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原油価格高騰でも株価堅調、NT倍率過去最高水準の背景【フィリップ証券】

市況
2026年4月30日 13時29分

4/23の東証の寄り付き後、日経平均株価が6万円の大台を一時突破した。その瞬間にWTI原油先物価格が高騰したことを受けて反落したものの、AI(人工知能)需要の追い風は強い。日経平均株価は225銘柄の株価の平均値をベースとしており、指数寄与度が高い一部の半導体関連銘柄に支えられて堅調な推移を続けている。

一方で、東証プライム市場を中心とした幅広い銘柄を対象とした時価総額加重平均の指数である東証株価指数(TOPIX)の4/23終値は、2/27の高値(3938ポイント)から約6%下落した水準にとどまる。4/23時点で17連騰している米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の堅調な推移を受けて、日経平均株価をTOPIXで割った数値である「NT倍率」は4/23終値で15.9倍と過去最高水準を連日更新中だ。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃とホルムズ海峡の閉鎖によって原油価格が高騰し、米国とイランの和平協議の先行きも混沌としている。世界経済への幅広いマイナスの影響が懸念される中、なぜ、株価が堅調に推移しているのだろうか?さらに、半導体関連銘柄への一極集中した物色がこれからも続くのだろうか?

第1に、市場はトランプ米大統領がどれだけ過激な言葉で攻撃を示唆しても、直前で態度を変えると見透かしている。原油価格高騰が実体経済へ悪影響を及ぼす可能性が高いとしてもそれはもう少し先の問題とみられる。「トランプ劇場」に振り回されることに飽きてきている。

第2に、原油価格の高騰が負の影響を及ぼす前に、企業活動の需要増につながる面が目立っている点が挙げられる。ガソリン価格の高騰がしばらく続きそうな見通しの下、再生可能エネルギーへの見直しとともに電力系統用蓄電システムなどエネルギー供給確保への動きが高まり、電気設備工事の需要も増えている。また、石油由来の化学製品をはじめとして肥料やその他の供給が不足することへの備えとして企業が在庫を前倒しで確保する「駆け込み需要」が発生し、様々な分野の製品の生産・販売が一時的に上向くことも考えられる。ただ、その動きが一巡すればモノの価格高騰に伴う需要の減退と供給不足も含めた経済活動の減速が目立つようになる懸念がある。

第3に、AI需要への信頼感の高まりである。米オープンAIが4/9、英国で進めていたAIインフラ整備計画を一時停止すると表明。エネルギー価格高騰に伴う採算悪化の見通しが主な要因の一つだった。データセンターは冷却等で大量のエネルギーを消費する。ただ、それは欧州で最もエネルギー価格の高い英国特有の事情であり、再生可能エネルギーの普及や蓄電システムが順調に稼働するという「エクイティ・ストーリー」の下では問題は限定的とみられる。また、原油や天然ガスを自国で生産できる米国も相対的に有利だ。金利動向を含めてデータセンターの採算性がAI需要を大きく左右しそうだ。

■半導体メモリ市況は上昇一服~工場増設の本格稼働は2027年後半へ

AIデータセンターの爆発的需要が従来型DRAMおよびNANDフラッシュメモリーの生産容量を圧迫している。世界の主要メーカーが高利益率のAI関連製品(HBMや高容量DDR5など)にウェハー容量をシフトしたことが汎用メモリの構造的な供給不足につながっている。

それでも2026年に入り、足元ではピークアウト感がみられるほか、上昇ペースが減速している。その背景には買い手が契約価格交渉を前にして積極的な購入を控えることで取引量が減少することに加え、年末~年初にかけて価格が急騰したことを受けて中国などの二次市場で先高期待から大量在庫を積み増した反動からの売り急ぎといった要因がある。工場増設の本格稼働は2027年後半~2028年以降と見込まれている。

【タイトル】

参考銘柄

石原産業<4028>

・1920年に石原廣一郎が大阪市に南洋鉱業公司を設立。農薬を軸とする「有機化学分野」および機能性材料と酸化チタンを軸とする「無機化学分野」における化学工業製品の製造・販売を行う。

・2/13発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比2.5%増の1080億円、営業利益が同189.2%増の110億円。主な事業別営業利益は、有機化学事業(売上比率51%)が134%増の103億円、無機化学事業(同46%)が71%増の36億円。農薬および電子材料の販売が堅調に推移した。

・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比6.4%増の1545億円(従来計画1520億円)、営業利益を同62.2%増の170億円(同160億円)、年間配当を同35円増配の120円(同100円)とした。無機化学事業で取り扱うMLCC(積層セラミックコンデンサー)向けチタン酸バリウムは高誘電率と優れた温度特性を持つ誘電体材料であり、電子部品の小型・大容量化に不可欠な素材として注目されている。

AGC<5201>

・1907年に旭硝子を創立。建築ガラス(アジア、欧米)、オートモーティブ(自動車用)、電子(ディスプレイ、電子部材)、化学品(エッセンシャル、パフォーマンス)、ライフサイエンスの5事業を展開。

・2/6発表の2025/12通期は、売上高が前年同期比0.4%減の2兆588億円、営業利益が同1.3%増の1274億円。円高が主な減収要因。事業別営業利益は、建築ガラスが5%増の173億円、オートモーティブが110%増の293億円の一方、電子が13%減の475億円、化学品が7%減の530億円だった。

・2026/12通期会社計画は、売上高が前期比6.9%増の2兆2000億円、営業利益が同17.7%増の1500億円、年間配当が同横ばいの210円。半導体パッケージ用の基板として、従来の樹脂基板では電気信号の損失が大きく高速化への対応が困難だったのに対し、ガラス基板は電気的特性に優れ、データ転送時の信号の劣化が少ないため、高性能半導体向け基板として普及が見込まれる。

日本電波工業<6779>

・1948年設立。水晶振動子や水晶機器等の水晶デバイス、およびその応用機器、ならびに人工水晶や水晶片(プランク)等の水晶関連品の一貫製造と販売を行う。水晶デバイスで世界シェア2位。

・2/10発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比0.5%増の398億円、営業利益が同40.0%減の21.8億円。用途別売上高は、主力の車載が横ばいの220億円の一方、IoTが18%増の26億円、産業機器が20%増の30億円、特機(主に防衛・宇宙向け)が57%増の11億円と増収に貢献。

・通期会社計画は、売上高が前期比0.6%増の534億円、営業利益が同30.8%減の32億円、年間配当が同横ばいの30円。データセンター建設ラッシュに伴いAIサーバーだけでなく、サーバー間接続に用いられるデバイスの光トランシーバーの特需が発生。水晶振動子などの水晶製品は揺らぎのないクロック源として、高精度の同期を確保するために必要な光トランシーバーの必須部品である。

松田産業<7456>

・1956年に卵白の販売を目的として松田商店を設立。貴金属関連事業(貴金属回収製錬、貴金属地金・電子材料の販売、産業廃棄物の収集・運搬・処理)および食品関連事業を主に営む。

・2/13発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比37.1%増の4779億円、営業利益が同37.9%増の149億円。売上比率81%の貴金属関連事業は、45%増収、営業利益が40%増の122億円。貴金属リサイクル取扱量が増えた。食品関連事業は、11%増収、営業利益が30%増の27億円。

・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比38.6%増の6500億円(従来計画5500億円)、営業利益を同57.8%増の200億円(同154億円)とした。年間配当は同25円増配の100円と従来計画を据え置いた。日本政府は重要鉱物やプラスチック等のリサイクル強化のため、2030年までに施設整備や技術開発向けに官民で1兆円を投資することを「循環経済行動計画」に盛り込む方針と報じられた。

※執筆日 2026年4月24日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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