来週の株式相場に向けて=TOPIX優勢続く、「米国解放の日」までバリュー株買いか
21日の日経平均株価は前営業日に比べ74円安と続落した。一時200円を超す上昇となったが、後場に入り売りに押された。注目を集めた18~19日の日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ともに「現状維持」で通過した。3月末に向けた年度内の残る注目イベントは、海外では28日の米個人消費支出(PCE)物価指数、国内では27日の配当権利付き最終日となっている。
そんななか、上値の重い日経平均株価に対して、TOPIXの上昇が顕著だ。TOPIXは今日で7日続伸し昨年7月下旬以来、8カ月ぶりの水準に値を上げた。とりわけ、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は商いを膨らませ上場来高値を更新し、三井住友フィナンシャルグループ<8316>やみずほフィナンシャルグループ<8411>といったTOPIXへの寄与度が高い大手銀行株がそろって買われた。日銀の追加利上げ期待に加え、配当権利取りを狙った買いが入ったとみられる。
足もとのTOPIX優勢を象徴するのが、日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」だ。同倍率は13.4倍と20年以来、5年ぶりの水準に低下している。これは、半導体などのグロース株に対して銀行などバリュー株が買われていることを意味する。
このバリュー株優位の流れを生み出している要因に、「トランプ関税」に対する警戒感がある。市場関係者からは「4月2日に発動が予定されている米国の相互関税の内容を確かめるまでは、輸出関連株には手が出しにくい」(アナリスト)との声が出ている。トランプ米大統領は同日を「米国解放の日」と名付けたというが、少なくともその日まではバリュー株優勢の展開が続くともみられており、その後も息の長いTOPIX優勢相場となることも考えられる。
上記以外のイベントでは、海外は24日に3月S&Pグローバル米国製造業PMI、25日に米2月新築住宅販売件数、米3月消費者信頼感指数、26日に米2月耐久財受注、27日に米10~12月GDP改定値が発表される。
国内では、25日に1月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨、2月全国百貨店売上高、28日に3月東京都区部消費者物価指数(CPI)、3月開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される。27日にTAKARA & COMPANY<7921>、ハニーズホールディングス<2792>、28日にキユーソー流通システム<9369>が決算発表を行う。また24日にミライロ<335A>、25日にビジュアル・プロセッシング・ジャパン<334A>、27日にZenmuTech<338A>、ダイナミックマッププラットフォーム<336A>、28日にプログレス・テクノロジーズ グループ<339A>、トヨコー<341A>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7300~3万8200円前後。(岡里英幸)