NSW Research Memo(1):2026年3月期中間期は計画どおり。中計目標は売上600億円、営業利益率12%
■要約
NSW<9739>は独立系ITソリューションプロバイダで、技術者が従業員の9割近くを占めるエンジニア集団である。エンタープライズソリューション、サービスソリューション、エンベデッドソリューション、デバイスソリューションの4セグメントで事業を展開する。中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、成長戦略の推進により競争力強化を図る。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が24,854百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益が2,360百万円(同14.4%減)、経常利益が2,431百万円(同12.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が1,666百万円(同12.6%減)と、期初計画どおりの着地となった。売上高の増加は、サービスソリューションの増収が大きく寄与した。営業利益の減少は、将来を見据えたブランド力強化に伴う広告宣伝費や職場環境改善のための地代家賃など、販管費が増加したことが主因だ。ただ、今後の増収につながる受注高は25,547百万円(同2.9%増)と堅調であった。セグメント別では、エンタープライズソリューションは、小売業向け及び公共分野向けの業務が堅調で増収となったが、経費増の影響で減益となった。サービスソリューションは、IoTシステム構築関連やデータマネジメントサービスが好調で増収となったが、経費増に加え、当期発生した不採算案件の影響により大幅減益となった。エンベデッドソリューションは、オートモーティブ分野やインダストリー分野が好調で増収となったが、経費増の影響で減益となった。デバイスソリューションは、新規顧客開拓などから増収となり、経費増の影響はあったが、それ以上の利益改善が図られて増益となった。以上から、自己資本比率は76.9%に上昇し、高い安全性を維持している。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高51,000百万円(前期比1.9%増)、営業利益5,100百万円(同16.6%減)、経常利益5,140百万円(同16.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,540百万円(同3.3%減)と、増収減益を見込んでいる。米国の関税政策の影響に伴う先行き不透明感を前提にした、慎重な予想である。なお、将来の成長に向けて、事業拡大と人材強化にフォーカスして、関連する施策に積極投資を行う計画を織り込んでいる。セグメント別では、エンタープライズソリューションは増収を計画するが、自社パッケージのリニューアル等に伴う販管費の増加により大幅な減益を見込む。また、その他の3セグメントでは小幅増収と減益を予想している。サービスソリューションの大幅減益を、エンベデッドソリューションやデバイスソリューションでカバーする計画だ。通期業績予想に対する中間期実績の進捗率は、売上高は48.7%、営業利益は46.2%であるが、前期の進捗率を上回って推移している。同社は従来から保守的な期初予想を発表する傾向が強く、通期計画達成の可能性が高いと弊社では見ている。配当については安定的かつ継続的に実施する方針で、2026年3月期は減益予想ながら配当性向の目安30%に基づき、1株当たり年間配当金は前期と同額の85円を予定し、株主還元にも十分に配慮している。
3. 中期経営計画
長期ビジョンでの売上高1,000億円を目指しており、推進中の中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、「DRIVE DX × Change The Standard」のコンセプトに基づき、最終年度となる2028年3月期に売上高600億円(年平均成長率6.25%増)、営業利益率12%、ROE10%以上などの達成を目指す。業績目標の達成に向けて、「事業戦略」により各セグメントの注力分野を伸ばすとともに、「経営基盤戦略」により採用強化やサステナビリティ推進に取り組み、「投資戦略」により事業戦略や経営基盤戦略の実現に向けた投資を推進する。事業戦略の取り組みを着々と進めており、中期経営計画の進捗状況に注目したい。
■Key Points
・独立系ITソリューションプロバイダで、4セグメントの事業を展開
・2026年3月期中間期は期初計画どおりの増収減益
・2026年3月期は将来の成長に向けた投資活動による経費増を見越し、大幅な減益見込み。配当は、配当性向30%を目安に前期と同額の1株当たり85円を予定
・中期経営計画では「事業戦略」「経営基盤戦略」「投資戦略」を推進し、2028年3月期に売上高600億円、営業利益率12%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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