明日の株式相場に向けて=金利高の呪縛とペロブスカイトという呪文

市況
2025年1月14日 17時30分

きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比716円安の3万8474円と大幅安で4営業日続落。全体相場が上昇している時はポジティブな解釈が後からついてくるし、下値模索の場面では追い討ちをかけるように懸念材料がハヤされる。これまで3万8000~4万円のレンジを何往復したのか分からなくなるくらい、ボックス圏での上下動をひたすら繰り返しているが、その都度もっともらしい説明がなされる。しかし、相場の値動きを左右しているのは理屈よりも、AIアルゴのベクトルの向きであることは投資家も薄々気付いている。したがって日経平均が3万8000円近辺まで下押したら、難しく考えずAIになったつもりで、例えば日経レバ<1570>などを対象に機械的に押し目買いを入れておくくらいの投資スタンスで、結果オーライとなる可能性は高い。事実、昨年秋口以降はそのパターンの繰り返しであった。

ただし、今回の日米株の調整局面でセンチメントを悪化させているのは、長期金利の上昇である。こういう言い方は変だが、株安を誘導する材料として金利動向は王道であり、この類いのネガティブ材料は連綿としてなかなか振りほどくことが難しい。なぜなら、今の米国のようにイールドスプレッドの逆ザヤが下げ相場の底流にある場合、その流れを変えるには、株式のリスクプレミアムが正常に機能する状態に戻る必要があるからで、10年債利回りが低下するか、あるいは企業業績(利益)の伸びが長期金利の上昇を凌駕するかのいずれかが条件となってくる。

イールドスプレッドの逆転現象イコール売りではないが、近い将来これが修正されるというコンセンサスが失われてきた場合には厄介だ。今は、米国の株式益利回りが10年債利回りよりも低いというイレギュラー状態が解消される可能性よりも、広がっていく可能性の方が高そうだというコンセンサスが生じている。結論から言えば、米国株はまだ調整不十分で、今後も下値リスクは付いて回る。

今月20日に米国でトランプ新政権が発足する。緊急事態宣言を発令してまで就任早々に一律で関税引き上げを行う、といった過激な政策スタンスを標榜している点が警戒されている。そういうセンシティブな相場環境にあって日本では23~24日に日銀の金融政策決定会合、米国では28~29日にFOMCが行われるわけで、この日米の中央銀行が採る選択肢に耳目が集まるのは当然だ。しかし、今のメインシナリオは日銀が0.25%の利上げを決め、FRBは0.25%の利下げを見送るというのがド本命。連勝複式ならオッズは2倍未満というところで、今回の日米の会合はネガティブサプライズ要素には乏しい。

問題は物色対象である。全体指数を売買するのであれば、前出した日経レバで事足りるが、個別で考えた場合は、日経平均寄与度の高い半導体製造装置の主力銘柄で東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>、あるいはファーストリテイリング<9983>という銘柄の逆張りが妥当である。正直なかなか食指が動きにくいが、需給面で空売りもかなり乗っているということを考慮しておく必要がある。

一方、日経平均に連動しない中小型材料株を狙っていくという手法もある。目先的には好決算発表を好感されたエヌ・ピー・シー<6255>がストップ高カイ気配に買われた。同社は国内太陽電池メーカー向けでペロブスカイト用開発装置の売り上げが伸びていることに言及、これが決算内容よりもむしろ材料株素地を開花させる呪文となった。最近の原油価格の上昇なども、投資マネーの潜在意識に働きかけた面があったかもしれない。エヌピーシー以外では、中低位株ではフジプレアム<4237>。また同テーマで常連となっている伊勢化学工業<4107>なども押し目は改めてマークしておくところ。

あすのスケジュールでは、12月のマネーストックが朝方取引開始前に開示され、午後取引時間中には11月の特定サービス産業動態統計が発表される。このほか12月の工作機械受注額や、取引終了後には12月の訪日外客数が注目される。海外ではインドネシア中銀が政策金利を発表、12月の英消費者物価指数(CPI)も開示される。また、米国では12月のCPIにマーケットの関心が高い。1月のNY連銀製造業景況指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)なども発表予定。これ以外ではウィリアムズNY連銀総裁が米経済団体のイベントで講演を予定しており、その発言内容に注目が集まる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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