AI事業の収益性、予想以上に高いとの指摘も
きょうはアンソロピックがIPOに向けた申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出しており、米株式市場の話題となっている。2026年1-6月期の純利益は27億ドルとなり、前年同期から44億ドル改善していた。売上高は前年同期比1300%増の163億ドルに達している。
本日はメタ<META>が最大950億ドルの増資計画を発表していたが、市場の一部では「AI関連企業の巨額の設備投資が今後の業績で賄えるのか」との懸念が広がっている。ただ、AI事業の収益性は予想以上に高いとの指摘も出ている
アンソロピックの競合で、提携先でもあるスペースX<SPCX>は、4-6月期(第2四半期)に44億ドルの利益を計上。一時的な利益を調整した後でも、市場予想を10億ドル超上回った。スペースXのIPO当時、アナリストらは7-9月期(第3四半期)は4億ドル近い赤字を予想していたが、同社の業績は誰もが予想していた以上の速さで改善していた。
株価が低迷しているAI向けクラウド計算基盤を提供するネオクラウド企業のコアウィーブ<CRWV>でさえ、EBITDAは黒字を計上している。保有する1.5ギガワットのAI計算能力は、現在のスポット価格に基づけば、四半期当たり100億ドル超の売上高を生み出せる計算。ただし、これはあくまで理論上の数値。ウォール街が予想する同社の7-9月期の売上高は35億ドルとなっている。同社は現時点でフリーキャッシュフロー(FCF)が黒字化できていないが、新規投資を停止し、既存の計算能力を現在のスポット価格で提供することに専念すれば、容易にFCFを黒字化できる可能性が高い。また、同社の既存のAI計算能力は再構築に必要な費用を下回る評価額で取引されている。負債を含む企業価値は約600億ドルだが、同規模のデータセンターを新たに建設するには600億-750億ドルが必要と推定される。
AI事業がこれほど高い収益性を持つのであれば、スペースXやアンソロピックなどの企業が必要とする外部資金は大幅に減少することになる。その結果、信用市場への圧力が和らぎ、投資家の懸念も軽減されるだろう。
こうした動きの影響は、ハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)だけに留まらない。現在では、あらゆる企業がAI関連株とみなされるようになっている。例えば、キャタピラー<CAT>もその1つ。同社は、データセンター向け需要が急増しており、発電設備も販売している。しかし、AI関連投資への懸念がキャタピラーの株価を圧迫。株価は1000ドル超の52週高値から約35%下落。現在の株価は今後12カ月間の予想1株利益の22倍程度で取引されており、6月の約40倍からは大幅に低下している。
AIの収益化は投資家が懸念していたほど深刻な問題ではないという。むしろ新たな懸念材料となり得るのは、アンソロピックの有料顧客が、支払った費用に見合う効果を得られていないと感じ、AI導入のペースが鈍化してしまうことだという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
株探ニュース