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河合達憲(三菱UFJ eスマート証券)が斬る ―どうなる?半年後の株価と為替―

特集
2026年1月15日 11時00分

日米の株式相場は上下動を繰り返しながら高い水準を維持している。日本では高市早苗政権が解散・総選挙を検討すると報じられ、株高が加速した。もっとも、トランプ米政権が1月にベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束。世界情勢は更に不安定化している。台湾有事を巡る高市首相の発言を受けた日本と中国の対立の深まりに加え、米国のインフレ懸念も根強い。トランプ大統領が「就任から24時間以内に終わらせる」と豪語したロシアによるウクライナ侵攻は収束のメドがつかず、イランを中心とした地政学的リスクも残る。

世界の政治経済が混迷を深める中、アナリストやエコノミストなどの専門家は「半年後の株価」や「半年後の為替」をどう見ているのか。インタビューを通じて、著名アナリストに予測してもらい、その背景を詳報する。第45回は、三菱UFJ eスマート証券の河合達憲チーフストラテジストに話を聞いた。

●河合達憲(かわい たつのり)

近畿大学大学院・博士前期課程修了。日本で数少ない証券専攻修士号のマスター称号を有する。中堅証券調査部にて調査・情報畑一筋で30数年来、企業調査や投資戦略、投資手法などのストラテジー構築に従事。ファンダメンタルとテクニカルを融合した投資分析を実践しており、各種メディアで推奨銘柄の的中率の高さは実証済み。マクロ分析から個別銘柄までトップダウンアプローチでの分析力にも定評。『9割の人が株で勝てない本当の理由』(扶桑社)、『株の五輪書』(マガジンハウス)など著書多数。毎週火曜夜のセミナーが人気を博し、TV・ラジオにも多数のレギュラー出演する傍ら、2013年~21年まで大阪国際大学、及び大阪国際大学短期大学部にて大学講師としても登壇実績。

河合達憲氏の予測 4つのポイント
(1) 半年後の日経平均は6万~6万2000円。高市政権が総選挙勝利なら更なる株高
(2) 半年後のS&P500株価指数は8000~8300ポイント
(3) 2026年の日米株価には年央と年末の2つの山。年後半は下落も
(4) 注目するセクターはベネズエラ、レアアース関連のほか、バイオ・創薬除く「高市銘柄」

―― 高市政権への政策期待もあり、特に日本の株式相場は堅調に推移しています。半年後(2026年6月末)の日米の株価水準をどう予測しますか。

河合:私は2026年の日経平均株価は4万2000~6万2000円のレンジで推移すると考えています。年央に最高値を更新し、9~10月に下値をつけるものの11~12月には再び上昇するシナリオです。半年後の日経平均は6万~6万2000円程度だと考えています。半年後の米S&P500株価指数は8000~8300ポイント程度だと予測しています。

図1 日経平均株価の推移(日足)

【タイトル】

―― 日米の株式相場はともに最高値を更新するものの、年間を通して大きな上下動が起こるということですね。予測の背景を教えてください。

河合:今年の相場を読む上でポイントは2つあります。1つは4月のトランプ米大統領の訪中です。米国と中国という大国のトップが会談することで「平和の配当」があるのか、それとも儀礼外交で終わるのかということです。儀礼外交であれば、トランプ政権のドンロー主義(トランプ氏の名前である「ドナルド」とモンロー主義を掛け合わせた造語)が加速。米国はベネズエラをはじめとした中南米への干渉を強めることになるでしょう。日本政府は米中ロなど大国の泥仕合の中で、西側諸国と良い関係を深める必要があるでしょう。レアアースの調達先の多様化や国土強靱化への投資も必要です。4月は日本企業の決算とも重なります。上場企業の2027年3月期の業績予想は前期比15%程度伸びると予想しており、日本の株式相場を後押しするでしょう。26年の春季労使交渉(春闘)でも5%程度の賃上げが実現すれば、個人消費を押し上げるとみています。

―― 米国によるベネズエラへの攻撃は国際的に批判を浴びています。一方で株式市場では石油権益を持つシェブロン<CVX>などベネズエラ関連銘柄に買いが集まっています。

河合:トランプ政権としては、中国に対して、米国の「裏庭」である中南米に参入するなと明確な意思表示をしたということだと思います。ドンロー主義の立場からは「筋が通っている」と考えているのでしょう。

ベネズエラで産出する原油は硫黄分が多く、ドロドロと粘り気のある「重質原油」です。長期間にわたる米国の経済制裁のために掘削設備は老朽化しています。しかし、同国は世界最大の原油埋蔵量を有しており、資源高に悩む米国では価格の安い石油への需要が高いのが実情です。民主主義と自由経済が確立するまでは米国がベネズエラを管理するとみられ、シェブロンなど関連銘柄への投資家の関心は当面続くと考えられます。 

―― 26年は2つのポイントがあるということでしたが、もう1つのポイントは何でしょうか。

河合:もう1つのポイントは11月にあります。米中間選挙で米共和党が大敗し、ねじれ議会が深刻になる見通しです。トランプ政権の残り2年がレイムダック(死に体)化することが考えられます。秋以降の米国のインフレ再燃も懸念しています。消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3%程度に落ち着いてきていますが、トランプ関税がいつブーメランで戻ってくるかわかりません。秋に向けては日米の株価が大きく下落する局面があると考えられます。

図2 S&P500株価指数の推移(週足)

【タイトル】

―― 日米の金融政策の見通しは。

河合:日銀は利上げを継続するとみています。日本のインフレ率は3%程度と沈静化していません。植田和男総裁は政策金利(無担保コール翌日物金利)が1%を超えるまでは異次元緩和が続いており、2%になって金融政策が正常化すると考えていると思います。このため、春闘で賃上げの状況を確認した上で政策金利を0.25%引き上げて異常な金融政策を脱却し、その後は慎重に利上げを進めるということになると思います。

FRB(米連邦準備理事会)は利下げを継続するでしょう。5月までにもう1度0.25%引き下げ、その後は慎重に動いていくとみられます。

―― 日中の対立を受けて、中国政府はレアアース(希土類)関連製品の対日輸出について制限しています。

河合:日本政府は輸入先の拡大や自国生産など、レアアースの調達先の多様化を模索しています。海洋研究開発機構(JAMSTEC)による南鳥島沖でのレアアース泥採鉱システム接続試験が始まります。古河機械金属 <5715> [東証P]、東洋エンジニアリング <6330> [東証P]、アサカ理研 <5724> [東証S]など関連銘柄への物色は広がっていくでしょう。

―― 高市政権が1月召集予定の通常国会冒頭で解散・総選挙を検討していると報じられ、日経平均は大幅高になりました。今後の相場への影響をどうみますか。

河合:想定される解散パターンは、以下の3つです。(1)1月23日の通常国会開催冒頭、(2)3月下旬~4月上旬、予算通過後、(3)6月、通常国会終了の辺り――です。しばらくは総理が23日に解散総選挙を発出するかが焦点でしょう。いずれにしても今回はネットの情報戦を中心とした選挙になると想定しています。現状では、自民・維新が議席を伸ばし、他の野党は議席数を減らすでしょう。一部メディアの調査では、自民党が単独過半数を確保するという観測もあります。そうなれば、政局安定のもと日経平均株価は更なる上値を目指せるでしょう。

―― ベネズエラ関連、レアアース関連以外の注目銘柄は。

河合:高市政権が掲げる経済成長のため重点を置く半導体、AI(人工知能)、防衛、海洋、造船など17分野に注目しています。ただ、バイオテクノロジーや創薬などは相場の上下動が激しいことから、個人投資家の投資対象としては難しい面があります。

(※聞き手は日高広太郎)

◆日高広太郎(ジャーナリスト、広報コンサルティング会社代表)
【タイトル】
1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京本社の社会部に配属される。小売店など企業ニュースの担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京本社の経済部に配属。財務省、経済産業省、国土交通省、農水省、日銀、メガバンクなどを長く担当する。日銀の量的緩和解除に向けた政策変更や企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。第一次安倍内閣時の独ハイリゲンダムサミット、鳩山政権時の米ピッツバーグサミットなどでは日経新聞を代表して同行取材、執筆。東日本大震災の際には復興を担う国土交通省、復興庁のキャップを務めた。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年8月に東証1部上場(現プライム市場)のB to B企業に入社し、広報部長。2019年より執行役員。2022年に広報コンサルティング会社を設立し、代表に就任。ジャーナリストとしても記事を複数連載中。2022年5月に著書「B to B広報 最強の戦略術」(すばる舎)を出版。内外情勢調査会の講師も務め、YouTubeにて「【BIZ】ダイジェスト 今こそ中小企業もアピールが必要なワケ」が配信中。

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