伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 7月27日版
日経平均は8月に3万9288円以下へ下げる公算
1. 7月に年初来高値を更新した年の値動き
以前から述べている通り、 日経平均株価は5月頃から9月頃までの期間、上値を抑えられやすい時期になります。
7月、8月は「夏枯れ」と呼ばれ、特に高値を更新する展開になりにくい時期です。実際、1990年から2024年までの35年間で、年間の強弱にかかわらず7月、8月に1月から6月までの高値を更新した年は、1999年、2003年、2005年、2009年、2024年の5回しかありません。
1999年、2009年と、2024年は1月から6月までの高値を更新した後、すぐに上値を抑えられています。
1999年は、6月の上昇を継続する格好で7月中旬に戻り高値をつけて、その後、9月下旬まで上値重く推移しています。
2009年は、6月の高値を7月末に更新して8月に戻り高値を付けた後、11月末まで上値重く推移しています。
昨2024年は、7月11日に戻り高値をつけた後、8月5日まで急落しています。
2003年、2005年は、7月または8月に1月から6月までの高値を更新した後、そのまま上昇の流れを継続しています。
2003年は、政府が大手銀行を救済する政策が好感されて、4月末以降、上昇の流れへ入っています。
2005年は、前年から米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げていて、日銀が金融緩和を継続していたため、ドル円相場が年初から円安方向の動きへ入り、5月から12月まではっきりとした円安の流れを作っています。日経平均株価は5月に押し目をつけた後、円安の流れとともに、年末まで目立った調整のない上昇の流れを作っています。
2003年、2005年のような特別な材料がなければ、7月、8月は1月から6月までの高値を越えられずに推移しています。
年間が強気に推移する流れの中で、7月、8月に高値を更新する動きとなる場合もありますが、そうなっても一時的な動きで終わり、その後、少なくとも9月下旬まで上値重い動きとなっています。
8月上旬は価格が下げる場合、下げ幅の大きな動きになりやすいので、7月末に下げの流れがはっきりしていれば、8月上旬に大幅安となることも考えられます。