桂畑誠治氏【荒れ模様の日経平均、衆院解散・総選挙で買い場?】(1) <相場観特集>
―政権の基盤強化を背景とする株高賛成思惑に死角はあるか―
19日の東京株式市場は日経平均株価が荒れ模様となり、一時800円以上の下落で5万3000円台攻防となった。その後は下げ渋ったものの不安定な値動きで投資家にも気迷いムードが台頭している。今週23日の通常国会冒頭での衆院解散が確実視されるなか、「選挙は買い」のアノマリー通りの展開となっていくのかどうか。その行方に注目が集まる。2月に予定される総選挙の投開票日に向けて、日経平均の動向と物色の方向性について、第一生命経済研究所の桂畑氏とフィリップ証券の笹木和弘氏にそれぞれ話を聞いた。
●「ボラティリティ高まるなかも上値指向か」
桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)
週明けの東京市場で日経平均は一時大きく売り込まれる場面があったが、当面は上下にボラティリティの高い相場が予想される。ただし、基本的なトレンドとしては上値指向となる可能性が高そうだ。23日に召集される通常国会の冒頭で衆議院の解散が宣言されることが確実視される状況だが、その場合2月上中旬の投開票が予想され、過去の事例からそこまで株式市場は強調展開となるとの思惑が強い。もっとも、高市内閣に対する支持率は非常に高いものの、その一方で自民党への支持率はそれほど高まっておらず、思ったほど議席数を伸ばせないのではないかという見方も一部にはある。
ただ、自民党での単独過半数は難しそうだが日本維新の会と合わせての過半数獲得の公算は大きい。参議院は過半数を割れたままだが、衆院で過半数を確保できれば今後の政策運営はこれまでよりもやりやすくなる(参院で否決されても衆院に戻して法案が3分の2以上で再可決すれば成立するほか、予算が両院協議会で一致しない、あるいは参院が30日以内に議決しない場合、衆院の議決が国会の議決となる)ため、今回の選挙で高市政権の基盤が強化されることは濃厚とみられる。積極財政への期待から株式市場にはポジティブに作用する。一方、長期金利の上昇は気になるところだが、政策への期待感が株式市場では先行すると思われる。高市早苗首相はきょうの夕刻(午後6時)の記者会見で衆院解散方針を正式表明するとみられるが、そこで解散の理由に言及する見通しであり、株式市場の動向にも影響を与えそうだ。
解散日から投開票日まで、過去の事例では株価は上昇する傾向が強いが、今回もそれが当てはまる可能性は高そうだ。日経平均は上下に変動幅が非常に大きくなっており、基本的にはきょうのような押し目形成場面を買い下がるのが有効。2月上中旬にかけての日経平均の上値は5万5000円前後を予想する。他方、ここまで日経平均は年初から上昇基調を強めていたことで利益確定売り圧力も潜在しており、高市政権に不利な情報が出て地合いが悪化するようなケースでは、5万1000円近辺まで下値を探るような場面も考えられる。
物色対象としては、高市政権が「食料品の消費税率ゼロ」を衆院選の公約に盛り込むことに前向きな姿勢にあると伝わっていることから、食料品メーカーだけでなく外食を含めた個人消費関連に追い風となろう。また、AI半導体関連なども米国株市場の地合いに追随し、投資対象として改めて注目されそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
株探ニュース