伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 11月30日版
日経平均は週明け後に上昇するかが焦点
1. NYダウの12月の動き方
図1は、 NYダウの12月の値動きです。図中の数値は、1990年から2024年までの12月の4本値、月足の陰陽(陽線が〇、陰線が●)、陽線、陰線のときのローソク足の各部位の長さ、月足が陽線の年の最安値の日付と月初からの日柄になります。
12月は、陽線確率が71%と上昇傾向の強い月です。
NYダウは、米国の年度末となる9月へ向けて下げる傾向があり、10月頃に押し目をつけて、年末へ向けた上昇の流れへ入ります。11月、12月は上昇傾向が強く、11月と12月が連続して月足が陰線で引けた年は、1990年から2024年までの期間で2007年と2008年の2回しかありません。
図1 NYダウの12月の値動き

図2は、12月の月足が陽線引けした年のパターンをおおまかにまとめたものです。12月の月足が陽線引けする場合、11月の上昇の流れを継続する格好で月初から上昇するパターンと、11月の上昇が終息して調整を経過するパターンの2通りがあります。
図2のパターン1は、11月の上昇が終息して12月が保ち合いの動きとなって、結果として月足が陽線で引けているパターンです。月初に上昇して、その後、早い時期に上値を抑えられて、月中に12月の最安値をつけた後、年末へ向けて再度上値を試す動きになって、月足が陽線で引けています。
パターン2は、12月の月初にいったん大きく下げて、12月9日頃に押し目をつけて、月末へ向けて上昇するパターンです。こちらの展開になる場合、早めに押し目をつけて、上昇を開始するので、年末へ向けて月初の高値を大きく上回る動きになるケースも目立ちます。
パターン3は、11月の上昇を継続する格好で、月初から上昇の流れを作るパターンです。
図2 NYダウの12月の上げパターン

図3は、NYダウの日足と本年の12月の想定できる展開です。まずは12月の月足が陽線引けする展開を想定して、そうならなければ月足が陰線引けする展開を考えていきます。
図2のパターン1になる場合、最近の勢いの強い上昇を継続する格好で、一気に11月12日高値の4万8431ドル水準へ上昇して、その後、上値を抑えられて12月の月初の安値を割れる動きを経過すると考えられます。
12月中は4万8000ドル前後での保ち合いの動きへ入り、1月以降、上下どちらかへ動意づく公算です。
上げやすい12月に上値重く推移することを考慮すると、1月以降はいったん下値を試す動きへ入ると推測できます。
パターン2になる場合、週明け後、すぐに上値を抑えられて、下値を試す動きになった後、押し目をつけて再上昇を開始するパターンです。
目先の下げは4万8431ドルが強い抵抗になっていることを示す動きになるため、週明け後に価格が下げて値幅を伴った動きになる場合、年末へ向けて価格が上昇しても4万8431ドルへ届かず、1月以降に上値を抑えられると推測できます。
パターン3は、週明け後、一気に4万8431ドルを超えて、そのまま年末へ向けた上昇の流れを作る展開です。今後の価格が4万8431ドルを超えて、さらに上値を試す動きになる場合、パターン3の展開になるという見方が有力です。
週明け後、すぐに上値を抑えられるなら、本年12月は月足が陰線引けするか、4万8431ドル前後で上値の重さを確認する作業になるかのどちらかだと推測できます。
図3 NYダウ(日足)と12月の展開
