明日の株式相場に向けて=究極のリスクオフ、大逆転の条件は

市況
2025年4月7日 17時30分

週明け7日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2644円安の3万1136円と暴落に見舞われ3営業日続落となった。朝方に雪崩を打ったような売り注文に押し潰されるように一気に3万1000円台を下抜けた。その後にいったん下げ渋ったが、後場に入っても流れは変わらず売り直されることに。下落幅が歴代3位という事実もさることながら、プライム市場の値上がりがわずかに6銘柄、99%以上の銘柄が下げるというのはやはり尋常ではない。売買代金は前週末が6億8000万株、きょうは7億株近くこなした。常識的にはセリングクライマックスとみなすこともできるが、長い目で見て悲観相場の入り口となっている可能性も否定し得ない。東京市場はカオスの只中にいる。

株式市場で成功するためには「友なきほうへ行け」という。人と同じ方向に視線を合わせていてもそこに果実は落ちていないというのが投資の本質である。その他大勢と同じ投資行動をしていれば、リスクから遠ざかりながらリターンを得ることが可能という錯覚に陥りやすいが、実際はその方が取り分は少なくなり、相対的にテールリスクが“いつかどこかで”容赦なくのしかかってくる。

新NISAブームもあって個人マネーが投信経由で猫も杓子も米国、あるいはAI関連株に向かい、その象徴として個別ではエヌビディア<NVDA>株が組み入れられる流れが形成されてきた。いわば、その他大勢と一緒に表通りを何の疑問も持たず進んできた結果、思わぬ風雨に晒される格好となった。中長期投資であれば、足もとのノイズは気にするなというが、既に株価と収益の大変貌を果たした銘柄に長期でつくことが理にかなっているかといえば、それは大きな誤謬だ。順張りであっても中長期投資で成功するコツは完成形の銘柄を買わないことであり、株式市場と対峙する以上は“エヌビディア2世”を探すことに努力を怠ってはいけない。

では、今の急落場面は友なきほうへ行く絶好の機会となるだろうか。皆が逃げてきた方向に勇敢に突き進めば大利を収めることが可能となる。「落ちてくるナイフはつかむな」というが、状況を確認してから駆け寄っても、その時には既に誰か他の“足の速い人”に拾われてしまっているというのが、よくあるオチとなる。今の急落にチャンスの匂いを感じるなら、どこでナイフに手を出すかという選択肢となる。

これについては、理屈ではなくほぼ9割方、株式需給に左右される。市場関係者によると「前週末時点で信用評価損益率は全市場ベースでマイナス17%、きょうの下げで評価損益率が20%前後に達し、追い証ラッシュは避けられない」(ネット証券アナリスト)とする。きょうの引け値で洗い直し、あすの寄り付きで追い証発動となるが、こういうケースでは前日時点で自主的にロスカットする投資家がかなり多いという。きょうの一時3万円トビ台までの暴落は、その投げ売りも上乗せされた可能性が高い。テクニカル指標や売買代金推移をみても底値を暗示するシグナルに事欠かない。

では、きょう日経平均が朝方の底打ちから戻り足に転じることができなかった最大の理由は何か。それは同じ時間軸で米株価指数先物が更に下値を探っていたことだ。今晩の米株市場が、戻りの兆しをみせれば東京市場は急反転に向かうことは分かるが、米先物をみる限りまだ下値は深そうである。東京市場でも見切り発車は相応のリスクを背負うことになる。中期的にはともかく、個人的な見解として今週後半までに日経平均が急速なリバウンドに転じる可能性はあるが、カギを握るのは米株市場の動向だ。そして、その最大のカタリストは「トランプ発言」ということになる。相互関税は2階建て方式で一律10%の基本税率は5日に発動されたが、上乗せ分は9日に発動される。それまでのあと2日間のモラトリアムに、トランプ米大統領が妥協的な姿勢を示すかどうか。「政策は決して変えない」と強気のコメントをしているが、本心はかなり迷いが生じているはずだ。ここ一両日のトランプ氏の一挙一動に世界の視線が注がれることになる。

あすのスケジュールでは、3月上中旬の貿易統計、2月の国際収支、3月の対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に30年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には3月の景気ウォッチャー調査が発表される。なお、この日はお釈迦様の誕生日とされ各地の寺で「花祭り」が行われる。海外では特に目立ったイベントは見当たらないが、米3年物国債の入札が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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