伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月21日版
休み明け後に下げると、8月に3万6000円以下へ下げる可能性を残す
1. 日経平均の8月の動き方
図1、図2は、1990年から2024年までの 日経平均株価の8月の値動きです。図1が8月の月足が陰線引けしたときの値動きで、図2は8月の月足が陽線引けしたときの値動きになります。
図1のパターンをおおまかにまとめると、月足陰線のときは20年中、14年が[1]、[2]のパターンになっていて、月初から下げるパターンになっていることがわかります。
月初から下げない場合、上下にジグザグして保ち合いの動きを経過した後、結果として月足が陰線引けしている展開となるケースがほとんどです。
図2のパターンをまとめると、[1]、[2]、[3]、[4](15年中の7年)は、月初から上昇の流れを作り、その後、月末まで月初の安値を割れずに推移する展開となっています。
[6]、[7]は、月初に大きく下げた後、月末へ向けて上昇を開始して下げた分以上に戻す展開です。[6]、[7]は、図1の[1]のパターンの上げ幅が大きくなっただけです。
以上の値動きのパターンから、8月は月初から上昇するか、月初に大きく下げる展開にならなければ保ち合いの動きとなっています。
なお、8月が月初から上昇している[1](1995年、2000年、2020年)、[2](1994年)、[3](1993年)、[4](2012年、2022年)のケースでは、8月に年初来高値を更新する格好で積極的に上昇する展開になっているわけではありません。
8月の上昇は、下げていた価格が反発するか、年初来高値を目指す格好で上げる動きになっているに過ぎません。
1993年は、年初来高値となる5月11日高値の2万1224円を目指す過程で8月が上昇しています。
1994年は、6月13日に2万1573円で戻り高値をつけた後、下降を開始しています。7月末に押し目をつけて、8月が月初から一時的な反発を経過する過程で月足が陽線引けしています。
1995年は、年初から下げの流れを作り、7月3日に押し目をつけて、下げ分を戻す動きを経過する過程で、8月が上昇して月足が陽線引けしています。
2000年は、4月から7月31日まで下げた後、8月が月初から一時的な反発を経過して、月足が陽線引けしています。
2012年は、3月から6月4日まで下げの流れを作り、その後、安値圏で11月まで保ち合いの動きとなっています。8月は、7月の下げ分を戻す格好で月足が陽線引けする展開となっています。
2020年は、年初から3月まで大幅安となっています。3月以降に上昇を開始して、6月以降、ジグザグに緩やかな上げの流れを作っています。ジグザグの過程で7月に下げて、8月は緩やかな上昇の流れを作っています。
2022年は、年初から3月まで下げた後、下値堅く推移しています。8月は、1月の高値を目指す格好で月足が陽線引けしています。
図1 日経平均の8月が陰線引けしたときの値動きのパターン

図2 日経平均の8月が陽線引けしたときの値動きのパターン
