米ショッピングモール市場、長期低迷から急回復 資金流入で資産価値13%上昇
長らく低迷が続いていた米国のショッピングモール市場が劇的な回復を遂げ、不動産投資の有力な対象として再び脚光を浴びている。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。商業用不動産市場全体が伸び悩む中、モールセクターのパフォーマンスは他の資産クラスを圧倒しており、資金の回帰が鮮明となっている。
不動産分析大手グリーン・ストリートの調査によると、モールの資産価値は過去1年間で13%上昇。これは商業用不動産10セクターの中で最大の上昇率で、市場全体の平均増益幅の2倍を超える水準。オフィスや集合住宅の投資リターンが伸び悩む一方、モールは新規供給の制限に伴う高い入居率と堅調な賃料の伸びが支えとなり、投資家の資金を強力に引きつけている。
好調の背景には、堅調な個人消費や小売企業の大型破綻の減少に加え、モール運営会社による構造改革がある。施設改装を推し進めるとともに、高級ブランドや人気飲食店、体験型娯楽施設など、電子商取引(EC)との競争に強いテナントの誘致に注力。結果として集客力の改善に成功した。また、2008年以降に約200か所の施設が閉鎖され、全米のモール数が約900カ所まで減少したことで、生き残った優良施設の需給バランスが大幅に改善した点も奏功している。
業界最大手のサイモン・プロパティ・グループの株価は7月に2016年以来の最高値を更新。米国撤退を模索していた仏ウニベイル・ロダムコ・ウエストフィールドも一転して現地事業の強化へ舵を切り、既存モールの完全子会社化を進めている。回復の波は中価格帯の施設にも及んでおり、かつて経営破綻を経験したCBLプロパティーズも業績改善に伴い新たな物件取得へ動く。
一方、資産価値は10年前のピーク時をなお下回っており、急速な回復の持続性を慎重に見極める投資家も少なくない。しかし、借り換え難に直面していた物件で再融資の目処が立ち始めるなど、資金調達環境の改善傾向も明確になりつつある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース