AIに代替されにくい「HALO株」への注目【フィリップ証券】
AI(人工知能)の進化により、従来のインターネット経由で提供される業務ソフトウェア・サービス
その一方、AIの影響を受けにくい銘柄探しも進んでいる。最近話題を集めているのが「HALO株」だ。これは「Heavy Asset Low Obsolescence」の略称で、直訳すれば「重い資産を持ち、陳腐化しにくい」銘柄群を指す。その上で、「AIが製品・サービスを複製できるか否か」がHALO株の基準とされる。米資産運用会社リソルツ・ウェルス・マネジメントのジョシュ・ブラウンは、「The most important investing theme of 2026 is HALO」というタイトルのレポートの中で、まず、年初来のパフォーマンスでソフトウェア関連ETFの下落に対し、エネルギー、マテリアルズ(素材)、ステープル(生活必需品)の関連ETFが堅調に推移していることを示した上で、「HALO株」の例として、エクソン・モービル<XOM>、ウォルマート<WMT>、マクドナルド<MCD>、スターバックス<SBUX>、バレロ・エナジー<VLO>、ベーカー・ヒューズ<BKR>、マーティン・マリエッタ・マテリアルズ<MLM>を挙げている。コンクリートを製造するマーティン・マリエッタ・マテリアルズに関し、「ChatGPTはコンクリートを作らないし、将来も作らないだろう」と記している。
実際には、AIの進化によってソフトウェアを作ることが簡単になるものの、企業への実装や運用への落とし込みまで自動化できるわけではなく、付加価値が残る領域はあるのではないかと考えられる。また、自律的に思考し、計画を立てて必要なツールを使って実行する「AIエージェント」をSaaS企業が提供する場合、課金体系を今までのように「1ID当たり」のままでは、AIがもたらすだけの付加価値を収益化できない。これを利用量や成果に連動した課金とするなど事業モデルを転換することでSaaS企業が生き残ることができると考えられる。
AIの進化に伴って「SaaSの死」が懸念される一方で、AI半導体とその製造装置への需要が高まることから、S&P500ソフトウェア指数とフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の価格推移は逆相関の関係を示し始めている。半導体大手エヌビディア<NVDA>の2025年11月~2026年1月期決算発表を2/26に控え、ソフトウェア関連と半導体関連の株価が逆相関になりやすい面には要注意だろう。
■データセンターは宇宙へ~NASAアルテミス計画とスペースX上場準備
「宇宙関連」は今年の米国株投資のテーマの中心になる可能性を秘めている。テスラ<TSLA>CEOのイーロン・マスク氏は、1/22にダボス会議で講演し、AI(人工知能)のインフラ整備に向け、3年以内に宇宙空間でデータセンターを作る構想を表明した。マスク氏が率いる宇宙開発企業のスペースXは2026年内のIPOを計画している。米航空宇宙局(NASA)が主導し、日本も参加する有人月探査「アルテミス計画」では3月に、4人の宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船が月を周回して帰還する「アルテミスⅡ」が実施される予定だ。トランプ米大統領は昨年12月、アルテミス計画を大幅に前進させる宇宙政策の大統領令に署名。ロケット打上げ・探査システム、月面探査・着陸機関、衛星・宇宙データセンターなどの関連企業が注目される。

■米ソフトウェアと半導体の関連株~昨年末以降の逆相関関係は行き過ぎか
2/11の米国株市場は、「アンソロピック・ショック」に伴う混乱に見舞われたソフトウェア株が先週の急落から持ち直していたものの、4営業日ぶりに下落し、S&Pソフトウェア指数が2.6%下落した。資産運用の新興企業アルトゥルイストがAIを用いた税務戦略機能を導入したことを受けて証券株が売られた。
一方で、AI需要の拡大の恩恵を受けるとみられるAI半導体関連銘柄は株価が上昇し、フィラデルフィア半導体指数が2.3%高と逆相関の関係を示した。2025年12月頃から、SOXとS&Pソフトウェア指数が逆相関の動きを示し始めたが、ソフトウェア企業の多くはAIプラットフォームを開発・運営し、AI半導体需要を支える一翼を担っている。株価の逆相関がいつまでも続くわけではないと考えられる。

参考銘柄
アプライド・マテリアルズ<AMAT> 市場:NASDAQ・・・2026/5/14に2026/10期2Q(2-4月)の決算発表を予定
・1967年設立の半導体・ディスプレイ製造装置メーカー。マテリアルズ・エンジニアリングのリーディング企業として世界中のほぼ全ての半導体チップや先進ディスプレイの製造に関与している。
・2/12発表の2026/10期1Q(11-1月)は、売上高が前年同期比2.1%減の70.12億USD(会社予想63.50-73.50億USD)、非GAAPの調整後EPSが同横ばいの2.38USD(同1.98-2.38USD)。AIやメモリ半導体向けの需要拡大を追い風に、調整後粗利益率が0.2ポイント上昇の49.1%へ改善。
・2026/10期2Q(2-4月)会社計画は、売上高が前年同期比1-15%増の71.50-81.50億USD、調整後EPSが同2-19%増の2.44-2.84USD。同社は、中国向けの輸出規制による減速から回復しつつあり、特にメモリ装置需要が好材料となっている。メモリ半導体大手のサムスン電子やマイクロンテクノロジー<MU>が増産を進めるほか、AI向けの高帯域幅メモリ(HBM)需要拡大も追い風となっている。
ファストリー<FSLY> 市場:NASDAQ・・・・2026/5/7に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・2011年設立。リアルタイムのコンテンツ配信ネットワーク(CDN)を提供。従来サーバー側で実行されたアプリケーションの一部をネットワーク側で実行する「エッジクラウドプラットフォーム」を運営。
・2/11発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比22.8%増の1.72億USD(会社予想1.59-1.63億USD)、非GAAPの調整後EPSが前年同期の▲0.02USDから0.12USDへ黒字転換(同0.04-0.08USD)。調整後粗利益率が6.5ポイント上昇。RPO(残存履行義務)が55%増の3.53億USD。
・2026/12通期会社計画は、売上高が前期比12-15%増の7.00-7.20億USD、調整後EPSが同77-123%増の0.23-0.29USD。2025年6月に就任したコンプトンCEOは、従来の財務規律重視から製品イノベーションと成長加速重視へと経営戦略を転換。特に、2025年に実施した「営業・市場開拓の変革」によって、セキュリティ主導のセールス、クロスセル強化、大企業顧客のシェア獲得が進んだ。
クローガー<KR> 市場:NYSE・・・2026/3/9に2026/1期4Q(11-1月)の決算発表を予定
・1883年開業の全米最大の生鮮食品スーパーマーケットチェーン。傘下に、ラルフス、フード4レス、ハリス・ティーター、フレッド・マイヤーがある。プライベートブランドのシンプル・トゥルースを展開。
・12/4発表の2026/1期3Q(8-10月)は、燃料費・例外的項目を除く調整後売上高が前年同期比2.6%増の300億USD、非GAAPの調整後EPSが同7.1%増の1.05USD。臨床薬局(Kroger Specialty Pharmacy)の売却や供給網コスト減が奏功し、調整後FIFOベース粗利益率が0.49ポイント改善した。
・通期会社計画は、調整後売上高成長率を前期比2.8-3.0%(従来計画2.7-3.4%)へレンジ縮小し、調整後EPSを同6-7%増の4.75-4.80USD(同4.70-4.80USD)へ下限を引き上げた。同社は大型合併失敗とマクマレン前CEOの辞任を受けて新たな道を模索する中、2010年代半ば以降にウォルマートの米国事業のCEOとして同事業を立て直した功績で知られるフォーラン氏を新CEOに指名すると公表。
マクドナルド<MCD> 市場:NYSE・・・2026/5/1に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・1940年創業の世界的なフードサービス事業会社。ファーストフード「マクドナルド」の直営店およびフランチャイズチェーン運営を行う。2025年末の世界店舗数は4万5356店(うち米国1万3706店舗)。
・2/11発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比9.7%増の70.09億USD、非GAAPの調整後EPSが同10.2%増の3.12USD。 既存店売上高は5.7%増(うち米国が6.8%増)。経済格差の拡大で低所得層の外食利用が減少する中、チキンを中心とした低価格メニューによる集客が好調。
・2026/12期に係る会社計画は未公表。米国では所得増がインフレに追いつかず、低所得層や若年層の消費支出の伸び悩みが深刻になっている。同社が2024年夏に導入した「5ドルセット」で火が付いた低価格競争によって低所得層を主要顧客とする大手ファーストフード企業の業績が軒並み悪化している。体力勝負の様相が強まる中、事業規模で勝る同社が競争でリードし始めている。
マーティン・マリエッタ・マテリアルズ<MLM> 市場:NYSE・・・2026/4/30に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・1939年設立の建設用骨材メーカー。北米やバハマの採石場・鉱山から石灰岩・砂利等を採掘・加工し、セメントやアスファルトなど建設用資材として公共インフラをはじめ多様な用途向けに供給。
・2/11発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比8.6%増の15.34億USD、非GAAPの調整後EBITDA(継続事業ベース)が同10.2%増の5.15億USD。骨材の出荷重量が2%増、トン当たり平均販売価格が5%増。発電所やデータセンターなどインフラ投資と非住宅建設の拡大が貢献。
・2026/12通期会社計画は、骨材の出荷重量が前期比1桁台前半の伸び率を見込む。2021年にバイデン政権下で成立したインフラ投資・雇用法(IIJA)による連邦・州レベルの公共投資需要が、特に道路・橋梁・空港などで見込まれることに加え、データセンター建設とエネルギーインフラ(再エネ、LNG輸出施設)といった高成長領域の需要増が平均販売価格の押し上げ要因になると見込まれる。
ソーファイ・テクノロジーズ<SOFI> 市場:NASDAQ・・・2026/4/29に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・2011年にスタンフォード大ビジネススクールの学生が設立。貸付事業(学生ローン、個人ローン、住宅ローン)、金融サービス事業(SoFi Bankを通じた銀行業務他)のデジタル金融サービスを提供。
・1/30発表の2025/12期4Q(10-12月)は、非GAAPの調整後売上高が前年同期比37.0%増の10.25億USD、調整後EBITDAが同60.4%増の3.17億USD。通期では調整後売上高、調整後EBITDAともに会社計画を上回った。事業別貢献利益は、貸付事業が10%増、金融サービス事業が101%増。
・2026/12通期会社計画は、調整後売上高が前期比30%増の46.55億USD、調整後EBITDAが同52%増の10.53億USD。同社は「高学歴・富裕層予備軍」を顧客ターゲットとし、金融サービスの包括的ソリューション提供を目指している。既存会員のクロスセルが同社収益の約7割を占める中、同社の会員数の年平均増加率見通しは25%。AI統合や国際展開が更なる成長の原動力と見込まれる。
執筆日:2026年2月16日
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