明日の株式相場に向けて=「データセンター」「防衛」などに新潮流
きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比427円安の5万4293円と反落。前日に2000円あまりの急騰で史上最高値を更新した余韻が残るなか、リスクオンの地合いを継続できるのか注目された。しかし、前日の米国株市場で半導体関連やソフトウェア関連などAI周辺のハイテクセクターへの売りが目立ったこともあり、東京市場もこのまま突っ走るというわけにはいかなかった。もっとも、日経平均はアドバンテスト<6857>、東京エレクトロン<8035>、ソフトバンクグループ<9984>の3銘柄が一斉に下を向けば、強烈な下方圧力がかかるのは周知の通り。きょうの427円安は相場全体の体感温度とは掛け離れたもので、このうち300円強の下げ分はこの3銘柄だけでもたらした勘定だ。プライム市場の値上がり銘柄数は1000を超え全体の67%、つまり3分の2の銘柄は上昇している状態。TOPIXは続伸して引け、何よりも全体売買代金が8兆5000億円と今年最高を記録しており、旺盛な物色意欲を余すところなく映し出している。
先行き不安を抱くとすれば、日米ともにちょっと変な方向からAI・半導体に味噌が付いている点である。新興AI企業である米アンソロピックが前週末に同社開発のAIエージェントに新たなツールを追加することを発表したが、前日の米国株市場ではこれをきっかけにAIがソフトウェアサービス企業の業務を代替するとの見方が広がり、セールスフォース・ドット・コム<CRM>をはじめクラウドソフト関連株が大幅安のオンパレードとなり、これが半導体関連全般にも波及した。アンソロピックは新興AIだが元来同じファミリーに属する。理屈は分かるが、同社が新サービスをリリースしたことで、業界全体の株式時価総額がシュリンクするというのは何か変調である。
東京市場に目を向けると、半導体関連の主力どころは高値圏を走っていた銘柄も1月29日に陰線を引いて、そこから上値が重くなったケースが目立つ。象徴的なのはアドテストで、この日にマドを開けて値を飛ばし上場来高値を更新したが、あろうことかこの日は後半に上げ幅を縮小し安値引けとなった。そして翌日はマドを開けて下値を探り、その結果、最高値圏で大陰線を引きアイランドリバーサルを形成するというテクニカル的にも看過しにくいパターンとなっている。これが同社株のみならず半導体関連全般の大天井を暗示するというのは穿(うが)ち過ぎとしても、すぐに切り返せない展開となれば、やはり目先天井圏というレッテルを貼られても仕方のないところだ。
ただ、AIデータセンター関連という範疇では見えている景色は異なる。フジクラ<5803>、古河電気工業<5801>、住友電気工業<5802>の電線御三家が揃って高値更新と気を吐いており、ここを起点に物色の裾野が広がっている。半導体製造装置関連は食傷気味で信用買い残も重荷だが、光ファイバーや光コネクターなど比較的特定性のある商品分野に関する銘柄は、直近の買い残などの動向などをみてもそれほど過熱感がない。 データセンター関連でここから狙うとすれば、空調や電力などの設備に絡む業績好調銘柄が有力だ。朝日工業社<1975>はデータセンター向け空調で実績が高い。またデータセンター向け発電機用軸受けで需要を獲得している大同メタル工業<7245>などに目を向けておきたい。
他方、きょうは三菱重工業<7011>の10~12月期決算が後場取引時間中に発表されたが、国策銘柄としての面目躍如となり非常に好調で通期業績予想の上方修正を発表。純利益は2300億円から2600億円(前期比6%増)に増額し、減益見通しが一転して増益予想に変わった。防衛関連の中核だが、同社株を旗艦銘柄として飛び立つ周辺株の方を改めてチェックしておきたい。有力候補に挙げられる日本アビオニクス<6946>は既に実質的な青空圏をまい進しているが、これ以外では三菱重を筆頭株主とする放電精密加工研究所<6469>の切り返しに期待。また、防衛関連の穴株では国際計測器<7722>が挙げられる。同社はバランシングマシン(動釣合い試験機)のグローバル・ニッチトップ企業だが、これは防衛装備品として重要なテリトリーを担う商品分野といえる。
内需系では地銀株に照準。金利上昇局面でスポットライトが当たるのはメガバンクばかりではない。前週取り上げた筑波銀行<8338>が商いを膨らませ約18年ぶりの高値圏に浮上してきたが、それでも時価は500円台でPER9倍、PBR0.8倍である。実態良好で産業の融合するつくば市を舞台に地銀の中でも相対優位なポジションが意識される。そして、地銀セクターで目立たない存在ながら、マークしておく価値の高い銘柄として石川県を地盤とするCCIグループ<7381>を挙げておきたい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に1月の輸入車販売(日本自動車組合)、1月の車名別新車販売(自販連)、1月の軽自動車販売(全軽自協)が発表される。また、30年物国債の入札も行われる。主要企業の決算発表では富士フイルムホールディングス<4901>、日本製鉄<5401>、ソニーグループ<6758>、バンダイナムコホールディングス<7832>、三菱商事<8058>、NTT<9432>、花王<4452>、ルネサスエレクトロニクス<6723>などがある。海外では12月のユーロ圏小売売上高、英中銀の金融政策員会(MPC)やECB理事会の結果発表、週間の米新規失業保険申請件数など。個別企業では米アマゾン・ドット・コム<AMZN>の決算発表にマーケットの耳目が集まる。(銀)