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自民大勝後に進む円高・債券高、AIに取って代わられないHALO株【フィリップ証券】

市況
2026年2月18日 13時22分

衆院選における自民党の大勝後、円高と債券高(長期金利低下)が進んでいる。高市首相が積極的な財政政策と金融緩和で意図的に経済を過熱させる「高圧経済」を志向しているとの見方に基づいて株高の副産物としてインフレ懸念による円安と債券安(長期金利上昇)が進むのではないかという見立ては外れたのだろうか?

円高が進んでいる背景には、長期・安定政権への期待の高まりも一部あるとみられるものの、主な要因は日銀の追加利上げへの思惑だろう。食料品の消費税減税(ゼロ税率)に関する選挙公約が2年間の時限的なものとはいえ、財政政策が拡張的であることには変わりなく、財政拡張は、基調的なインフレ率を重視する日銀にとって利上げをサポートする方向に働きやすいとみられる。

一方、債券高が進んでいる要因は、食料品の消費税減税を巡り、高市首相が「特例公債(赤字国債)」に依存しないと改めて説明し、財政懸念がやや後退したことが大きい。高市政権は食料品の消費税減税について、超党派の国民会議を設置して議論を進める方針で、「夏前、6月には中間報告」を目指している。片山財務相は2/13、同時並行的に給付付き税額控除についても検討を進めると述べている。消費税率の維持と社会保険料の引き下げを訴えた「チームみらい」が若年層の支持を得て衆院選で躍進したこともあり、債券市場の見通しの観点からも今後の議論の方向が注目されるところだ。選挙公約は軽いものではないとの見方に立てば、株式では食品スーパー関連銘柄は円高メリットも享受できることから、好機だろう。

サービス業務がAI(人工知能)に取って代わられ、収益を揺るがす「SaaSの死」への懸念が高まり、ソフトウェア関連株が売られる一方で、AIの影響を受けにくい銘柄探しも進んでいる。最近話題を集めているのが「HALO株」だ。これは「Heavy Asset Low Obsolescence」の略称で、価値の高い資産を持ち、事業の陳腐化リスクが低い会社を指す。その上で、「AIが製品・サービスを複製できるか否か」がHALO株の基準とされる。米国株の主要銘柄の中では、飛行機という「重い資産」を持つデルタ航空、製品の物理性とブランド流通への強みからマクドナルドやコカ・コーラ、ペプシコなどが該当するとみられている。一般的に大型の生活必需・産業系に資金が向かいやすいということだろう。日本株でいえば、銘柄名に「重」の文字が入っている産業系メーカーに対して資金が向かいやすい面があるのかもしれない。

2026年はコーポレートガバナンス・コードの改訂が予定されている。ガバナンス不全が問題視されていたフジ・メディア・ホールディングス<4676>が、ROEを高めるため、アクティビストからの要求に応える形で不動産事業に外部資本を導入することの検討を開始したのは、そのような時代を象徴する出来事といえるだろう。

■日本株の上値余地を探る株~米国株予想PERと日本国債利回りとの比較

株価を予想EPS(1株当たり利益)で割ることで算出される予想PER(株価収益率)は、TOPIXの2/6終値で約19.3倍まで上昇してきた。先日の衆院総選挙と同様に自民党が圧勝した「小泉郵政解散」後には2006年2月に約23.7倍まで上昇したことから、成長期待が高まるなら、さらなる上値を追う余地は残る。今年3月に米国で日米首脳会談が予定される中、日米の経済的連携が強調されれば米国株の予想PERも意識される可能性がある。

一方で、日銀の買い入れの影響を受けやすい10年国債と比べて海外投資家が主導する市場である30年国債利回りと、PERの逆数である益利回りとのスプレッドは縮小傾向にある。債券よりも株式のほうが高リスクであることから、益利回りのほうが国債利回りを上回るとされる。

【タイトル】

参考銘柄

東レ<3402>

・1926年設立の基礎素材メーカー。繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスなどの事業を展開。航空機向け炭素繊維とポリエステルフィルムは世界首位。

・2/10発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上収益が前年同期比0.2%減の1兆9194億円、事業利益が同3.4%減の1050億円。事業利益の主な内訳は、繊維(売上比率42%)が10%増の548億円、環境・エンジニアリング(同9%)が4%増の176億円。機能化成品と炭素繊維複合材料が減益だった。

・通期会社計画は、売上収益を前期比1.4%増の2兆6000億円(従来計画2兆6300億円)へ下方修正の一方、事業利益は同5.1%増の1500億円、年間配当は同2円増配の20円と従来計画を据え置いた。同社は2025年10月に、韓国現代自動車と提携し、EV(電気自動車)・ヒト型ロボット向け先進素材を共同開発。炭素繊維の軽量化技術がロボットの耐久性向上に寄与することが注目されている。

フジ・メディア・ホールディングス<4676>

・1957年にニッポン放送と文化放送に映画3社(東宝、松竹、大映)が加わり「富士テレビジョン」のテレビ免許申請。2008年に認定放送持株会社体制へ移行。2012年にサンケイビルを連結子会社化。

・2/3発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比5.1%減の3924億円、営業利益が271億円から▲48億円へ赤字転落。政策保有株の売却により最終増益。セグメント利益はメディア・コンテンツ事業が▲253億円(10-12月期は+73億円)に対し、都市開発・観光事業が73%増の227億円。

・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比0.4%増の5527億円(従来計画5443億円)、営業利益を▲72億円(同▲105億円)、年間配当を同75円増配の125円(同50円)とした。同社は従来の方針を転換し、都市開発・観光事業に外部資本を導入する検討を開始した。2/5に実施した約2350億円の自社株買いにより旧村上ファンド系のファンドの持株比率が17.95%から4.34%へ低下した。

LINEヤフー<4689>

・1996年に現ソフトバンクグループ<9984>の子会社として設立。戦略、メディア、コマースの各事業を展開。祖業のヤフー、2021年に経営統合したLINEのほかZOZO、アスクル、PayPayを傘下とする。

・2/4発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上収益が前年同期比4.7%増の1兆4953億円、一時的要因を除く調整後EBITDAが同3.8%増の3773億円。調整後EBITDAの内訳は、メディア(売上比率36%)が5%減の2065億円、コマース(同42%)が15%減の1010億円、戦略(同22%)が81%増の701億円。

・通期会社計画は、売上収益を前期比4.3%増の2兆円(従来計画2兆1000億円)へ下方修正の一方、調整後EBITDAが同6-8%増の5000-5100億円、年間配当が同0.3円増配の7.3円と従来計画を据え置いた。スマホ決済大手で、同社と親会社のソフトバンク<9434>が合計66%を所有するPayPayが今年3月に米NASDAQ市場に上場。PayPayは2/12、米クレジットカード大手ビザとの提携を発表した。

ナブテスコ<6268>

・2003年に旧帝人製機とナブコが統合。世界シェア6割の産業ロボット精密減速機他の「コンポーネント」、鉄道用ブレーキ他の「トランスポート」、自動ドア他の「アクセシビリティ」等の事業を展開する。

・2/12発表の2025/12通期は、売上高が前年同期比9.8%増の3079億円、営業利益が同60.3%増の207億円。受注高は11%増。営業利益の内訳は、コンポーネント(売上比率26%)が103%増の54億円、トランスポート(同33%)が9%増の135億円、アクセシビリティ(同36%)が1%増の90億円。

・2026/12通期会社計画は、売上高が前期比6.2%増の3270億円、営業利益が同33.6%増の277億円、年間配当が同2円増配の82円。同社は米ボーイングに対し、航空機の飛行姿勢(上昇・下降・旋回)を油圧制御する「フライト・コントロール・アクチュエーション」を提供。ボーイングは米NASAの月探査(アルテミス)計画に関与。また、精密減速機(アクチュエーター)はヒト型ロボット製造でも重要。

※執筆日 2026年2月13日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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