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四半期決算の廃止への是非は? 各有識者の主張

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2025年11月27日 3時07分

トランプ大統領は、上場企業の決算の四半期ごとの公表義務を廃止し、半期ごとに変更するよう米証券取引委員会(SEC)に提案している。政府閉鎖の影響で作業が遅れ、SECは年末から来年初めに最新のレビューを示す可能性があるとの観測も出ている。バロンズ紙が賛成、反対、それぞれの各有識者の主張を伝えた。

【四半期報告の廃止に賛成の意見】

①ナスダックCEO アディーナ・フリードマン氏

・四半期報告のコストが上場のハードルとなり、個人投資家に不利。

・リアルタイム情報が多い時代に、四半期報告は時代遅れ。

・上場企業の規制コストは時に時価総額の4.3%に達する。特に中堅企業には重い負担。

・短期志向を助長し、長期の投資・成長を阻害。

・半期報告にしても年次報告や8-K(重要な出来事が起きたときに速やかに提出する報告書)は残り、透明性は極端に低下しない。

・四半期報告の廃止で、より多くの企業が上場し市場は強化される。

②フォーチュン500元CEO・CFO マイケル・アーチボルド氏

・四半期ごとの監査・法務コストは小型企業の上場意欲を低下させる。

・半期化でコストは下がるが、短期志向を劇的に改善する効果は限定的。

・本当の短期志向の原因は、CEOの任期短縮やファンドなど外部からの圧力。

・報告頻度の削減は万能薬ではないが出発点になる。

【四半期報告の維持に賛成の意見】

①ポートフォリオマネージャー(ドライファス、ヒプスキンド、マクボイル氏)

・米資本市場の強さは情報開示の頻度と規律に支えられている。

・情報量を減らせば不確実性とボラティリティが増す。

・大口投資家だけが優位になり、小口投資家が不利になる。

・英国・EUが半期化したが、多くの企業は自発的に四半期情報を出し続けている。

・半期化は長期志向を促す効果が確認されていない。むしろ株価変動が増えた。

・短期志向を変えるには、報酬制度やガイダンスのあり方を見直すべき。

②証券弁護士 ダレン・ロビンズ氏

・AI時代は変化が速く、情報遅延の6カ月は永遠に等しい。

・企業評価が急変する中、透明性低下は市場に誤解と損失を生む。

・四半期データはアナリストの長期予測精度を25%高める研究もある。

・短期志向の原因は開示頻度ではなく、インセンティブ設計にある。

・半期化は、問題のない問題を解決しようとするもの。

③ 証券・独禁法弁護士 クリスティン・フォックス、デイビッド・サルダマンド氏

・投資家にとって正確でタイムリーな情報は不可欠。

・開示が半年空くと小口投資家が情報格差で不利に。

・報告が減ると誤情報や推測が増え、市場のノイズとボラティリティが上昇。

・不正行為の発見が遅れ、インサイダー取引の余地も広がる。

・短期志向やコスト問題は理由として弱く、デメリットが上回る。

以上、賛成派はコスト削減や上場促進、長期志向を主張している一方、反対派は透明性の低下、不正リスク増大、ボラティリティ増加、情報格差拡大を懸念している。AI時代の高速変化や米資本市場の強みを考えると、反対論の方が強いという見方も多い。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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