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日空調 Research Memo(1):2026年3月期第2四半期は営業増益。受注好調で各項目が過去最高を更新

特集
2025年12月24日 11時51分

■要約

新日本空調<1952>は、空調設備を主とした建築設備の設計・施工管理を手掛ける総合設備エンジニアリング会社である。設立から100年近い歴史があり、国内の大手空調設備会社の一角だが、特に原子力関連の空調システムにおいて高い技術力を持っている。

1. 2026年3月期第2四半期業績(実績)

2026年3月期第2四半期の業績は、受注工事高105,626百万円(前年同期比33.3%増)、完成工事高64,858百万円(同18.4%増)、繰越工事高166,636百万円(同24.2%増)、営業利益5,380百万円(同116.1%増)、経常利益5,825百万円(同103.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益3,983百万円(同112.3%増)となり、各項目はいずれも第2四半期として過去最高を記録した。完成工事総利益率は、好採算の工事の完工に加えて施工の効率化も進み16.7%(前年同期は13.4%)と大きく改善した。一方で販管費は、人員増や職場環境の改善などにより同13.6%増と計画どおりに推移したことから、営業利益は前年同期比で大幅増益となった。

2. 2026年3月期業績(予想)

2026年3月期については、受注工事高155,000百万円(前期比0.7%増)、完成工事高144,000百万円(同4.6%増)、営業利益12,000百万円(同5.8%増)、経常利益12,500百万円(同4.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,800百万円(同8.9%減)と予想している。親会社株主に帰属する当期純利益が減益となるのは前期に特別利益(主に政策保有株式の売却益)を計上したことによる。完成工事総利益率は、手持ち工事の採算性などから16.3%(前期は16.0%)と改善する見込みで、販管費は同7.0%増を予想している。業界環境がフォローであることに加え、繰越工事高が高水準であることを考慮すると、この予想が達成される可能性は高い。今後の期中受注・完成工事の状況によっては、利益がさらに上振れする可能性もあると弊社では見ている。

3. 中期経営計画「SNK Vision 2030 Phase II」は順調に進捗

同社は、2030年を節目とした長期経営方針となる10年ビジョン「SNK Vision 2030」を発表している。この計画では、「グループとして持続可能な地球環境の実現と、顧客資産の価値向上に向け、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指す」ことを基本方針として、「事業基盤増強戦略」「収益力向上戦略」「デジタル変革戦略」「企業統治戦略」「人的資本戦略」の5つの基本戦略を掲げている。数値目標としては「事業規模1,300億円~1,500億円、営業利益率10%以上、ROE10%以上」を目指す。現在は、この計画のPhase II(2026年3月期最終年度)を推進中であるが、順調に進捗しており数値目標が達成される可能性は高い。本計画に沿って、資本政策も含めて各種施策を着実に実行しており、同社が今後、定性的にどのように成長するか注目したい。

4. 株主還元:2026年3月期の年間配当は80円を予定

同社は、2025年3月期から株主還元に関する基本方針を「DOEの下限を5%、2030年までは原則減配をしない」に変更した。これに伴い、2025年3月期の配当を年間80円※(2024年3月期は年間50円)に増配したが、2026年3月期も年間配当80円を発表済みだ。さらに2025年3月期には10億円の自己株式取得を完了しており、単に業績の向上を目指すだけでなく、資本政策と株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。

※ 2025年1月1日を効力発生日として普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行ったが、過去の配当金額も遡及して修正済み。

■Key Points

・国内トップクラスの空調設備会社。原子力関連に強み

・2026年3月期第2四半期は116.1%の営業増益を達成、各段階利益は過去最高

・2026年3月期は5.8%営業増益予想だが上振れの可能性も。年間80円配当を予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MY》

提供:フィスコ

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