げには慎重であり、追加利上げが行われるのは3月以降との見方は依然として多いため、日米金利差の縮小観測は大幅に後退した。

1月10日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時158円87銭まで上昇した。この日発表された12月米雇用統計は予想以上に強い内容となったため、利下げサイクルの終了観測が浮上し、長期金利の上昇に伴うドル買いが活発となった。ただ、その後発表された1月米ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回り、リスク選好的なドル買い・円売りは一服。157円74銭でこの週の取引を終えた。米ドル・円の取引レンジ:156円02銭-158円87銭。

【来週の見通し】

■ドルは底堅い値動きか、米追加利下げ観測後退の影響残る

来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加緩和姿勢の後退を受け、ドル高円安の流れは継続しそうだ。1月8日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月17-18日開催)の議事要旨で、インフレ鈍化の一服について認識を共有。また、トランプ政権の政策運営によるインフレ再燃を懸念していることが明らかになった。米国のインフレ指標に対する関心が再び高まりそうだ。14日発表の12月生産者物価指数(PPI)、15日発表の12月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回った場合、1月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で利下げ見送りの可能性が一段と高まり、ドル買い・円売りが強まりそうだ。

一方、12月ISM非製造業景況指数など主要指標は改善が示され、16日発表の12月小売売上高が強い内容なら景況感の回復を好感したドル買いも見込まれる。トランプ政権発足に向け、政策期待が高まればドル買いを後押しか。ただ、日本政府は2024年に1ドル=158円以上の水準で為替介入を実施しており、円安進行によって為替介入に対する警戒感が一段と高まった場合、リスク回避の米ドル売り・円買いが強まり、ドルの上昇を抑えるとみられる。

【米・12月消費者物価コア指数(CPI)】(15日発表予定)

15日発表の米12月消費者物コア指数(CPI)は前年比+3.3%と予想されている。市場予想と一致した場合、インフレの高止まりが意識され、ドル買い要因となろう。

【米・12月小売売上高】(16日発表予定)

16日発表の米12月小売売上高は前月比+0.5%と前回をやや下回る見通し。ただ、消費はまずまず堅調であることから、追加緩和の後退を見込んだドル買いに。

ドル・円の予想レンジ:156円00銭-161円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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