伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 8月11日版
明日の寄り付き値が4万2033円以下なら、3万6855円目指す可能性が出てくる
1. 6月、7月、8月が陽線引けした年の状況
本年の 日経平均株価は6月、7月の月足が連続して陽線引けする展開となっています。8月の月足も陽線引けする場合、上値を抑えられやすい6月、7月、8月に連続して月足が陽線引けすることになります。
1990年から2024年までの期間で、6月、7月、8月の月足が連続して陽線引けした年は、2003年、2005年、2009年、2018年の4回だけです。
2003年は、政府が5月に大手銀行救済のため公的資金による資本注入を認めたことで、金融危機が回避されました。それまで下降を継続してきた日経平均株価は4月28日の安値が押し目になって上昇を開始し、2007年まで継続する上昇局面へ入っています。
2005年は、前年から米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げている状況で、日銀が緩和政策を継続したため、ドル円相場が5月からはっきりとした円安の流れへ入っています。5月4日安値の1ドル=104.16円から12月2日高値の121.23円まで、17円幅の円安局面となっています。
日経平均株価は2003年の上昇を2004年4月まで継続した後、横ばいに推移してきましたが、そのレンジ内の展開が2005年5月に終わり、5月の安値が押し目になって、その後、円安の流れとともに積極的な上昇局面へ入っています。
2009年は、3月に NYダウがリーマン・ショック後の底値をつけて上昇を開始しています。日経平均株価もNYダウとともに、3月に押し目をつけて上昇の流れへ入っています。
これらの年は、政府、日銀が株価を押し上げる政策を実行することで、日経平均株価が3月、5月に押し目をつけて上昇を開始しています。それでも、8月頃までの期間で一気に上げ幅を拡大した2003年、2009年は、8月の高値付近が年末までの重い壁になっています(2005年は、2004年からの保ち合いレンジ上限へ8月に到達した後、円安とともに年末まで一本調子に上昇しています)。
2018年は、6月から8月までだいたい2万2000円から2万3000円のレンジでジグザグに推移して、たまたま6月、7月、8月の月足が陽線引けする結果になっているだけです。
本年の日経平均株価は、2003年、2005年、2009年と似た展開になると推測しにくい状況のため、8月の月足が陰線引けすると考えられます。
また、8月の月足が陽線引けする展開になるとしても、2003年、2009年と同様、本年は8月までの高値付近が年末までの重い壁になる可能性があります。