小松マテーレ:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】
| ●小松マテーレ <3580> [東証P] レーティング:NEUTRAL(2024/12/18)→ NEUTRAL ◆染色を基盤とした「化学素材メーカー」 ◆販売増加・値上げが奏功、一方で投資有価証券評価損を計上 ◆海外事業・サステナブル商材に注力 |

◆染色を基盤とした「化学素材メーカー」
繊維の染色加工技術を基盤とした素材製造業(資料1、出所:決算説明資料)。衣料分野では、質感や触感、耐久性、吸放湿性などに優れた高機能素材を開発し、世界的に認知度が高いトップブランドに売り込む。採用されると、他ブランドにも注目され、取引量が増える―という販売戦略をとる。資材分野は、医療福祉、生活資材、車両内装材などを展開し、炭素繊維や超発泡セラミックス建材といった環境共生素材も手掛ける。
(資料1)売上構成比(2025年3月期)

◆販売増加・値上げが奏功、一方で投資有価証券評価損を計上
今期(2026年3月期)第2四半期累計期間の営業利益は前年同期比16%増となって過去最高を更新した一方、純利益は同88%減だった(資料2、出所:決算短信・決算説明資料)。期初の会社予想に比べると営業利益が5億円の上振れ、純利益が6億円強の下振れだ。これとほぼ同額の見直しを通期予想で行い、営業利益は中期経営計画の目標(来期(2027年3月期)25億円)を1年前倒しで達成する見通しになった。
(資料2)業績の推移

第2四半期累計期間は、衣料分野において欧州ラグジュアリーブランドを含むファッション分野や中東民族衣装の販売が増えた。高付加価値化、納期や品質管理の徹底を図り、販売価格を引き上げる取り組みも功を奏した。資材分野は鞄や日傘などの差別化商品が好調だった。
純利益は、非上場株式の投資有価証券評価損(12億3200万円)を特別損失に計上したこと、前年同期に中国子会社の清算益(7億1100万円)を特別利益に計上した反動が響いた。
◆海外事業・サステナブル商材に注力
中期経営計画の重点事業領域である海外事業は、積極的に展示会に参加し、個展も開催して高機能素材、サステナブル素材を売り込んでいる(資料3、出所:決算説明会資料)。加えて、製品品質の向上、技術協力・指導を目的に中国に子会社を設立し、取引先の環境意識の高まりへの対応に向けては、今年4月、日本の染色加工場の主管拠点で初めてGRS(Global Recycled Standard)認証((注)参照)を取得した。製品事業では同2月に株式会社エヌエスケーエコーマーク(スポーツ及びアパレル衣料のマークのデザイン製作・二次加工)を買収した。
(注)GRS認証 … アメリカのNPO法人Textile Exchangeによって定められた国際的な自主基準。リサイクル、加工流通、社会・環境、化学物質等の運用や規制に関わる第三者認証の要件を設定している
(資料3)中期経営計画の基本方針・目標

その他、新しい物流センターの運用を同9月に開始した。この新設で空いたスペースを利用しながら工場再編を進め、業務効率化を図る。
◆投資判断はNEUTRAL継続
今村証券では、今期業績を売上高415億円(前期比+5.0%)、営業利益27億円(同+23.8%)、純利益14億3000万円(同▲51.3%)と予想する。会社予想をわずかに上回る水準であり、第3四半期以降も受注動向が第2四半期累計期間からさほど変わらず、値上げ効果も続くとみた。来期予想は、売上高425億円(今期今村証券予想比+2.4%)、営業利益28億円(同+3.7%)、純利益23億5000万円(同+64.3%)とし、純利益は特別損失がなくなるとの前提から大幅な増益を見込んだ。推進している政策保有株式削減の影響は織り込んでいない。
株主還元については、配当金予想は今期を27円、来期を8期連続の増配となる30円とする。また自己株式を取得中であり、来年10月末までに、上限200万株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合5.0%)、17億円を取得する。先月には自己株式390万株(同9.0%)の消却も実施した。
来期のROE(自己資本利益率)は6%程度とみられ、引き続き資本効率の向上が求められる。投資判断は「NEUTRAL」を継続する。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
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※今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース