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その赤字に意味あり、「戦略は◯、戦術は?」から最高益更新へ

特集
2026年4月8日 11時55分

気になる会社を診断
億トレ・ガチホ企業~バリュエンスの強さと課題-第1回

登場する銘柄
バリュエンス<9270>、リアルリアル<REAL>

取材・文/真弓重孝、高山英聖

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■バリュエンスってどんな会社?

項目内容
注目赤字を機に収益性重視に転換、最高益更新へ
中核事業中古ブランド品の買い取り・販売
億トレの期待収益改善に伴う業績モメンタムの高まり

今年(2026年)1月上旬に1カ月で株価・2倍化となったのが、中古ブランド品の買い取り・販売を手掛けるバリュエンスホールディングス<9270>だ。同社は買い取り専門店舗「なんぼや」など、国内外に200拠点を構えるリユース業の大手だ。

年初に急騰した同社株も、実はここ2年ほどの株価は600~1000円のボックス圏で推移していた。一因となったのは24年8月期に上場来赤字に転落したこと。翌期にV字回復したが、市場から強い信頼を得るまでには至っていなかった。

その状況を変えることになったのが、年初に発表した26年8月期第1四半期(1Q)決算。四半期売上高および利益は過去最高を更新、さらに通期の営業利益は期初計画の19億円から過去最高の40億円に上方修正する「サプライズ決算」となった。

この変貌ぶりに期待して「イン」したのが、億り人のよっしーさん(ハンドルネーム)だ。よっしーさんは業績モメンタムが高まる銘柄を見つけ、中長期でキャピタルゲインを狙う手法を得意とする(参考記事:「あ~もう勝てない、でも視線を変えたら『億り人昇格』のなぜ」参照)。

バリュエンスでは目標株価3300円を目指して保有を続ける。果たして、よっしーさんの期待通りに同社は成長加速するのか。

そのポイントを探るべく、バリュエンスの嵜本晋輔社長に2回にわたり話を聞いた。初回は、今期に売上高および利益で過去最高を計画する背景にフォーカスしていく。なお同社の2Q決算は4月10日(金)に発表予定だが、インタビューは3月11日に実施している。

■バリュエンスの嵜本晋輔社長

【タイトル】

略歴:1982年生まれ。大阪府出身。始まりは家業であるリサイクル業。中古家電を主な取り扱い商品としている中で、ブランド品のリユースに着目。兄弟と立ち上げたリユース企業を経て、2011年12月にSOU(現・バリュエンスホールディングス)を設立。約7年後の18年3月に東証マザーズ市場(現在はグロース市場)に上場する。

■バリュエンスの概要

基本項目株価関連
事業内容専門店時価総額289億円
東証33業種卸売業流通株比率/流通時価総額42.1%52億円
会社設立日(登記)2011/12/28海外売上高/外国人持ち株13.2%10.5%
上場日2018/03/2252週高値/期日2139円2026/04/06
上場区分東証グロース52週安値/期日664円2025/04/07
連結子会社/うち上場10社――上場来高値/期日5620円2020/12/02
連結持分適用/うち上場1社――上場来安値/期日664円2025/04/07
業績関連株主還元・株価水準
過去最高売上高/決算期848億円2025/08総還元性向/配当性向19.2%19.2%
過去最高経常益/決算期23億円2019/08株主優待
5期平均ROE/ROA4.7%1.4%75日平均250日平均
今期計画5期平均PBR2.9倍2.1倍
増収率16.7%17.5%予想PER13.1倍18.3倍
経常増益率181.4%16.2%予想配当利回り1.6%1.2%
売上高経常利益率3.7%1.5%予想PSR0.2倍0.2倍
5期平均進捗率(1Q、2Q累計、3Q累計)過去1000日最高値(日付)最低値(日付)
売上高22%/45%/72%PBR(倍)5.4(22/11/07)1.2(24/07/12)
経常利益14%/22%/57%PER(倍)292.1(24/10/11)8.2(24/04/02)
当期純利益2%/9%/60%配当利回り(%)3.5(24/10/11)――
EBITDA8%/3%/55%PSR(倍)0.5(24/10/11)0.1(24/04/02)

出所:『株探』『QUICK』。注:4月7日終値時点。5期平均は前期までの実績ベース。
進捗率は単純平均。売上高経常利益率は加重平均。業績の過去最高は現在の決算基準。
ROAとROEは期間の合計利益を、期間中の平均資産で割って算出(加重平均)。

流通時価総額は算出基準日を基に計算した値。海外売上高および外国人持ち株の比率は原則、有報で取得できた時点。
総還元性向と配当性向は前期実績。予想PERと予想配当利回りはQUICKの値から計算。
PBRは株価純資産倍率、PERは株価収益率、PSRは株価売上高倍率の略

リユース事業に2つのタイプ、効率性と収益性で違い

バリュエンスが展開する中古ブランド品のリユース事業は、大きく卸売小売にタイプが分かれ、同社は現在、どちらも手掛けている。

それぞれの事業特性を見ると、効率性と収益性の違いが顕著となり、この違いがバリュエンスの「変身」を読み解く鍵になる。

卸売は「効率性」優位になりやすい。仕入れた中古品はオークションなどを通じて中古品の小売業者に転売される。小売業者は販売在庫の確保で定期的に仕入れるため、卸は在庫(棚卸資産)の回転率を高めやすい。ただし卸価格は、小売価格より低く、利幅が薄くなるデメリットが生じる。

小売は「収益性」優位になる。買い取った中古品を、卸売相場に利幅を上乗せした価格で販売でき、利益率を高めやすいからだ。ただし、販売先は一般消費者のBtoCビジネスとなることから、BtoBの卸売と比べて、どの商品がいつ売れるのかが見通しにくく、販売在庫が膨らむリスクを抱える。

■卸と小売の特徴

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祖業は「卸」、自社運営のオークションサイトを強みに

これら2つのタイプのうち、バリュエンス<9270>創業から力を入れてきたのが前者の卸売だ。同社は、買い取り店舗を通じて仕入れたブランド品を、主に自社運営の業者向けオークションサイトに出品し、落札を通じて収益を得ている。

この自社運営オークションサイトは2つあり(厳密には3つ)、26年1Q期間中の自社商品の落札率は97.7%となっている。

うち中核となっているのが、世界中のバイヤーが参加する「STAR BUYERS AUCTION」だ(下の図)。ジュエリーや高級バッグ、高級時計を中心に3万点以上が出品されている。

一方、金やプラチナなどの貴金属、またはオークションに向かない低価格帯の商品などはオークションを通さずに専門のバイヤーへ直接販売している。

■「STAR BUYERS AUCTION」のトップページの一部

【タイトル】

棚卸資産回転率は、ライバル3社との比較で高水準

卸業に力を入れてきた経緯から、バリュエンスはブランド品を中心に扱う同業他社に比べると棚卸資産回転率は比較的高く、売上高営業利益率は下回る水準となっている。

比較した3社の特徴は以下の通りで、バリュエンスを含む4社の棚卸資産回転率売上高営業利益率の5期平均を表に記載している。

■バリュエンスと同業3社の比較

【タイトル】

■棚卸資産回転率と売上高営業利益率の比較(5期平均)

順位銘柄名<コード>棚卸資産
回転率
銘柄名<コード>売上高
営業利益率
1位バリュエンス<9270>11.1回バイセル<7685>8.6%
2位バイセル<7685>10.3回コメ兵HD<2780>4.7%
3位大黒屋<6993>6.0回バリュエンス<9270>1.7%
4位コメ兵HD<2780>4.9回大黒屋<6993>▲2.2%

出所:『QUICK』、注:通期実績ベース。各指標とも5期合計から算出、棚卸資産は期中平均で計算。

棚卸資産回転率では、バリュエンスが4社中トップの11.1回となっている。卸売と小売が半々のコメ兵HDや、小売中心の大黒屋と比べてバリュエンスは約2倍の水準だが、同じ卸売中心のバイセルと比べると同水準になる。

売上高営業利益率では、バリュエンスは1.7%と、バイセルの8.6%やコメ兵HDの4.7%を下回る。4社のうち大黒屋に限っては在庫の低迷などで▲2.2%とマイナスになっている。

バイセルは、直近で卸売の売上高が全体の9割を占めながら利益率は8.6%と高水準なのは、仕入高の約3割を遺品などの出張買い取りが占めているため。

出張買い取りは競合が少なく仕入れ原価を抑えやすい。また家賃などの固定費負担の面でも有利に働いていると見られている。

強みは、国内外ネットワークとIT

「効率性は高いが、収益性は控えめ」の傾向にある卸業の事業基盤のうえで、バリュエンスは①規模の追求と②ITの活用で業績を伸ばしてきた。

①の規模の追求では、買い取り店舗のネットワークを国内外に広げ、仕入れの機会損失を抑えてきた。26年1Q時点で、国内146店舗、海外53店舗を展開している。

②のIT面では、前述の通りオークションサイトを「BtoBの販路として強固なプラットフォームを育てた」(嵜本社長)。同社は2011年の会社設立と同時に業者向けオークションを開始し、2020年3月にオンライン化した。

世界各国から利用者が集まり、直近では「STAR BUYERS AUCTION」の会員5345社のうち約3割を海外企業が占める。

■バリュエンスの成長基盤

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最優先課題は収益性の向上

バリュエンスの売上高と営業利益のCAGR(年平均成長率)を、上場した18年8月期から今期計画までで見ると売上高は15.4%、営業利益は9.9%となる。この数字からは「順調に成長」となるが、同業と比較すると課題が見えてくる。

先に挙げた3社と比較すると、コメ兵とは売上高成長率では同水準だが、営業利益の成長率では2分の1の水準にとどまる。

また同じ卸主体のバイセルとの比較では、営業利益の成長率で大差を付けられている。このバイセルとの差は、両社のPER(株価収益率)の水準に表れている格好だ。

■バリュエンスと同業の年平均成長率(CAGR)の比較

バリュエンス
<9270>
コメ兵HD
<2780>
大黒屋
<6993>
バイセル
<7685>
売上高15.4%20.5%▲8.1%37.6%
営業利益9.9%21.0%――49.7%
PER13.2倍13.0倍――26.0倍

注:今期計画と8期前の実績から計算。PERは4月3日終値時点。

同業と成長率で差が生じている背景には、同社は費用をかけて国内外に拠点展開を進めてきた面や、バイセルと比べるとM&A(合併・買収)に積極的に取り組んでいないことなどが影響している可能性はある。

ただし、同社の嵜本社長も利益成長に改善余地があると認識しており、今後は収益性の向上に努めていくとする。当面の目標は売上高営業利益率5~10%で安定させること。上限である10%は、先の5期平均の比較でトップだったバイセル(8.6%)を上回る水準だ。

バリュエンスは、今後どのように利益率を高めていくのか。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ バリュエンスの収益改善策

 

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