パニック後はバーゲンハンティングの始まりか?
AIモデルの安値を巡るパニックの後、IT・ハイテク株が再び人気を集めている。しかし、投資家は依然として限られた情報に基づいてしか行動していない。バロンズ紙がコラムで論じた。
中国のディープシークの低価格AIに対する懸念が過剰反応であったことを示す兆候を市場は待ち望んでいるが、同社のAIはチャットGPTなどのライバルを学習対象としていた可能性があること、また、同社がチップに数億ドルを費やしたというニュースは楽観的な見通しを裏付ける根拠となる。
さらに本日オランダのASMLが発表した、先進的なチップの製造に不可欠なリソグラフィ装置の受注が予想を上回ったという決算報告も追い風となったっている。
しかし、投資家は警戒すべきである。ASMLはAIエコシステムにおいて、ディープシークの潜在的な影響を最も強く受ける企業の1つとなる可能性が高い。同社の複雑な機械は、半導体サプライチェーンの末端に位置し、そのビジネスは台湾TSMCのような企業から成り立っている。これは、エヌビディア<NVDA>のようなチップ設計クライアントからの注文に基づくもので、エヌビディアは、マイクロソフト<MSFT>やメタ<META>などのIT大手にチップを販売している。
つまり、今回のASMLの業績は基本的に過去のもので、ディープシークのドラマは織り込まれていない。むしろ、本日の引け後に発表される決算と併せて、マイクロソフト<MSFT>とメタ<META>が今後の投資計画を発表する際に、より広範な業界の命運が左右されることになるだろう。ディープシークAIの不安がメタやマイクロソフトの決算を悩ませる。
ただ、少なくとも短期的にはIT大手とエヌビディアの間で、株式市場におけるゼロサムゲームが展開される可能性が高い。メタとマイクロソフトは、データセンターへの支出増をコミットすれば浪費家として非難され、逆に将来の抑制を示唆すればエヌビディアが苦境に立たされることになる。
これは必ずしもAIの長期的な将来を反映したものではないが、ディープシークの驚くべき発表は市場を不安定にさせたが、今後数日間はさらに大きな変動も予想される。
株探ニュース