アーバネット Research Memo(1):2025年6月期中間期は減収減益。通期では過去最高業績を更新する見通し

特集
2025年3月10日 15時01分

■要約

アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった都市型賃貸マンション※の開発・1棟販売(卸売り:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特長がある。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて「ホテル事業」へも参入した。2024年2月に連結化した(株)ケーナインとのシナジー創出のほか、開発エリアの拡大(都心隣接地)や新規事業(ヘルスケアアセットの開発等)でも具体的な動きが出てきた。

※ 従来は25m2程度のワンルームマンション中心であったが、最近は需要が増えてきた30~40m2ほどのコンパクトマンションにも対応しているため、「投資用ワンルームマンション」ではなく「都市型賃貸マンション」という表現を使用している。

1. 2025年6月期中間期の業績概要

2025年6月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比30.3%減の7,965百万円、営業利益が同87.9%減の100百万円と減収減益となったが、2025年6月期の第4四半期偏重とする計画により想定どおりの進捗である。主力の「不動産事業」については、都市型賃貸マンションの売上計上が第4四半期に集中していることから販売戸数が1棟50戸(前年同期は5棟342戸)に留まった。一方、ケーナインの連結化に伴い、アパートや戸建・テラスハウスの分譲販売が業績に寄与した。「ホテル事業」については好調なインバウンド需要等に支えられ、稼働率・客室単価がともに上昇し増収を確保した。利益面でも大幅な減収による収益の押し下げに加え、本社オフィス移転に係る費用等により営業減益となった。活動面では用地仕入れが順調に進んだほか、介護付有料老人ホームの開発等の新規事業で成果を上げた。

2. 2025年6月期の業績見通し

2025年6月期の連結業績について同社は期初予想を据え置き、売上高を前期比14.4%増の32,000百万円、営業利益を同2.7%増の2,800百万円と増収増益を見込み、過去最高業績を更新する見通しである。引き続き、主にケーナインの連結寄与が増収に寄与する。前提となる都市型賃貸マンション等の販売戸数は588戸を予定しており、2024年12月末時点で全戸が既に契約済みである。「ホテル事業」についても旺盛な国内旅行需要やインバウンドの拡大により、好調継続を見込んでいる。利益面でも、人的投資に関連する費用増(給与引き上げや本社オフィス移転等)はあるものの、増収による収益の底上げにより増益を確保する見通しだ。

3. 今後の方向性

同社の成長戦略は既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)やM&A、子会社によるBtoC事業(戸建・テラスハウス分譲等、マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を軸とする。特に既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで将来リスクも念頭に入れつつこれまで以上に選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながらも、持続的成長を目指す考えだ。足元では、今般の東京証券取引所(以下、東証)による「資本コストや株価を意識した経営に向けた対応について」などを背景として、戦略的な業務提携やM&Aの実施、人的投資の強化、新規事業への参入など、より成長を意識した動きが活発化しており、新たなステージに向けた具体的な方向性が見えてきた。同社では、持続的成長に向けた事業基盤が整ってきたことから、新たに中期経営計画を公表する予定としている。

■Key Points

・2025年6月期中間期は減収減益となるも、第4四半期偏重とする計画どおりの進捗

・ケーナインのシナジー創出のほか、順調な用地仕入れや新規事業でも大きな成果

・2025年6月期の業績予想を据え置き、増収増益により過去最高業績を更新する見通し

・今後も既存事業の拡大を軸としつつ、M&Aの活用を含めた開発エリアの拡大や新規事業への参入により持続的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《HN》

提供:フィスコ

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