概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

高市政権への海外からの追い風と、海外市場発の波乱要因【フィリップ証券】

市況
2026年2月12日 16時37分

衆議院選挙の投開票を週末に控え、トランプ米大統領は2/5、高市首相と3月に米ホワイトハウスで会談するとSNSで公表し、自民党と日本維新の会の連立政権に対し「米大統領として完全かつ全面的に支持する」と表明。また、半導体ファウンドリ世界最大手の台湾積体電路製造<TSM>(TSMC)の魏会長が同日、高市首相と会談し、従来の方針を変更して熊本県に建設中の第2工場で回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端半導体を生産すると発表。選挙後の長期政権の基盤確立に向けて海外からも追い風が吹いている。選挙後の2/9以降、日本株は「高圧経済」と「責任ある積極財政」を旗印とした「高市トレード」への期待から力強く上昇するのだろうか?

海外市場に目を転じると金融市場は荒れ模様だ。第1に、トランプ氏が次期米FRB(連邦準備理事会)議長にウォーシュ元FRB理事を指名すると発表したことを受け、米ドル高と貴金属市況の大幅下落に見舞われた。ウォーシュ氏はFRBのバランスシート拡大を批判してきたことから、過剰流動性が市場から吸収されることが懸念された模様だ。貴金属先物は当限の期日前まで売り方の「踏み上げ」(ショートスクイーズ)により急騰していた。投機的な乱高下の値動きにより大きな損失を抱えた機関投資家の存在が推察される。資金捻出のための他のアセットの売却などへ影響が広がる可能性がある。

第2に、米AI(人工知能)新興アンソロピックの新技術公開をきっかけとして、ソフトウェアがAIに代替される「SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の死」を警戒したソフトウェア関連株への売りだ。業務用ソフトウェアにとどまらず、ITソリューション、ゲームソフト、サイバーセキュリティ、金融や法律の専門情報サービス企業など影響が広範囲に広がり、日本株の主力銘柄もその影響を免れ得なかった。ソフトウェアを含むテクノロジーセクターへのプライベートクレジット(ファンド融資)市場の悪化が懸念され始めている。金融機関にリスクが飛び火した場合は株式市場もショック安に見舞われやすいだろう。

日本株市場に関する最近の動向で次の二点が注目される。第1に、電力と情報通信インフラを一体で整備する「ワット・ビット連携」である。総務省が2026年春にも、異なる地域にあるデータセンターを高速の光通信網でつなぐ実証実験を始めると報道された。通信に電気処理を光に置き換える「光電融合」技術を用いる点が注目される。第2に、AI半導体向けガラス材料で、ガラス繊維を布状にした「ガラスクロス」である。データサーバーに使うチップやメモリーを置く半導体基板の絶縁層に使われる「Tガラス」は、GPU(画像処理半導体)に不可欠な素材であり、日東紡績<3110>が世界シェア9割を占める。低熱膨張タイプでスマートフォン基板向けの極薄ガラスクロスを供給するユニチカ<3103>は海外大手メーカーからの引き合いが強い。

■平成バブル崩壊前に表れた兆候~インフレ加速と公定歩合の引き上げ

高市政権は「高圧経済」の下、17分野への重点投資のほか、全業種を対象とした設備投資促進減税を行う方針を打ち出している。物価上昇は税収上振れと名目GDP成長を通じて「政府債務残高の対名目GDP比率」を低下させ、「責任ある積極財政」に資するとして容認される余地があり「株高、債券安、円安」をもたらしやすい。株高、債券安、円安だった1989年型相場の再来をもたらす可能性の一方、物価上昇と政策金利引上げが加速することで、1990年に経験したように株高が株安に転化する危険を秘めている。

1989年は全国CPI(消費者物価)上昇率が4月に前年比2.4%と、3月の1.1%から跳ね上がり、その後も上昇が加速。公定歩合も5月に引き上げられ、12月までに合計3回、累計1.75ポイント上昇した。

【タイトル】

参考銘柄

日本リーテック<1938>

・2009年に千歳電気工業が保安工業と合併して設立。JR東日本<9020>が18.94%を保有する筆頭株主。電気設備工事業(鉄道電気、道路、屋内外電気、送電線の各設備工事)を主として展開。

・11/10発表の2026/3期1H(4-9月)は、売上高が前年同期比6.1%増の286億円、営業利益が同87.5%増の14億円。各事業部門とも主要顧客を中心に設備投資が堅調に推移した中、受注高が9%増の336億円。豊富な手持工事の施工が増収に、価格交渉と生産性向上などが増益に寄与。

・通期会社計画は、売上高が前期比5.3%増の723億円、営業利益が同2.5%増の53億円、年間配当が同5円増配の82円。同社は鉄道に強くJR東日本への依存が大きい中、2/2発表のJR東日本の4-12月期決算で業績の堅調な推移が示された。成長分野であるデータセンター関連工事や系統用蓄電池設置工事、およびインド高速鉄道の技術指導など新規分野への事業展開も注目される。

旭化成<3407>

・1931年設立の総合化学メーカー。繊維・ケミカル・エレクトロニクス事業の「マテリアル」、住宅・建材事業の「住宅」、医薬・医療・クリティカルケア事業の「ヘルスケア」の3領域で事業を展開する。

・2/4発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比0.1%増の2兆2612億円、営業利益が同6.2%増の1739億円。セグメント別の営業利益は、マテリアル(同43%)が22%減の501億円だった一方、ヘルスケア(売上比率21%)が29%増の659億円、住宅(同35%)が4%増の730億円だった。

・通期会社計画は、売上高を前期比0.9%増の3兆650億円(従来計画3兆800億円)へ下方修正の一方、営業利益を同6.2%増の2250億円(同2210億円)へ上方修正とした。年間配当は同2円増配の40円と従来計画を据え置いた。AI半導体向けのガラス材料の中でガラス繊維を布状にした「ガラスクロス」のうち、同社は伝送損失を抑制する低誘電タイプの高性能品に強みを持つ。

パナソニックホールディングス<6752>

・1935年設立の総合電機メーカー。家電、FA機器、情報通信機器や住設機器などの生産、販売やサービスの提供を行う。リチウムイオン電池、デバイスなどとともに拡大する車載事業へ重点注力。

・2/4発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比8.1%減の5兆8837億円、営業利益が同54.7%減の1577億円。くらし事業の減収およびオートモーティブ非連結化の影響により減収。構造改革費用の影響を除く調整後営業利益はくらし事業とコネクト・インダストリーの貢献により増益。

・通期会社計画を下方修正。人員削減の規模が想定より多くなることに伴う構造改革費用増の影響から、営業利益を同32.0%減の2900億円(従来計画3200億円)とした。売上高は前期比9.0%減の7兆7000億円、年間配当は同8円減配の40円と従来計画を据え置いた。構造改革の進展に加え、主要取引先の米テスラがヒト型ロボットの生産を拡大する見通しからの中期的な恩恵が見込まれる。

クレディセゾン<8253>

・1951年に前身の緑屋を設立。ペイメント、リース、ファイナンス、不動産関連、グローバル、エンタテインメント等を主な事業とする。信販会社大手で、流通系カードで首位。ポイントビジネスに特色。

・11/14発表の2026/3期1H(4-9月)は、純収益が前年同期比16.2%増の2281億円、事業利益が同12.5%増の450億円。事業利益の主な内訳は、ペイメント事業(売上比率60%)が26%増の171億円、ファイナンス事業(同17%)が18%増の204億円、不動産関連事業(同6%)が25%増の88億円。

・通期会社計画は、アミューズメント事業からの撤退に伴って純収益を前期比12.0%増の4735億円(従来計画4790億円)へ下方修正。事業利益は同2.5%増の960億円、年間配当が同10円増配の130円と、いずれも従来計画を据え置いた。同社は年内に、若年層が多くデジタル技術が普及するブラジルでインターネット銀行立ち上げの計画。25年9月末時点ブラジルでの融資残高は154億円。

※執筆日 2026年2月6日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>

・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集