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プラチナは高値圏でもみ合い、供給不足見通しが下支え <コモディティ特集>

特集
2025年11月26日 13時30分

プラチナ(白金)の現物相場は、10月に金の史上最高値更新を受けて2013年2月以来の高値1729.52ドルをつけたのち、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ観測後退などに上値を抑えられ、1500ドル前後に下落したが、3年連続の供給不足見通しが下支えとなり、もみ合いとなった。インフレ高止まりやBRICSなど新興国を中心にドル離れの動きがみられることも下支え要因である。ドル安を受けて金が史上最高値を更新すると、プラチナもつれ高となるとみられる。

10月28~29日の米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、3.75~4.00%とすると決定した。労働市場減速のリスクを受けて9月に続いて2会合連続で利下げが決定された。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で「12月の利下げ決定は既定路線ではない」と述べた。11月19日に公表された議事録では、データ不足やインフレ高止まりで意見が分かれるなか、反対票が出るなかで利下げが決定されたことが明らかになった。

米政府機関の一部が10月1日から閉鎖されたことを受け、米雇用統計など各省庁の経済指標の発表は延期された。11月13日に米議会でつなぎ予算案が可決、トランプ米大統領が署名したことで過去最長の政府機関閉鎖は終了したが、11月の米雇用統計や米消費者物価指数(CPI)の発表はそれぞれ12月16日、18日と12月の米FOMCに間に合わず、データ不足の状況に変わりはない。ただ、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁やウォラーFRB理事、ミランFRB理事が利下げを支持しており、今後発表される経済指標で代替できるかどうかを確認したい。

●ガザ・ウクライナの和平の兆しで投資資金の動向も確認

国連安保理は11月17日、トランプ米大統領がまとめたガザの紛争終結計画を支持し、パレスチナ自治区ガザに国際安定化部隊を派遣することを認める決議案を採択した。ただ、ハマスは武装解除しない方針を表明した。また、決議はパレスチナ人が国家を樹立する可能性に言及しており、イスラエルの対応も焦点である。

一方、米国とウクライナは24日、スイスのジュネーブでウクライナ和平案を巡る協議を行った。和平案の項目は当初の28から19項目に絞り込まれた。ウクライナのゼレンスキー大統領が訪米し、トランプ米大統領と和平案について協議するとみられており、月内にまとまるかどうかを確認したい。これまで米ロの核実験の可能性が伝えられるなど、地政学的リスクが意識されたが、ロシアが和平案を受け入れれば停戦期待が高まるとみられる。

●プラチナは3年連続の供給不足見通し

プラチナETF(上場投信)残高は11月24日の米国で37.61トン(10月末38.48トン)、21日の英国で11.43トン(同12.29トン)、南アフリカで6.47トン(同7.18トン)となった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万8953枚(前週1万8341枚)に拡大した。米政府機関閉鎖が終了し、発表が再開された。データは過去のものから、順次発表される予定である。

ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告によると、2025年は22トンの供給不足と前回見通しの26トンから下方修正されたが、3年連続の不足予想に変わりはなかった。トレヴァー・レイモンドCEOは「2025年のプラチナの大幅な供給不足は、貿易摩擦に関連した投資フローによって拍車がかかった。世界情勢の不確実性が依然として続くなかで、2026年に市場の均衡という現在の予測は、貿易摩擦の緩和を想定したもの。こうした緊張が続く場合は、2026年もプラチナの供給が需要に追い付かない可能性が高い」と述べた。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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