「教科書」信者を卒業したら、5000万円が3億円
すご腕投資家さんに聞く 『銘柄選び』の技
趙(ちょう)さんの場合-第3回
イラスト:福島由恵投資歴18年の専業投資家。中小型グロース株に長期・集中投資を行い、累積で1000万円の元本から3億5000万円のトータルリターンを生み出す。投資は、2007年、大学時代に開始。その後修士課程を経て就職するも、会社員生活が合わず入社1年で専業投資家に転身した。当初はバリュー分散投資を実践していたが、「より早く大きく増やしたい」と、17年に現在のスタイルにシフトした。現在、「ある夢」を叶えるため、投資で資産100億円を目指している。
・第1回「『より早く、より大きなリターン』のために、3つの工夫で3.5億円」を読む
・第2回「カバーは『?』でANYCOLORは『◯』で、4100万円のツボ」を読む
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・「すご腕投資家」の記事一覧を見る
| この記事を読んで分かること |
| 1. これまでの勝ちパターンを手放した理由 |
| 2. スタイル転換のきっかけとなった、ある著名投資家の発言 |
| 3. 「早く、大きなリターン」を追求する原動力 |
「ミスターマーケット」には、勝てたかな。
すご腕と呼ばれる投資家ほど、TOPIX(東証株価指数)と自身のパフォーマンス(運用成績)を比較している人が多い。日々チェックを怠らないという場合もあれば、週次や月次または年次で比べているという例もある。
TOPIXとの比較は、自分の投資法に改善の余地があるのかを判断する材料になる。負けが続くなら、インデックス投資に切り替えるか、戦略を大胆に見直さない限り、効率よくリターンを稼ぐことはままならない。
負けずとも、自分の思い描く勝ちを手にできなくなったら、見直しに着手することも必要だ。今回登場の趙さん(ちょうさん、ハンドルネーム)は、まさにこの経験をした。
趙さんが、それまでの戦略を見直す決断をし、実行に移したのは、2016年末だった。その判断が奏功し、運用資産は16年末の5000万円から25年8月末には3億1000万円に増え、この期間の対TOPIXの超過リターンは+418%となっている。
これらの成果をもたらしたポイントは3つ。1つ目は「低リスク・高リターンの中小型グロース狙い」、2つ目は「機会損失を極力避ける」。そして最後が、今回の記事で紹介する「これまでの勝ちパターンにこだわらない」だ(下の表)。
これまでの勝ちと言うように、趙さんは従来の手法でもTOPIXに負けた年は11年末~16年末で1回のみ。それもわずかな差での負けだ。なぜ、趙さんは、これまで親しんできた勝ちパターンを捨てることにしたのか。
■趙さんが日本株投資で工夫している3つのポイント
あるカリスマ投資家の勝ち技に目を奪われる
先に触れたように、趙さんは従来の投資法でも運用資産を4倍以上にしている。具体的には、11年末は1200万円だったのが、16年末には5000万円に膨らました。
だが、年を追うごとに趙さんは、ストレスを感じるようになっていた。期待していたパフォーマンスが、低下する一方だったからだ。
専業デビューしてからの2年は良かった。11年末時点と12年末時点での対TOPIX超過リターンは90%と49%の高水準だった。この勢いを削ぐ状況となったのが、アベノミクスだ。
13年春に黒田バズーカ(日銀の異次元緩和政策)の号砲が世界中に響き渡り、日本株市場が底上げされていくモードに転じると、13年末にはTOPIXをわずかにアンダーパフォームした(下のグラフ)。14年~16年は再びアウトパフォームしたが、従前からは下り坂の状況だった。
■趙さんとTOPIXの年間騰落率と運用残高の推移

注:2011年末~16年末
「このままでは、自分の夢を叶える資金を築くことなど、到底できない。今までのやり方をゼロから変える」と本人は意を決した。
その決意を促すきっかけとなったのが、あるカリスマ投資家の存在だった。その投資家は、趙さんが視聴していた経済ニュース番組でインタビューを受けていた。そこで、発せられていたのが、大きなリターンを生むためのエッセンスだった。
趙さんは、大学院でファイナンス理論を学び、それを投資に生かしてきた。しかし、カリスマ投資家が発していたメッセージは、それまでの学びや実践とは180度異なる内容だった。
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