明日の株式相場に向けて=不動産株に渦を巻く投資マネー

市況
2025年3月25日 17時30分

きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比172円高の3万7780円と4日ぶり反発。4月2日にトランプ米政権が発動予定にある相互関税との距離感を意識しながらの“三進二退”と言う感じである。日経平均は一時500円を超える上昇を示したが、例によって3万8000円台では戻り売りを浴び上げ幅を縮小、前場取引後半には早くも3万7000円台に押し戻される格好となった。

前日の米国株市場はリスクオンで、特にエヌビディア<NVDA>がマドを開けて上昇したのをはじめ半導体関連株への買い戻しが鮮明、東京市場でも追い風が期待された。エヌビディア関連の最右翼といえばアドバンテスト<6857>だが、朝方はエヌビディア効果で高く始まったが、上値が重いと見るや利食い急ぎの動きが顕在化し、気が付けばマイナス圏で下値を探る動きに変わっていた。同社株は前日まで陰線3本で下値を切り下げる俗に言う「三羽烏」のチャートを形成していたが、投資家の疑心暗鬼を如実に映し出していたともいえる。

代わって強さを発揮したのが 不動産株だ。前週の日銀金融政策決定会合を経て日銀が利上げを急がないというコンセンサスが台頭し、金利上昇に伴う有利子負債や調達コスト負担の増加が嫌気される不動産株にはプラスの思惑として働いたという見方もある。だが、もっと構造的な部分で物色ターゲットとなっている印象もある。例えば、米アクティビストによる株取得が思惑を呼び、前日に住友不動産<8830>が急騰し最高値をつけたのは暗示的な事象である。

日銀が年内あと2回の利上げを行うとしても実質金利のマイナスは続く。そして、インバウンド効果による物価上昇の波が最も勢いよく流れ込んでいるのは土地やマンションだ。不動産価格高騰が続くなか、大手不動産は自社の株式時価総額を保有資産がはるかに上回る状況となっており、こうした状況を鑑みてファンド系資金が不動産株を買い込む動機となっていることは疑いがない。「丸の内の大家さん」の異名を持つ三菱地所<8802>も、眠れる獅子がいきなり目覚めたかのような上昇チャートを描き始めた。35年以上前のバブルの残像が色をつけて復元されてきたような気配がある。

不動産関連の中小型株にも投資資金が向かっている。ホテル関連の切り口とも被るが、前日取り上げたコスモスイニシア<8844>は昨年来高値圏でなお強調展開にある。昨年11月以降の上げ足は急ピッチだが、PER6倍台でPBR0.7倍台という水準は依然として上値余地を示唆する。中小型株となると不動産流動化のテーマに絡む銘柄が多くなるが、中古マンション価格も上昇一途でビジネスチャンスは大きい。

ここにわかに上値指向を強めているのがスター・マイカ・ホールディングス<2975>で、5日・25日移動平均線のゴールデンクロス示現を経て、5日移動平均線をサポートラインとする上値追いを続けている。同社はリノベマンション事業が売り上げの96%とほとんどを占めているが、顧客需要を捉え業績は好調を極めている。11月決算銘柄で、28日の配当権利落ち後の株価調整圧力とも無関係であり、その点は買いやすさがある。また、都市型レジデンスの開発や中古不動産のバリューアップビジネスを展開するディア・ライフ<3245>も強さを発揮しており目が離せない。きょうは昨年12月につけた1114円を上回り上場来高値を更新した。PERが割安なだけでなく、5.5%台の高配当利回りが魅力となる。期末一括配当だが決算期は9月であり、同社株も配当権利落ちの洗礼を受けない強みがある。25年9月期は最終利益段階で前期比2.1倍の68億円予想と過去最高を大幅に更新する見通しにある。更にグッドコムアセット<3475>もチェックしておきたい。1月下旬につけた直近高値からかなり調整を入れた水準にあり、値ごろ感からも買い妙味がある。同社は東京23区で投資用マンションの企画・開発・販売を手掛けている。法人向けだけでなくリテール向けも増勢にあり、足もとの業績も順調である。同社は10月期決算企業であるが、24年10月期に営業利益は前の期比2.5倍の54億5100万円と過去最高を更新した。続く25年10月期も前期比8%増の58億8000万円予想でピーク利益更新基調が続く見通しにある。

あすのスケジュールでは、2月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に発表されるほか、午後取引時間中には1月の景気動向指数改定値、2月の全国スーパー売上高が開示される。海外では英2月の消費者物価指数(CPI)のほか、2月の米耐久財受注額などが注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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