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電子部品とサヨナラしたら「利益500倍」「株価10倍」

特集
2026年3月5日 13時28分

気になる会社を診断
億トレ・ガチホ企業~JALCOの強さと課題-第1回

登場する銘柄
JALCO<6625>

取材・文/真弓重孝、高山英聖

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■JALCOってどんな会社?

項目内容
注目 業態転換で経常利益500倍、株価10倍に
中核事業 パチンコホールの不動産賃貸・転売、M&A支援
億トレの期待ブルーオーシャンで独り勝ち、還元も手厚い

「オワコン」「なんかヤバそう」。パチンコと聞くと、何かと後ろ向きなイメージが浮かびがちだ。

そんなパチンコ関連銘柄に、約1億円の運用資産の大半をつっこむ投資家がいる。2025年1月に「株探プレミアム」で紹介したササさん(ハンドルネーム)だ。

保有するのは、パチンコホール向け不動産の賃貸が主力のJALCOホールディングス<6625>で、その投資額は約7500万円、約18万株になる。

その勝負の結果、イラン情勢で株式市場が揺れる足元でも、含み益は2000万円となり、年間の配当収入は260万円(税引き後)が見込まれている。

ブルーオーシャン市場で独り勝ち

ササさんは、JALCO株を担保に信用取引で他の銘柄に2000万円ほどを運用している。これだけのリスクを取ってJALCOに全力投資するのは、独り勝ちのブルーオーシャン企業と見ているからだ。

同社の業績が示している。同社は2012年秋に祖業の電子部品からパチンコ関連事業に業態転換すると、14年3月期にはそれまでの10期連続の赤字から黒字に転換、今期(2026年3月期)の営業利益は黒転時の3500万円から150倍近い51億円に、経常利益は600万円から約500倍の29億円を計画する。

同社を急成長路線に導いたのが、野村証券出身の田辺順一社長だ。金融業界出身の田辺社長が業態転換を決断したのは、一般的なイメージに反してパチンコホール(以下、ホール)の多くが高収益体質にあることを知ったためだ。超優良ホールの場合、1カ月の家賃分を3時間で稼ぐケースも見られるという。

JALCOはホールのほかに、最近はデータセンター(DC)や蓄電池向けの不動産関連事業にも裾野を広げる。

ホール数が減少傾向にある環境での裾野拡大は、「パチンコ一本足打法」のリスク軽減のためかと思えば、田辺社長は今後もパチンコ関連の不動産取得を加速させていくとする。

少子高齢化の影響で店舗の撤退が増える中で、投資を拡大するのはなぜか。そしてDCや蓄電池関連に進出する狙いとは。田辺社長に2回シリーズで聞いていく。

初回は、今後の成長戦略に焦点を当てる。

■JALCOの田辺順一社長

【タイトル】

略歴:1990年3月に一橋大学卒業後、野村証券に入社。2009年6月に
ジャルコ取締役、11年10月に現JALCO代表取締役に就任。

■JALCOの概要

基本項目株価関連
事業内容不動産・住宅時価総額470億円
東証33業種不動産業流通株比率/流通時価総額43.2%164億円
会社設立日(登記)2011/10/03海外売上高/外国人持ち株――2.6%
上場日2011/10/0352週高値/期日448円2025/9/29
上場区分東証スタンダード52週安値/期日202円2025/4/7
連結子会社/うち上場2社――上場来高値/期日571円2024/7/17
連結持分適用/うち上場――――上場来安値/期日45円2012/9/28
業績関連株主還元・株価水準
過去最高売上高/決算期127億円2024/03総還元性向/配当性向61.8%
過去最高経常益/決算期50億円2024/03株主優待
5期平均ROE/ROA10.4%3.0%75日平均250日平均
今期計画5期平均PBR2.4倍2.0倍
増収率147.8%31.8%予想PER27.6倍38.1倍
経常増益率366.9%0.3%予想配当利回り4.4%5.2%
売上高経常利益率32.1%32.2%予想PSR2.9倍3.2倍
5期平均進捗率(1Q、2Q累計、3Q累計)過去1000日最高値(日付)最低値(日付)
売上高20%/40%/73%PBR(倍)3.1(24/07/17)1.1(22/01/28)
経常利益25%/38%/68%PER(倍)113.4(25/02/19)6.2(24/01/15)
当期純利益79%/100%/93%配当利回り(%)8.0(25/02/19)1.0(24/01/15)
EBITDA20%/39%/68%PSR(倍)10.0(25/02/19)1.9(24/01/15)

出所:『株探』『QUICK』。注:3月4日終値時点。5期平均は前期までの実績ベース。進捗率は各年の平均。売上高経常利益率は5期の合計。流通時価総額は算出基準日を基に計算した値。海外売上高および外国人持ち株の比率は原則、有報で取得できた時点。ROAは総資産事業利益率。総還元性向と配当性向は前期実績。予想PERと予想配当利回りはQUICKの値から計算。PBRは株価純資産倍率、PERは株価収益率、PSRは株価売上高倍率の略

中核は、パチンコホールに特化した「大家業」

主力のホール向け不動産事業は、賃貸および転売収入がメーンになる。

ホールに付随する土地、建物および風営法に基づく営業権をJALCOが取得し、元の所有者などに再び貸し出すセール・アンド・リースバック(S&LB)を基本とする。また必要に応じて取得した不動産等を第三者に転売して売却益を出す。

このように同社の収益構造は、保有不動産から毎月定額で入るストック型の家賃(S&LB収入)と、不定期で入るフロー型の転売収入に分かれる。家賃収入はストックする不動産額の増加と共に安定した成長を描けるのに対して、転売収入は案件の発生具合に左右されるため、決算期によって大きく増減する。

下のグラフにあるように、安定収益の家賃収入(緑の棒グラフ)は右肩上がりを描き、2020年3月期の13億5600万円は、21年に18億円、22年に22億円と伸び、今期(26年)は52億円を見込んでいる。

一方、転売収入については、今期を含むここ3年の変動が大きい。前の期から24年は「5倍」となったが、25年は「4分の1」に激減、今期は再び「5倍」となる見込みだ。

収入の発生時期に偏りがあるため進捗率も変動し、今期の3Q(第3四半期)時点の経常利益の進捗率は7%と、過去5年平均の68%から大きく落ち込む。

それでも、田辺社長は「転売収入は4Qに入ることは確定済み」とし、今期計画を下方修正する予定はないとする。

■JALCOのS&LBと転売等収入の推移(2020年~)

【タイトル】

出所:IR資料。注:26年は会社計画

この転売収入の増減は、同社が重視するキャッシュフローの動きにも影響する。

同社がKGI(重要目標達成指標)として掲げるのが、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を期初の自己資本で割った値だ。

株主から預かったお金で、どれだけのキャッシュを生み出したのかを示す。同社は成長投資と株主還元の両立を目指しており、その実現はキャッシュの創出力にかかっているというのが、田辺社長の考えだ。

同社のEBITDAと、期初自己資本に占める割合を見たのが下のグラフ。転売収入が大きい24年3月期と今26年3月期はEBITDAの水準も高くなり、期初自己資本に占める割合も高くなっている。

転売収入が控えめな時は、自己資本に占める割合は15~25%ほどになっている。

■EBITDAと、期初自己資本に占める割合の推移

【タイトル】

商業施設やマンションより「高利回り」、背景に2つのギャップ

家賃および転売のいずれも、収益成長の鍵は優良物件の取得にある。同社の保有物件で、純収益を物件価格で割ったキャップレート(期待利回り)は平均6%程度になる。新たに物件を取得する際は、高利回りを見込みやすい地方では9%程度を理想としている。

「事業用や居住用より高利回りであることが大原則」と田辺社長は言う。同社が他の不動産より高利回り物件を狙えるのは、ホールを巡る世間の認識に2つのギャップがあるためだ。

その2つとは、

先入観-1

パチンコは反社会勢力との関わりがある

現実-1

→1992年の暴力団対策法の施行で、「クリーンな業界になっている」(田辺社長)

先入観-2

人口減少で収入が伸び悩む

現実-2

→「全国のパチンコ店のうち75%が黒字」(田辺社長)

――というものだ。

2つ目について見ると、たしかに人口減に伴いパチンコの遊技人口は減少傾向にあるが、総売上高は増加している。

業界団体および警察庁の資料で、2020年と24年の遊技人口と店舗数の変化を見ると、24年の遊技人口は20年から2.8%減、店舗数は25.8%減となっているが、総売上高は11%増加している。

遊技人口の減少以上に店舗数が減り1店舗あたりの収益は拡大、さらに総売上高は伸びていることから、全体統計では1店舗あたりの収益力が16.2億円から24.2億円に50%増となっている。

■2020年から24年までの市場推移と増減

指標2020年2024年増減
遊技人口710万人690万人▲2.8%
店舗数9035店6706店▲25.8%
総売上高14.6兆円16.2兆円11.0%
1店舗あたり売上高16.2億円24.2億円49.5%

出所:日本遊技関連事業協会、警察庁
注:総売上高は、貸玉・貸メダル料金の年間累計額、
1店舗あたり売上高は株探プレミアム編集部が計算


優良ホールの取得を急ぐ、目指すは保有資産1兆円

2つのギャップの中で成長を遂げてきたJALCOが、さらに強化しようとしているのが仕入れの加速収益の最大化だ。

仕入れの加速については、パチンコホール関連の保有不動産を今後20年で1兆円規模まで積み上げる目標を掲げているためだ。

同社の25年12月末時点の保有額は830億円。これを今後20年で1兆円にするためには、仕入れ額を年500億円規模に拡大させる方針。その一歩として来27年3月期の仕入れ額は300億円以上と、今240億円から25%増を計画する。

田辺社長が保有不動産1兆円を目指すのは、ホール賃貸(S&LB)シェアの20%を押さえるまでの大きな節目になるからだ。

同社の試算では、全国のホールが支払う家賃は最大年間6000億円で、実質的な手取りは約5000億円と見ている。その20%は1000億円。

これを現在、同社の平均キャップレートの6%程度で運用すると、単純計算では最終的に1兆6700億円ほど必要になる。そこまで目指す方針のキャッチフレーズが、「保有不動産1兆円」だ。

資金調達は借り入れ中心

仕入れに必要な資金は、借り入れを中心とする。同社の現在の平均借り入れ金利は2.8%で、調達先は信用組合やノンバンク、地方銀行などが中心。だが、田辺社長によれば来期からはメガバンクなども加わることで、平均金利は2%前後に減少する見通しという。

エクイティ・ファイナンスは選択肢から外しているわけではないが、公募増資など不特定多数を対象にするファイナンスは想定していないという。

その理由として、同社の筆頭および2番目の株主が田辺社長自身および資産管理会社であることが関係するという。

自身が大株主である以上、希薄化によって株価が一時的に下落しても、収益成長で一定期間後に希薄化の影響を払拭できる見込みを持たずに調達することは考えにくいとする。

次に収益の最大化に向けた取り組みは、データセンターと系統用蓄電所に関連する不動産事業への進出だ。このうち成長ドライバーとして期待しているのが蓄電所だ。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ パチンコ物件を上回るNOI利回りの水準とは

 

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