個人投資家が押し目買いで好成績 ウォール街のプロ投資家と互角以上に渡り合った1年
2025年の米株式市場は、個人投資家が過去最高水準の好成績を収め、ウォール街のプロ投資家と互角以上に渡り合った1年となった。米CNBCが伝えた。市場が最高値を更新する中、個人投資家は調整局面ごとに果敢に押し目買いを行い、結果として高いリターンを獲得した。
かつて未熟で騙されやすい存在とみなされてきた個人投資家だが、米CNBCの取材や市場データによると、新世代の個人投資家は市場経験を積み、プロに引けを取らない存在へと進化しつつある。米大手銀の分析では、年初の調整局面で個人投資家は、これまで以上に積極的に買い向かい、2025年はこの層にとって「成功の年」だったと評している。
別のデータでも、今年は1990年代初頭以降で2番目に良好な押し目買いの年になる可能性が示されている。5月以降は個別株からETFへの資金シフトが進み、特にSPDRゴールド・シェア<GLD>への資金流入が顕著で、金価格の最高値更新を背景に年初来65%超上昇している。
今年の個人投資家ポートフォリオは、AIやソフトウエア中心の機関投資家のバスケットや主要株価指数ETFを上回るリターンを記録したという。
象徴的な出来事は4月初旬のトランプ関税ショックで、機関投資家がリスク回避に動く中、個人投資家は急落局面で積極的に押し目買いを継続。その後、関税の一時停止を受け市場が急反発し、結果的に個人投資家の判断が奏功した。背景には「TACOトレード」と呼ばれる、トランプ大統領の政策撤回を見越した押し目買い戦略への信念もあったとされる。
もっとも、2025年は運の要素が大きかったとの指摘もあり、次の本格的な下落局面が個人投資家ブームの持続性を試す試金石になるとの指摘も出ている。
とはいえ、若年層を中心に投資参加者が拡大し、データや情報へのアクセス向上により投資行動は洗練されている。かつて「ダム・マネー」と揶揄された個人投資家は、いまや市場の主役の一角を占める存在へと評価を高めている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース