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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「日米中ともチャートは陰転を暗示」

株式評論家 富田隆弥

◆10連休も終わり令和相場がスタートしたが、波乱の幕開けだ。ご承知のように5日にトランプ大統領が対中関税を引き上げるとツイートしてから世界マーケットは波乱に陥った。米中貿易問題に関してマーケットは「合意」を織り込んでいただけに、ここで表面化した不協和音に驚きを隠せない。こうなると9日、10日の2日間(予定)で行われる米中閣僚級協議が大きな焦点となり、その成り行きがカギを握ることになる。だが、崩れた日米中の株価や円高に振れた為替のチャートは「リスクオフ」、つまり「米中合意」が遠のくことを物語っているように映る。

日経平均株価は9日現在、4日続落で2万1315円まで下げる。日足は2万1800円台にある25日移動平均線、200日移動平均線を大きく割り込み、一目均衡表の「雲」上限(2万1349円)と75日移動平均線(2万1358円)に差し掛かった。ここまでくると一旦下げ止まる可能性はあるものの、割り込んだ200日線と25日線の2万1800円台をクリアしないと好転の兆しは出ず、二段下げへとさらに下げ進むことも否定できない。そして、日本株は「米国次第」でもある。

NYダウは7日に2万5789ドルまで下げ75日移動平均線(2万5789ドル)と一目均衡表の「雲」上限(2万5785ドル)に差し掛かった。この節で下げ止まるのか注目されたが、9日(前場段階)はそこを割り込み200日移動平均線(2万5415ドル)に向かうような雰囲気だ。これで日足チャートは4月23日と5月1日の高値でW(ダブル)トップが確定し、「陰転」を暗示する。週足は昨年1月高値、10月高値、今年4月高値で「三尊」を形成しかねない雲行きだ。

上海総合指数は9日に2845ポイントまで下落し75日移動平均線(2940ポイント)を割り込み、日足は4月8日と4月22日の高値でWトップを確定させた。年初2440ポイント安値→4月3288ポイント高値の上げ幅に対する半値押しとなり、一目均衡表の「雲」下限(2830ポイント)に差し掛かったことで、ここらで下げ止まるのかが注目される。その意味で上海株も米中協議の行方がカギとなろう。

為替(ドル円)は9日に109円50銭台まで円高を進め、日足は3月と4月の112円台でWトップが確定し、円安から円高方向へ流れを変えた。

◆このように日米中の株価、そして為替のいずれもがチャートは「陰転」を暗示する。節目に差し掛かりそろそろ下げ止まる可能性はあるものの、日足で好転を確認するまで楽観は抱けない。NYダウなど米国株は年初から「イイとこ取り」でV字回復を果たした。FRBのハト派転換で過剰流動性(マネー相場)が復活、テクニカル指標の過熱を無視するように上げてきた。今回の波乱はその「やり過ぎ相場」の終焉でもあり、チャートは「要注意」を漂わす。しばらく慎重姿勢が賢明と思われる。

(5月9日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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