概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

明日の株式相場に向けて=中銀と中東に縛られない仕手系材料株相場

市況
2026年3月16日 17時31分

週明け16日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比68円安の5万3751円と3日続落。相変わらず不安定な地合いで、きょうも上下に揺れまくるジェットコースター相場となった。きょうは取引開始前から大幅安やむなしというムードで、これは朝方6時現在の日経225先物が粛然と弱気優勢の地合いを映していた。ところが寄り前15分に先物取引が再開された途端に強調展開に変わった。これに追随して寄り付きから日経平均はプラスでスタートするかと思われたが結局軟調なスタートとなり、キツネにつままれたような気持ちで眺めているうちに、ワンテンポおいて急速に上値慕いの展開に変わるという不可解な値動き。しかし、日経平均は午前9時18分に5万4000円台回復を指呼の間に捉えたところで、買い注文の弾切れを思わせる失速に転じた。以下は下げ一貫で前引けは680円あまりの下落で前場の安値圏で着地。前場の騰落幅は870円に達した。

材料不足のなか、AIを仕切り役とする自動運転相場は後場も続いた。後場寄りから下げ幅をにわかに縮小する展開で、何か材料が出たのかとキョロキョロしているうちに放物線を描いて再び下値を探りに行く展開に変わった。ニュースヘッドラインを追うまでもなく、ETFを含めたデイトレードでの全体指数売買は、ほとんど意味不明の上下動に凌駕されるような相場環境にある。1日を通じた値動きを5分足チャートで見ると、AIが無作為に一筆書きをしたような曲線を形成し、前場は安値圏がゴールで、後場は高値圏で着地させるというルールだけが最初から存在していたような無機質なトレンドが描かれている。

今、最も株式市場が気にしているのはWTI原油に代表される原油先物価格の動向だ。全体指数は為替にリンクさせて動く時もあれば長期金利にリンクさせるケースもある。今はまぎれもなく原油である。原油価格の上昇がコストプッシュ型のインフレ効果をもたらすのは自明だが、一方で米国をはじめとする世界景気は決して盤石とはいえない状況が浮き彫りとなっている。原油高騰というマテリアルな物価上昇圧力の傍らで、AIエージェントの進化が、ホワイトカラーの大規模な雇用調整圧力をもたらすようになってきたことは不気味である。この2つの事象が導き出す方程式の答えが「スタグフレーション」であり、現実にはまだ警戒するには時期尚早にも思えるが、メディアには既にこのワードが頻繁に踊り始めている。

今週は日銀の金融政策決定会合、米FOMC、ECB理事会など中銀ウィークとなるが、今の環境下で各国中銀の舵取りは難しい。米国ではトランプ米政権の金融緩和に向けた露骨な圧力がFRBにかかっていたが、原油高によるインフレ効果を無視して利下げのカードを切れば、それは物価上昇の火を燃えたぎらせることにもなりかねない。では、日銀はどうか。当然ながら今回は据え置きが予想されるが、問題はフォワードガイダンスで植田日銀総裁の記者会見がそれを伝えるチャネルとして注目される。タカ派的なニュアンスを示すとすれば、次回以降の決定会合で利上げへの動きを意識せざるを得なくなる。

ECBも現状維持が濃厚だが、少なくとも年内利下げ期待はおおむね霧消したような状況といえる。更にあす17日に政策金利を決定する豪中央銀行に関しては、今回利上げに動く可能性も十分あり得るとみられている。市場関係者いわく「景気が弱いとみれば、少々の物価上昇局面でも利上げは見送るはず。今、中央銀行のタカ派シフトをはやすのは売り方のポジショントークの要素が強い」(生保系エコノミスト)とするが、果たしてどうか。日米ともに3月に入ってから10年債利回りの上昇ピッチが急である。今週は中東情勢を横にらみに各国中央銀行の一挙手一投足に耳目が集まる。

こうした環境下で、今の東京市場は好業績株を順番に物色していくような分かりやすい流れではない。ファンド系資金が触らない類いの、ファンダメンタルズに弱点を有する銘柄でも、全体指数売買に影響を受けない強みを前面に押し出して人気化しているケースが散見される。ひと昔前の「仕手系材料株」という範疇である。これに「全員参加型」の冠がついたのがジャパンディスプレイ<6740>。これまでと違うのは、政府が主語となる文脈で対米投融資絡みの案件が取り沙汰されたことである。割り切りは必要ながらも今後も引き続き目が離せない。このほか、勢いが感じられる銘柄では、データセンター向け水素製造装置で活躍余地の高まっているテクノフレックス<3449>や、原発関連で再び動意含みの太平電業<1968>などをマークしておきたい。

あすのスケジュールでは、前場取引時間中に1年物国庫短期証券の入札と20年物国債の入札が行われるほか、後場取引時間中に1月の第3次産業活動指数が開示される。また、3月のESPフォーキャスト調査(日本経済研究センター調べ)が公表される。海外では豪州準備銀行理事会2日目(豪中銀が政策金利発表)、インドネシア中銀が政策金利発表、3月の欧州経済センター(ZEW)の独景気予測調査、2月の米仮契約住宅販売指数、米20年国債の入札など。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)が18日までの日程で開催されるほか、ブラジル金融政策委員会も同じく18日までの日程で行われる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集