概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

今年も続く「親子上場」解消の大波、注目の上場子会社6銘柄精選 <株探トップ特集>

特集
2026年1月29日 19時30分

―東証が少数株主保護へ対策を加速、好実態銘柄なら買い安心感も─

親子上場の解消は今年も活発化する公算が大きい。親会社による支配を受ける子会社の上場は少数株主の権利保護が十分でないとして長らく問題視されており、関係解消を求めてアクティビストなどが親会社の経営陣に圧力を掛ける事例が後を絶たない。時価にプレミアムを加味した形でのTOB(株式公開買い付け)や株式交換の思惑が広がる上場子会社のなかでも、安定的に利益を伸ばす銘柄の場合、内外情勢に不透明さが増す局面において買い安心感がある。直近の業績動向を踏まえ、注目すべき上場子会社を6銘柄セレクトする。

●上場会社減少の陰に親子上場解消の潮流

2025年末の東証上場企業は、プロマーケットを含めて3945社と、前年末との比較で30社減少した。13年の大証との市場統合以降、減少は初めてとなる。その主因となったのが、親子上場の解消だ。

東証が公開する市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の資料「親子上場等に関する取組みの状況」をみると、25年7月時点における上場子会社数は215社。6年前の19年から98社減った。昨年だけでみても、イオン <8267> [東証P]がイオンモールとイオンディライトを、三菱商事 <8058> [東証P]が三菱食品を、NTT <9432> [東証P]がNTTデータグループを完全子会社化した。イオンは今年1月、青森を地盤にホームセンターを展開するサンデー <7450> [東証S]へのTOBも発表している。

日本の企業慣習とされる親子上場を巡っては、07年に米投資ファンドがNEC <6701> [東証P]と当時の半導体子会社であるNECエレクトロニクスの関係性に異議を唱え、NECに対しNECエレの株式の売却を迫ったことを契機として、社会的な関心を集めることとなった。同年に東証は、子会社上場に対する取引所としての考え方を表明。親会社と少数株主の間には潜在的な利益相反関係が存在するとして、「多くの市場関係者にとって必ずしも望ましい資本政策とは言い切れない」との見解を示した。

●取締役選任で少数株主の賛否割合開示案

その後、国内ではコーポレート・ガバナンス・コード(企業統治指針)が導入され、企業価値の向上と株主との対話の重要性が求められるようになり、親子上場の関係に対して公然と疑念を投げかけるアクティビストの影響力が高まっていくこととなる。東証もこの問題に対して手綱を緩めることはなく、学識経験者らによる研究会を通じ、少数株主の保護の枠組みについて議論を重ねている。25年2月には親子上場に関し、投資家の目線と上場企業の取り組みにギャップが生じやすい具体的な場面をとりまとめた事例集を公開。今年1月26日には、議決権保有比率が4割を超える大株主を有する上場会社について、取締役の選任で少数株主の賛否の割合などを開示することを義務付ける案をとりまとめている。ポリシーのない親子上場の維持は、従来にも増して困難なものになると予想される。

親子上場の解消において代表的な手法と言えるのが、親会社によるTOBである。これに対し、親会社が子会社の株式を売却するケースもある。業績が不振な企業であればファンド傘下で経営改善が図られることとなることが多い。半面、業績が堅調な企業の場合、親会社の縛りから解放されて経営の自由度が拡大し、成長スピードが一段と速まるというシナリオが想定できる。

もっとも親子上場を解消する銘柄を正確に言い当てることはおろか、実際に企業がアクションをとる時期について予測を立てて投資行動をとることは至難の業である。仮にプレミアムを上乗せしたTOBなどがなかったとしても、本業が堅調な子会社株であればそれだけで投資家からの一定の評価が集まりやすく、タイミング次第でキャピタルゲインを享受することが可能となるだろう。これらの観点をもとに、投資妙味を感じさせる銘柄をピックアップしていく。

●イオンファンやPRTIMEに注目

イオンの子会社、イオンファンタジー <4343> [東証P]はショッピングセンター内の遊戯施設を展開する。26年2月期第3四半期累計(3~11月)の営業利益は大幅増益。国内事業が成長を牽引し、同期間における過去最高業績を更新している。海外既存店売上高は月次で前年比マイナスが続くものの、アセアンでの店舗活性化と中国の構造改革による効果の発現が期待される。親会社のイオンが直近で親子上場解消の動きを続けていることも投資家の関心を惹きつけている。

ベクトル <6058> [東証P]の子会社、PR TIMES <3922> [東証P]はプレスリリース配信サイト「PR TIMES」を運営。利用企業社数・プレスリリース配信件数は右肩上がりに拡大しており、プラットフォーマーとして存在感が増している。26年2月期は2割増収で最終利益は前期比2倍強と過去最高益を更新する見通し。親会社のベクトルは広報・PR業務の代行・コンサルティングなどを手掛けており、シナジーがイメージしやすい。

電通グループ <4324> [東証P]の子会社、電通総研 <4812> [東証P]はシステムの企画・開発から仕組み作りまで取り組むシステムインテグレーションに加え、コンサル・シンクタンク業務を行っている。25年12月期第3四半期累計(1~9月)の売上高・営業利益は同期間における過去最高を記録。9月末時点での受注残高は前年同期比約2割増となっている。今年1月14日に海外メディアで電通グループの海外事業の売却交渉が破談の危機にあると報じられ、売却による資金を活用した親子上場解消の思惑が後退。電通総研にも大幅な調整圧力が高まったが、全体相場が高値圏で推移するなかで出遅れ感を強める格好となった。

●不二家は食品消費税ゼロの思惑も

山崎製パン <2212> [東証P]の子会社、不二家 <2211> [東証P]は洋菓子事業や製菓事業を手掛け、25年12月期第3四半期累計(1~9月)決算は製菓事業が2ケタの増収増益を達成。一部製品の内容量及び価格の見直しや物流費の改善、新規設備の導入などにより収益性を向上させている。食料品の消費税ゼロによる恩恵を受ける銘柄としても注目を集めている。山パンの9月末時点の現預金は1745億円で利益剰余金は3954億円。不二家の時価総額(654億円)をしのぐ規模だ。

ADEKA <4401> [東証P]が株式の半分近くを所有する日本農薬 <4997> [東証P]は農薬を世界各地に展開している。26年3月期第2四半期累計(4~9月)は売上高が2割増で経常利益は8倍。利益率の高い北米が好調に推移した。実質親会社のADEKAは18年に友好的TOBにより日農薬を連結子会社化するとともに資本・業務提携を締結。更なる連携深化を期待したい。

セコム <9735> [東証P]の子会社、能美防災 <6744> [東証P]は火災報知設備や消火設備の製造・販売や保守点検に取り組んでいる。9月中間期は採算性の低い大型案件の影響などを受け減益だった。ただ、従来から売り上げは下期偏重。9月中間期の受注高は860億6400万円(前年同期比7.2%増)と堅調だ。セコムは06年に能美防災、12年に能美防災と同業のニッタンを子会社化したが、ニッタンについては完全子会社となっている。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集