米国株式市場見通し:値ごろ感はあるが、正念場の米国株

市況
2025年3月15日 12時18分

来週の米国株は、報復関税の応酬を横目に見た神経質な展開が続きそうだ。米国とウクライナが合意した30日間の停戦について、ロシアのプーチン大統領が「停戦は長期的な平和につながり、危機の根本的な原因を取り除くものでなければならない」と述べ、十分ではないとの考えを示したことで、地政学リスクは払しょくできていない。また、投資家の心理状況を示すVIX指数は21ポイント台と先行き警戒感も残ったままだ。

来週は、18-19日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。今回のFOMCでは3カ月に一回公表される参加者が適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」の見直しに注目が集まっている。トランプ関税を発端とした報復関税の応酬で米景気の先行き不透明感が強まるなか、3月上旬、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、既にドットチャート見直しの可能性を会議で示唆した。FOMC直前のブラックアウト期間であるため、足下の報復関税の応酬や米国株の下落に対するFOMC高官の発言はほぼない。ドットチャートの見直し幅次第では、主要3指数の下値模索が継続する可能性はある。

一方、相場の水準が切り下がってきたことで米国株の割高感は和らいでいる。S&P500の予想PERは約20倍と、2月の22倍台半ばからは1割強低下している。景気減速懸念は非常に強いが、値ごろ感から米国株の見直し買いが入るタイミングもありそうだ。NYダウとS&P500は52週移動平均線(52週MA)水準をなんとか維持しているが、ナスダックはこの水準を明確に下回った。米国株は一時の調整に終わるのか、それとも下降トレンドに転じるのか正念場を迎えている。

経済指標は、17日に2月小売売上高、3月NY連銀製造業景気指数、1月企業在庫、18日に2月住宅着工件数、輸入物価指数、鉱工業生産指数、19日に週次原油在庫、FRB政策金利、20日に週次新規失業保険申請件数、第4四半期経常収支、3月フィラデルフィア連銀景況指数、2月中古住宅販売件数などが予定されている。

主要企業決算は、17日にイーストマン・コダック、オーシャン・パワーテクノロジー、18日にコーピン、ワークホース、19日にゼネラル・ミルズ、オントラック、20日にアクセンチュア、フェデックス、マイクロン・テクノロジー、21日にカーニバルなどが予定されている。

《FA》

提供:フィスコ

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