明日の株式相場に向けて=任天堂最高値街道の裏側とザワつく周辺株

市況
2025年1月16日 17時30分

きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比128円高の3万8572円と反発。6営業日ぶりに切り返したとはいえ値を下げた銘柄数の方がはるかに多く、朝方に500円近く上昇した勢いは鳴りを潜め、後場は一時下げに転じる場面すらあった。なお、TOPIXはマイナス圏で取引を終えている。前日の欧州株市場が全面高で独DAXは史上最高値を更新。米国でも12月消費者物価指数(CPI)通過後の長期金利低下を背景にNYダウナスダック指数ともに大幅高となり、ナスダック指数の方は今年最大の上げ幅を記録している。相対的な日本株の弱さが目立っている。

12月の米CPIはコア指数の伸び鈍化を市場が好感したとされる。しかし、総合指数の方は伸びが加速しているうえ、コアも前年比で3.2%増と発表されたが、市場筋は「実際は3.248%を四捨五入したもの。あと0.002ポイント右にずれたら(四捨五入で)3.3%だった」(ネット証券アナリスト)と指摘する。つまり、とても鈍化とはいえない誤差の範囲で、エネルギー価格の上昇を考慮して、本来ならかなり金融緩和策が採りにくい状況を示唆していた。前日はCPI発表後に、債券と株式を売っていた向きのアンワインドが生じたが、これはピンポイントで手仕舞っただけという見方もある。

来週は、週明け20日にトランプ新政権が発足し、それを見届けてから日本では日銀金融政策決定会合が行われる。この2つのビッグイベントを前に動くに動けない。そうしたなか、個別では任天堂<7974>が連日の上場来高値に買われた。一時167円高の9732円をつけた後は目先筋の利食いで小幅高にとどまったが、全体相場が変調なムードを漂わせる中で、しぶとく売り物をこなし切った。複数のメディアがニンテンドースイッチの後継機が「16日にも正式発表される」と報じたことが取り沙汰されている。

今月7~10日までの日程で開催された世界最大のIT見本市「CES」でスイッチの後継機の実物を模倣したとされるレプリカが展示されるなどが話題となった。会社側では16日発表の件に関して「当社が明らかにしたものではない」という趣旨のコメントで電話取材なども受け付けないが、「既に箝口令を敷くようなタイミングは過ぎ、噂でも何でもなく発表が秒読み段階にあることは間違いない」(中堅証券アナリスト)という時間軸にある。

後継機発表を出来る限り遅らせているのは昨年の年末商戦へのデメリットを考慮した部分が大きい。しかし、年も変わりその関所は通過した。同社の第3四半期決算発表は2月4日に予定されており、この時点でベールに包まれたままというのは考えにくい。発表した途端に材料出尽くしとはならないにせよ、「後継機対応のソフトがどの程度魅力的であるかなどが売れ行きを左右するため、そうした周辺事情を見極めるまで株価への影響は未知数」(同)とする。任天堂からは引き続き目が離せないが、それ以外に中小型の任天堂関連ではNISSHA<7915>、ダイヤモンドエレクトリックホールディングス<6699>などに着目。また、大株主の京都フィナンシャルグループ<5844>も妙味を内包している。

なお、京都FGはインバウンド関連の切り口でも注目度が高い。前日引け後に発表された12月の訪日外国人客数は単月で過去最高を記録したが、昨年1年間では前年比47%増の3686万9900人と“コロナ以前”である2019年の水準を大幅更新した。訪日客の消費額も年間で8兆円を上回り過去最高となった。いうまでもなくインバウンド特需は地方経済の活性化をもたらし、投資熱ももたらすことから、ファイナンスのニーズが高まりやすく 地銀には商機となる。地銀セクターでは、京都や北海道などと同様に人気を博す沖縄に目を向け、中期で琉球銀行<8399>をマークしたい。PBRは何と0.3倍である。沖縄北部で今年は新たなテーマパークも誕生予定で見直される余地は十分だ。

あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券が入札予定。午後には12月の投信概況が発表される。海外では10~12月期中国国内総生産(GDP)、12月の中国工業生産高、中国の小売売上高、12月の中国固定資産投資、12月の中国不動産開発投資、12月の中国70都市新築住宅価格のほか、欧州では12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)や、11月のユーロ圏経常収支、12月の英小売売上高が発表。また、12月の米住宅着工件数、12月の米鉱工業生産・設備稼働率、12月の対米証券投資なども注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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