米国株式市場見通し:関税発動と雇用統計に警戒、主要3指数は調整入りか

市況
2025年3月29日 13時30分

来週の米国株は、相互関税と追加関税の発動のほか、雇用関連の重要経済指標の発表も控えていることから、警戒感が先行する展開となりそうだ。トランプ大統領は2日に相互関税の導入を予定しており、3日にはすべての輸入自動車に25%の追加関税を課すとしている。相手国が報復関税に動けば貿易戦争が激化し、米経済のみならず世界経済に影響するとの懸念は非常に強い。

今週、24年11月-25年1月期決算を発表したルルレモンは、足下の業績は好調だったが、26年1月期の収益見通しが市場予想を下回ったことから前日比14%急落した。同社は軟調な収益見通しの背景として、トランプ関税政策と消費者心理の悪化を挙げている。企業業績に対する影響が出始めていることが明確となり、投資家心理はより悪化したと考える。中国による規制強化などを受け、エヌビディアも4日続落し今年の安値に迫っており、テック株も厳しい状況だ。

また、来週末に発表される3月雇用統計に対する警戒感も強い。前月の2月雇用統計は、連邦政府機関の大幅な支出削減などの影響が出始めたことで弱かったと見られている。現時点における連邦政府職員削減の取り組みが直接的に労働市場を大幅に悪化させるわけではないとの声もあるが、米経済に対する先行き不透明感が強まっているなか、市場予想よりも雇用統計が悪化した場合、投資家心理のさらなる悪化につながり、売り圧力が強まる可能性は十分ある。主要3指数は、そろって25日移動平均線(25MA)に頭をおさえられ、3月13日につけた今年の安値を試す格好だ。今週末時点での史上最高値からの下落率は、ナスダックが-14.1%、NYダウが-7.6%、S&P500が-9.2%である。「主要3指数そろって調整入り」の可能性が非常に高いことから、来週の米国株は正念場と言えよう。

経済指標は、3月31日に3月シカゴ購買部協会景気指数、4月1日に3月製造業PMI(確報値)、2月建設支出、JOLTS求人件数、3月ISM製造業景気指数、2日に3月ADP雇用者数、2月製造業新規受注、耐久財受注(確報値)、週次原油在庫、3日に週次新規失業保険申請件数、2月貿易収支、3月サービス業PMI(確報値)、コンポジットPMI(確報値)、ISM非製造業景気指数、4日に3月雇用統計などが予定されている。

主要企業決算は、3月31日にワークホースグループ、ブルーバード・バイオ、4月1日にエヌシーノ、2日にオントラック、3日にコナグラ・ブランズなどが予定されている。

《FA》

提供:フィスコ

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