三菱重は8倍株に、勝ち技の裏に「母子家庭差別」の悔しさ
すご腕投資家さんに聞く 『銘柄選び』の技
トランプ波乱を勝ち抜く技
XYZさんの場合-1回完結
イラスト:福島由恵自営業の傍ら、株式投資にも取り組む。投資は1990年代にスタートし、累積で5億円のリターンを獲得。大手旅行代理店の社員として海外を飛び回ってきた経験から、日本株以外に中国や米国の個別株、インド株の投資信託などグローバルに投資をしていた。本腰を入れて取り組むようになったのは2015年。脱サラし、起業したことで、経営資金を稼ぐ手段として日本株投資に注力するようになった。「株探-個人投資家大調査-2025」の回答者で、日本株の投資スタイルは「グロース重視」、腕前は「上級者」となる。
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| この記事を読んで分かること |
| 1. テーマ重視でバガー銘柄を当てる方法 |
| 2. 運用効率を高めるために意識しているポイント |
| 3. 「右寄りの考え」が投資にプラスになっている理由 |
今回登場する兼業投資家のXYZさん(ハンドルネーム)は、取材を始めた早々にこんな自己紹介をした。
「自分は右寄りの人間なんです」
そのキャラらしく、最近の大ヒット銘柄は三菱重工業<7011>だという。同社が開発する防衛関連製品に期待して2021年に仕込んだところ、想定以上の株価上昇の恩恵を受けた。足元の時価評価額は3500万円と元本の8倍近くに膨らむ。
三菱重以外にも、川崎重工業<7012>やIHI<7013>の防衛関連2銘柄を21~24年からポートフォリオに組み込んでいる。
投資歴30年を超えるXYZさんは、日本株で5億円のトータルリターンを稼いできた。その原動力の1つに、本人が自認する「右寄りの考え」がある。
「国益」や「国際社会での地位」などを重視するXYZさんは、「世界に誇れる強い企業」と判断した銘柄をガチホ(長期保有)して資産を膨らませている。
ただし「右寄り」と言っても、XYZさんは会社員時代から中国とのビジネスにかかわり続けていることから、反中感情から生じたものではなさそうだ。
どちらかというと、本人が少年時代から渇望してきた要素が影響している。少年時代の経験をバネに、5億円のリターンをもたらした銘柄選びについて見ていこう。
■三菱重の月足チャート(2020年末~)

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
投資スタイルは「テーマ重視」
XYZさんの投資スタイルはテーマ重視だ。テーマの選定も、銘柄選びと同じように「世界の中で日本が優位性を発揮できそうな分野」にこだわっている。
「防衛」関連に注目したのも、そうした理由からだ。日本の防衛産業は、伝統があり、高い技術力を有していると評価している。XYZさんが2020年代に防衛関連に注目したのは、防衛費増額の議論が本格化し、国策としての重要性が一段と高まったと判断したからだ。
その防衛関連で保有している先の3銘柄は、時価評価額が合計9600万円になる(下の表)。そのうち7800万円が含み益となり、XYZさんの中で「勝負銘柄」の位置づけだ。
これら3銘柄を「強い企業」と判断したポイントは2つある。このうち1つは、XYZさんならではの視点になる。
■防衛3銘柄の保有状況
| 銘柄名<コード> | 取得開始 | 保有株数 | 時価評価額 | 含み益 |
| 三菱重<7011> | 2021年2月 | 10600株 | 3487万円 | 3037万円 |
| 川重<7012> | 21年2月 | 2800株 | 2832万円 | 2128万円 |
| IHI<7013> | 24年2月 | 2100株 | 3293万円 | 2609万円 |
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