概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

高市トレード波及で躍進へ、「港湾ロジスティクス」関連に評価機運 <株探トップ特集>

特集
2026年1月15日 19時30分

―重点投資分野として国策の追い風、物流関連企業の収益拡大に期待膨らむ―

衆院解散・総選挙の観測が広がり、「選挙は買い」のアノマリーが意識されるようになった。日中関係の悪化を背景としたレアアースや防衛など、アベノミクス後継者とされる高市政権のもとで示された重点投資分野に対し、投資家の注目度が一段と高まっている。同分野の一つである 「港湾ロジスティクス」に対しても、国策的な投資促進が期待されている。

●港湾機能強化で国際競争力向上へ

高市政権は昨年11月に開催した日本成長戦略会議のなかで、危機管理投資と成長投資による強い日本経済の実現に向け、17の重点投資分野を選定し、このなかに「港湾ロジスティクス」が加わった。港湾ターミナルオペレーションシステムにおけるサイバーセキュリティー対策の強化や、港湾関連手続きの電子化、「ヒトを支援するAIターミナル」の取り組みなどを推進する方針が示されている。

国内では2023年7月に自動車の一大輸出拠点である名古屋港において、統一コンテナターミナルシステムがサイバー攻撃を受け、広範囲に悪影響をもたらした過去がある。当時は復旧までに3日を要し、影響を受けた船舶数は37隻、搬入・搬出に影響があったコンテナ数は推計で約2万本に上った。トヨタ自動車 <7203> [東証P]の愛知県と岐阜県における4拠点も稼働停止を迫られた。

経済安全保障の観点での対策に加えて、港湾機能そのものの競争力強化も日本経済を力強く成長させるうえで重要な役割を持つ。日本の港湾におけるコンテナ取扱量をみると、アジア諸国の主要港湾の後塵を拝する状況にある。英ロイズリストによると、日本国内でトップの座に君臨する東京の23年の取扱量は457万TEU(TEUは20フィート換算のコンテナ個数を表す単位)で世界では46位。世界首位の上海(4915万8300TEU)と2位のシンガポール(3901万TEU)と比べて規模は劣る。隣国の韓国では釜山(2303万5734TEU)が7位となっている。

世界の海上交通が日本を素通りする状況に拍車が掛かれば、日本の産業界は海外からの輸入に頼る原材料や部材の更なるコストアップを甘んじて受け入れざるを得なくなり、製造業の競争力が一段と低下する恐れが高まることとなる。消費者側は構造的なインフレ圧力への忍耐を強いられることとなりかねない。官民一体の投資により港湾インフラの刷新や生産性の向上につながるDX化を進め、港湾としての能力増強を果たすことができれば、貿易大国を自負する日本は明るい道筋が描けるようになる。

●マリコンや港湾クレーン関連に注目

高規格な港湾インフラの整備機運は、国土強靱化関連でもある海上土木(マリコン)企業の受注に好影響をもたらすと考えられる。最大手の五洋建設 <1893> [東証P]は国内での防衛関連を含む官庁工事や物流倉庫など大型工事の受注による効果に加え、シンガポールなど海外での受注が堅調に推移。9月中間期の営業利益の通期計画に対する進捗率は65%と順調だ。東亜建設工業 <1885> [東証P]は26年3月期に営業利益と経常利益で連続最高益更新を計画。9月中間期営業利益が前年同期比3.4倍と回復が目覚ましい若築建設 <1888> [東証P]の株価は昨年来高値6170円までの修正余地が意識される。消波ブロックの不動テトラ <1813> [東証P]の9月中間期営業利益は5.4倍に急拡大。従業員による架空発注の事案の影響で開示は1月9日と遅れたが、発表後に株価は急上昇し3000円台に居所を変えた。

港湾クレーン国内最大手の三井E&S <7003> [東証P]は舶用推進システムでの成長期待や、国策で進む深海探査機の母船の新造を巡る思惑から造船、レアアースの関連銘柄として位置づけられている。コンテナクレーンを手掛ける物流システム部門の受注高は、前期にあったベトナム向け大型案件の反動があるなかでも底堅く推移。豊富な手持ち工事と海外での採算性向上を背景に9月中間期決算では舶用推進システム部門と同様、物流システム部門の通期営業利益予想を増額修正した。

倉庫関連業者も港湾物流のDX化のカギを握る。三井倉庫ホールディングス <9302> [東証P]や三菱倉庫 <9301> [東証P]、住友倉庫 <9303> [東証P]といった倉庫大手各社はAIによる物流オペレーションの更なる効率化に取り組んでいる。三重県の四日市港を本拠として中部最大手の倉庫業者に成長した日本トランスシティ <9310> [東証P]の26年3月期は、新拠点の立ち上げ準備や大型修繕計画などがあって最終減益予想だが、PBR(株価純資産倍率)は0.8倍近辺にとどまっている。自動車部品関連や海外物流の強化に取り組んでおり、半導体関連商材の取り扱い拡大に向けた新拠点の整備も検討しているという。

澁澤倉庫 <9304> [東証P]の26年3月期は営業減益の予想で、足もとでは人件費の増加などが重荷となっている。今年3月には千葉県内に飲料物流専用の倉庫を開設する予定。27年3月期以降の収益貢献に期待が膨らむ。筆頭株主はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス <7532> [東証P]だ。安田倉庫 <9324> [東証P]は昨年11月に帝人 <3401> [東証P]傘下の帝人物流の子会社化を発表。26年3月期は最高益更新予想ながらPBRは0.6倍台にとどまっている。

倉庫業界では大阪・関西万博関連株として注目を集めた杉村倉庫 <9307> [東証S]が大阪港に高規格物流施設を持つ。官民投資で関西地区の港湾物流機能の強化に向けた投資が加速した場合、石炭やコークスなどの原材料貨物や、石油製品や化学品などの液体貨物を手掛ける櫻島埠頭 <9353> [東証S]の収益押し上げインパクトも期待されそうだ。

港湾総合物流では上組 <9364> [東証P]の株価が昨年4月を底に一本調子で上昇し、青天井圏にある。輸出入コンテナの取り扱いや穀物類が堅調に推移し、9月中間期の実績は一過性要因を除いたベースで想定を上回ったという。今期は連続最高益更新を計画。川崎汽船 <9107> [東証P]グループであるケイラインロジスティックスの持ち株会社への出資を機に同社との協業を進め、相乗効果を生み出していく。港湾物流に携わる企業群では、丸全昭和運輸 <9068> [東証P]や鴻池運輸 <9025> [東証P]も今期最高益を計画。山九 <9065> [東証P]も有力プレーヤーである。

やや毛色は異なるものの、システム受託開発のゼネテック <4492> [東証S]が販売する3Dシミュレーションツール「FlexSim」は、倉庫レイアウトの設計や拠点間配送プランの策定に活用されており、港湾物流のDX需要を取り込めるか注目される。このほか流動性は乏しいが、東陽倉庫 <9306> [東証S]や川西倉庫 <9322> [東証S]、東洋埠頭 <9351> [東証S]に加え、鈴与グループでシステム開発とともに物流ITコンサルティングなどを展開する鈴与シンワート <9360> [東証S]などを関連株としてマークしておきたい。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集